47 / 648
盗憐の魔女①
しおりを挟む
ジャンヌは笑っている。
なぜなら、独房に黒いタキシードを着たアキセが捕まっているからだ。
「まだ笑うか」
アキセは不機嫌そうに言う。
「これは笑わせずにいられないわよ。一生笑える。あーダメ。あははは」
ジャンヌは腹に抱えて笑い続ける。
「だって。こんな機会ないもの。今まで溜まった鬱憤を返せたし。こんなことで捕まるなんてね。しかもその服で。くふふふふ」
「そうだよな。わざわざここまでするんだもんな」
独房の中にいるアキセは、地面に刺さっている木の板の枷に手と顔をはめられている。
アキセの奪う魔力の対策でつけた。
「そうしないと、あんた逃げるもの。まあ念の為にね」
ジャンヌは、笑うのは止めない。
なぜ、このようなことになったのは、時間が大部さかのぼる。
数日前
「ねえ、盗賊さん。これは誰の刺し向けかな」
ジャンヌは、笑顔で盗賊に問い詰めていたところだった。
最近アキセを見ていない。気が楽になると思ったら、比例して盗賊が襲われるようになった。倒しても次々に現れるようだったので、倒して、盗賊の頭と思われる男に問い詰めることにした。
「え~と、アキセという男です」
すぐに吐いた。
「やっぱり…」
想像通りで何も驚かない。
「言ったので、許してくれますか?」
「ん~ダメ」
一発殴る。
やはりアキセの仕業だった。
今回は何を企んでいると思いながら、別れ道に着く。二つある。木に張り付いている案内板は矢印の形で『ペネリチェ』と町の名前が書いてあった。
「こっちか」
案内板に従って歩いてから1時間のことだった。
「おかしい」
町は、大きい川の近くにあると訊いている。川どころか山の中に入っていく一方だった。疑いながら歩いていた時だった。
「あれ、お嬢さん!」
通りすがりの荷馬車に乗った中年男に声をかけられた。
「今から行ったら野宿になっちまうよ」
「町に行きたいんだけど」
「町でペネリチェのことなら、ここと反対方向だけど」
「え?」
遠回りに歩いていたらしい。
「ワシもその町に寄るところだったんじゃ。送ってもいいぞ」
「いいんですか。ありがとうございます!」
ラッキー。
ジャンヌは、中年男のご厚意に甘えて、荷馬車に乗った。
「もしかしてお嬢さんも怪盗の噂を聞いて町に来たのか」
「え?怪盗?」
「なんだ。知らんのか。噂だとなんでも盗めるらしくでな。才能とか心と」
「何それ?」
「さあな、噂で聞いたくらいだからな。んで、その怪盗目的で若い女が集まっているらしい」
「はあ…」
呆れる声でいう。それに話を聞く限りものすごく心当たりがする。予想が外れますように必死に心の中で祈る。
「まあ、その怪盗が現れる以前に、別の怪盗がいたんだけどな」
「何?他にもいるの?」
「いたらしい。どっちかというと今はその怪盗が話題らしい」
「へ~」
「あ。案内板がこわれとる」
「え!?」
いつの間にか分かれ道に戻っていた。
これもアキセの仕業だとは考えたくない。
なぜなら、独房に黒いタキシードを着たアキセが捕まっているからだ。
「まだ笑うか」
アキセは不機嫌そうに言う。
「これは笑わせずにいられないわよ。一生笑える。あーダメ。あははは」
ジャンヌは腹に抱えて笑い続ける。
「だって。こんな機会ないもの。今まで溜まった鬱憤を返せたし。こんなことで捕まるなんてね。しかもその服で。くふふふふ」
「そうだよな。わざわざここまでするんだもんな」
独房の中にいるアキセは、地面に刺さっている木の板の枷に手と顔をはめられている。
アキセの奪う魔力の対策でつけた。
「そうしないと、あんた逃げるもの。まあ念の為にね」
ジャンヌは、笑うのは止めない。
なぜ、このようなことになったのは、時間が大部さかのぼる。
数日前
「ねえ、盗賊さん。これは誰の刺し向けかな」
ジャンヌは、笑顔で盗賊に問い詰めていたところだった。
最近アキセを見ていない。気が楽になると思ったら、比例して盗賊が襲われるようになった。倒しても次々に現れるようだったので、倒して、盗賊の頭と思われる男に問い詰めることにした。
「え~と、アキセという男です」
すぐに吐いた。
「やっぱり…」
想像通りで何も驚かない。
「言ったので、許してくれますか?」
「ん~ダメ」
一発殴る。
やはりアキセの仕業だった。
今回は何を企んでいると思いながら、別れ道に着く。二つある。木に張り付いている案内板は矢印の形で『ペネリチェ』と町の名前が書いてあった。
「こっちか」
案内板に従って歩いてから1時間のことだった。
「おかしい」
町は、大きい川の近くにあると訊いている。川どころか山の中に入っていく一方だった。疑いながら歩いていた時だった。
「あれ、お嬢さん!」
通りすがりの荷馬車に乗った中年男に声をかけられた。
「今から行ったら野宿になっちまうよ」
「町に行きたいんだけど」
「町でペネリチェのことなら、ここと反対方向だけど」
「え?」
遠回りに歩いていたらしい。
「ワシもその町に寄るところだったんじゃ。送ってもいいぞ」
「いいんですか。ありがとうございます!」
ラッキー。
ジャンヌは、中年男のご厚意に甘えて、荷馬車に乗った。
「もしかしてお嬢さんも怪盗の噂を聞いて町に来たのか」
「え?怪盗?」
「なんだ。知らんのか。噂だとなんでも盗めるらしくでな。才能とか心と」
「何それ?」
「さあな、噂で聞いたくらいだからな。んで、その怪盗目的で若い女が集まっているらしい」
「はあ…」
呆れる声でいう。それに話を聞く限りものすごく心当たりがする。予想が外れますように必死に心の中で祈る。
「まあ、その怪盗が現れる以前に、別の怪盗がいたんだけどな」
「何?他にもいるの?」
「いたらしい。どっちかというと今はその怪盗が話題らしい」
「へ~」
「あ。案内板がこわれとる」
「え!?」
いつの間にか分かれ道に戻っていた。
これもアキセの仕業だとは考えたくない。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる