魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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盗憐の魔女②

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 町に着いた時にはもう夕方だった。
 中年男にお礼を言い、町の中へと入る。
 水の都ペネリチェ。白を強調した石作りの家で水路を利用した町だった。
 商人の話通り、この町は怪盗の噂で盛り上がっている
 ジャンヌも怪盗のことが気になったので調べることにした。
 どうやら新聞や写真があるおかげで調べるのに時間はかからなかった。

 怪盗が現れたのは、1か月前。
 怪盗の名は、特にないのか、黒の怪盗と町人は勝手に決めたらしい。
 黒いタキシードに仮面をつけているため、正体不明。声からして男らしい。仮面で隠れていても色気を感じさせる。
この時点で呆れる。
 主な盗みは、心。才能。知能など様々だった。
 被害者は、悪徳な貴族、金持ちの娘など合計5人。
 どれも一部を失っているらしい。
 女たちが好きそうな話。
 調べていたら、もう夜になっていた。
 宿を探しに行こうとした時だった。
「おい、怪盗が現れたらしいぞ!」
 町人が騒いでいた。
 ジャンヌはふと思いつく。
「怪盗って賞金出るかな」


「やっとまいたか」
 マントをなびかせ、シルクハットに黒いタキシード。白い仮面をつけた者は、屋根をウサギのように跳ねて跳んでいた。
 町外れで廃屋が多い場所である。
 屋根から下へ降りようしたが、建物の窓から何かが飛び出し、顔に蹴りが入る。勢いを殺さず、向かい側の建物の窓を突き破る。
「よし計算通り」
 背中に重みを感じる。
 それにとても聴いたことがある声で、背筋に寒気が走る。
「予想は外れてほしかったけど、やっぱあんたか。アキセ・リーガン」
 声の主は、背中を踏む白の聖女ジャンヌ・ダルクが見下ろしている。
 衝撃のせいか仮面がいつの間にか取れていた。顔が露わになる。
「どういうことだ・・・ジャンヌ・・・」
 怪盗であるアキセは、一滴の汗が流れる。
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