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切兎の魔女③
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レオンは体と足が分裂された。
「いって~」
レオンは真っ二つにされても生きている。リリスの契約で死ぬことはない。
「これは・・・」
イーグスは感心している。
「やべ、真っ二つ」
レオンはすぐさま体をくっつける。
――こんな姿ジャンヌさんに見られなくてよかった
レオンがおそる振り返る。
魔女の目がキラキラと輝いている。
「何・・・君・・・」
嫌な予感。
「死んでない!しかも綺麗な血!君最高~」
魔女が高らかに声を上げる。
「え?」
「白い吸血鬼(ヴァンパイア)もいいけど、君もいい色してる~」
吸血鬼とはあの男だろうか。
レオンを魔女に蹴り飛ばした男。
まさか、魔女に追われているからレオンに標的を変えさせようとしていたのか。
読みが当たったのかイーグスがいなかった。
――あいつ!
「よし、連れて帰ろう!」と魔女が言った瞬間にレオンはすぐさま逃げる。
「帽血(ぼうち)の魔女ビアンク・レッドコームから逃げられると思うの!」
ビアンクはハルバートを振り回しながら、木を切り倒していく。
死に物狂いで逃げる。またあのハルバートに斬られたくない。距離を取ろうにもビアンクの距離が取れない。むしろ縮んでいる。
背後にビアンクがハルバートを振ろうとした時だった。
カキっと鉄がぶつけた音がした。
振り向けば、ハルバートが大鎌に防がれる。
赤と黒の刃と反対に弓なりに曲がっている刃が付いている大鎌だった。
その大鎌は兎の黒い耳を持つ少女が持っていた。黒髪、桃色の目。胸に大きいピンクのリボンに黒と白のフリルのワンピースを着ている。
「ちょっと!私が目をつけた子よ!」
同族だった。
「横取りするなんて!」
「何よ!急に出やがって!」
魔女たちがいがみ合っている内に走り出す。
「「待ちなさい!」」
さらに状況が悪化した。魔女二人に追いかけるとは。もう一人では逃げられない。早くジャンヌに助けを求めたいが、都合よく近くにいるとは思わない。早く逃げられる方法を考えなくてはと思った矢先に背後から魔女たちに押し倒される。
魔女たちがレオンの腕を掴み、ひっぱり合う。
「何よ!こんな丈夫でかわいい子はいないのよ!あきらめなさいよ!」
「何言ってるの。こんな無限に染色剤を出してくれる子なんて滅多にいないのよ!これでいい帽子が完成するんだから!」
何をとりあっているんだろうかと呆れている場合ではない。
見た目と変わらない怪力。このままでは腕がちぎれてしまう。
その時だった。
「「きゃ!」」
白い炎の球が魔女にぶつけ、森の奥へ飛んでいった。
その白い炎は見たことがある。
唐突に腕を握られる。
顔を上げれば、ロングブーツにショートパンツ。フード付きの短めの青いコートを着た白の聖女ジャンヌ・ダルクがいた。
「逃げるよ!」
「ジャンヌさん・・・」涙目になりながら言う。
アキセは逃げられた。
召喚した服でとりあえず着替える。
バニーに刺された腹に手を当てる。魔術で小さな結界で出血を止めている。
早く『アメ製造機』で回復しなければ。
木陰で休み、『アメ製造機』を召喚する。
工作の魔女コルン・ゴボルドの発明品の一つ。
小さな長方形の金属製の容器の『アメ製造機』は、食べたいアメを思い浮かべれば、なんでもアメとして製造される。特に驚くのが、怪我や病気を治せる薬さえも作れると便利な発明品。
さっそくアメを作ろうとしたが、『アメ製造機』が壊された。
それは、赤い刃が『アメ製造機』を刺したから。
その刃には見たことがある。
「それが、こうさくの魔女から奪ったっていう道具か」
声をした方へ向けば、吸血鬼(ヴァンパイア)のイーグス・フォードが見下ろしていた。
「貧相で似合っていますよ」
アキセはにらみ返す。
ジャンヌとレオンは魔女から逃れ、木陰に隠れていた。
「兄弟揃って魔女に好かれるにもほどがあるんだけど」
「あいつと一緒にするな!」とレオンは怒鳴る。
アキセとレオンもリリスの子供。体質までも呆れるほど似ている。その体質で巻き込ませたことが何度もあった。
「あと怪しい男に会った?」
「俺に魔女を押し付けた怪しい男に会った」
レオンは単調に答える。
「やっぱり」
「ジャンヌさん。知り合いなのか?」
「まあね。思い出したくないほどに」
『光』の抗体が高いために血を吸われたことがあったからだ。
「まんまとあいつの手に遊ばれているそうね。お互い」
「どうするんだ?」
レオンが尋ねる。
「ヤツを殺しに行く」
「俺も行く」
意気投合した。
「まあ、その前に魔女もなんとかしないと・・・」
魔女よりも優先したいところだか、さすがに魔女が絡むと難しくなる。
「一人ずつ片付けたいところだけど・・・この森の中だと・・・」
一人ずつ倒そうにもいろいろと頭を巡らなければ。
「ちょっと俺に考えあるんだけど・・・」
レオンがある提案をする。
「いって~」
レオンは真っ二つにされても生きている。リリスの契約で死ぬことはない。
「これは・・・」
イーグスは感心している。
「やべ、真っ二つ」
レオンはすぐさま体をくっつける。
――こんな姿ジャンヌさんに見られなくてよかった
レオンがおそる振り返る。
魔女の目がキラキラと輝いている。
「何・・・君・・・」
嫌な予感。
「死んでない!しかも綺麗な血!君最高~」
魔女が高らかに声を上げる。
「え?」
「白い吸血鬼(ヴァンパイア)もいいけど、君もいい色してる~」
吸血鬼とはあの男だろうか。
レオンを魔女に蹴り飛ばした男。
まさか、魔女に追われているからレオンに標的を変えさせようとしていたのか。
読みが当たったのかイーグスがいなかった。
――あいつ!
「よし、連れて帰ろう!」と魔女が言った瞬間にレオンはすぐさま逃げる。
「帽血(ぼうち)の魔女ビアンク・レッドコームから逃げられると思うの!」
ビアンクはハルバートを振り回しながら、木を切り倒していく。
死に物狂いで逃げる。またあのハルバートに斬られたくない。距離を取ろうにもビアンクの距離が取れない。むしろ縮んでいる。
背後にビアンクがハルバートを振ろうとした時だった。
カキっと鉄がぶつけた音がした。
振り向けば、ハルバートが大鎌に防がれる。
赤と黒の刃と反対に弓なりに曲がっている刃が付いている大鎌だった。
その大鎌は兎の黒い耳を持つ少女が持っていた。黒髪、桃色の目。胸に大きいピンクのリボンに黒と白のフリルのワンピースを着ている。
「ちょっと!私が目をつけた子よ!」
同族だった。
「横取りするなんて!」
「何よ!急に出やがって!」
魔女たちがいがみ合っている内に走り出す。
「「待ちなさい!」」
さらに状況が悪化した。魔女二人に追いかけるとは。もう一人では逃げられない。早くジャンヌに助けを求めたいが、都合よく近くにいるとは思わない。早く逃げられる方法を考えなくてはと思った矢先に背後から魔女たちに押し倒される。
魔女たちがレオンの腕を掴み、ひっぱり合う。
「何よ!こんな丈夫でかわいい子はいないのよ!あきらめなさいよ!」
「何言ってるの。こんな無限に染色剤を出してくれる子なんて滅多にいないのよ!これでいい帽子が完成するんだから!」
何をとりあっているんだろうかと呆れている場合ではない。
見た目と変わらない怪力。このままでは腕がちぎれてしまう。
その時だった。
「「きゃ!」」
白い炎の球が魔女にぶつけ、森の奥へ飛んでいった。
その白い炎は見たことがある。
唐突に腕を握られる。
顔を上げれば、ロングブーツにショートパンツ。フード付きの短めの青いコートを着た白の聖女ジャンヌ・ダルクがいた。
「逃げるよ!」
「ジャンヌさん・・・」涙目になりながら言う。
アキセは逃げられた。
召喚した服でとりあえず着替える。
バニーに刺された腹に手を当てる。魔術で小さな結界で出血を止めている。
早く『アメ製造機』で回復しなければ。
木陰で休み、『アメ製造機』を召喚する。
工作の魔女コルン・ゴボルドの発明品の一つ。
小さな長方形の金属製の容器の『アメ製造機』は、食べたいアメを思い浮かべれば、なんでもアメとして製造される。特に驚くのが、怪我や病気を治せる薬さえも作れると便利な発明品。
さっそくアメを作ろうとしたが、『アメ製造機』が壊された。
それは、赤い刃が『アメ製造機』を刺したから。
その刃には見たことがある。
「それが、こうさくの魔女から奪ったっていう道具か」
声をした方へ向けば、吸血鬼(ヴァンパイア)のイーグス・フォードが見下ろしていた。
「貧相で似合っていますよ」
アキセはにらみ返す。
ジャンヌとレオンは魔女から逃れ、木陰に隠れていた。
「兄弟揃って魔女に好かれるにもほどがあるんだけど」
「あいつと一緒にするな!」とレオンは怒鳴る。
アキセとレオンもリリスの子供。体質までも呆れるほど似ている。その体質で巻き込ませたことが何度もあった。
「あと怪しい男に会った?」
「俺に魔女を押し付けた怪しい男に会った」
レオンは単調に答える。
「やっぱり」
「ジャンヌさん。知り合いなのか?」
「まあね。思い出したくないほどに」
『光』の抗体が高いために血を吸われたことがあったからだ。
「まんまとあいつの手に遊ばれているそうね。お互い」
「どうするんだ?」
レオンが尋ねる。
「ヤツを殺しに行く」
「俺も行く」
意気投合した。
「まあ、その前に魔女もなんとかしないと・・・」
魔女よりも優先したいところだか、さすがに魔女が絡むと難しくなる。
「一人ずつ片付けたいところだけど・・・この森の中だと・・・」
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レオンがある提案をする。
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