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蛙恋の魔女⑤
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さて、どうやって指輪を取り戻そうか。
どう考えても魔女であるケミ―をジャンヌが退治するしかない。
よく見れば、いつの間にかカエルのレオンがジャンヌの肩から離れていた。行方は気にしない。
ケミ―の鉄球棒とジャンヌのロザリオの刃が重なる。
「邪魔しないでケロ!」
「邪魔する気しないから、さっさと結婚式挙げなさいよ」
「せっかくカエルとキスしてやっと見つけたダーリンケロ。問題を潰して幸せを掴むんだから!」
ケミ―は、鉄球棒でジャンヌごと大きく振り、ジャンヌを飛ばし、小屋に飛ばされる。
「あ~どうしよう。ワイン倉庫に飛ばしちゃったケロ」
――え?今なっつった?
ワイン倉庫は、ワインが納まっている倉庫。おそらくジャンヌは、ワインを浴びている。
嫌な予感。
ワイン倉庫から一本の酒瓶が飛んでくる。ケミ―は避け、アキセの額に当たり、そのまま倒れる。
「あ!ダーリン!」
ケミ―が心配そうに声を上げる。
額を抑えながら、体を起こす。
予想が的中してしまった。
「おい・・・ちびカエル・・・」
酔っぱらったジャンヌが小屋から出でくる。
「よくも飛ばしたなひっく!」
顔が赤くなっているジャンヌが言う。
「もう!いい加減にくたばれケロ。結婚式ができないじゃないの!」
「結婚だーあ!」
ジャンヌがドスをきいた声を上げる。
「結婚なんでわざわざするんだーあ!結婚したら冷める傾向になるんだぞ!それでもいいのか!」
どこの理論だろうか。
「何よ!その統計!そんなことないケロ。ダーリンは運命の人なの!永遠の愛で結ばれる運命ケロ!」
「な~に。夢見ているんだ。魔女のくせに!」
「魔女とか関係ないケロ!恋はしたいケロ!キスしたいケロ!」
「キスが目的なら結婚しなくてもいいじゃねえか」
「何言ってるケロ!キスあって、指輪あっての結婚式なの!女の夢を壊さないでよ!」
「だったら、本物のキスを見せてやる・・・」
ジャンヌはケミ―を飛び越え、アキセの前にふらつきながら立つ。
――まさか
アキセの胸倉を掴む。
「キスっていうのはこういうもんなんだよ!」
「おい、待て!」
ジャンヌは思いっきり、アキセに口づける。さらに口の中に舌を入れ、『光』を注がれる。体内から内臓が溶けるように『光』に浄化される。
死ぬ。
「そんなのキスじゃない!ロマンチックの欠片もなあいケロ!」
ジャンヌは、アキセの口を離れる。
意識が飛びそう。
「カエルにキスしている女に言われたくねえよ!これが大人のキスなの。そんなお子様キスとは違うの!」
「違う違う違うもん!」
ケミ―が駄々をこねるように言う。
「そんなの淫魔なキスはケダモノの塊ケロ!気持ち悪いケロ!」
「だからーそんな奴らと一緒にするんじゃねえぞ!」
ケミ―はカエルのように跳んで迫ってくるが、ジャンヌは酔っていたにも関わらずに冷静に後ろへ下がる。
倒れそうになったアキセをケミ―が胸蔵を掴む。
「本当のキスはこれだもん!」
待て。
ケミ―も口づけされる。
これもきつい。
ケミ―も体内に『呪い』を注ぐ。まだ体内に残っている『光』と『呪い』が反発している。体中に痺れや溶かすような感覚に襲われる。
「見たでしょ!これが本物の愛のキスなの!」
ケミ―から離れる。
もう無理と意識が持たない。
ジャンヌは目を覚ます。
「あれ、ここどこ?」
もう夕暮れで中庭には地割れや穴が空き、荒れている。魔女と戦っていたが、いつの間にか消えていた。倒したのだろうか。
ダメだ。思い出せない。
手に何か持っている。
それは、首だけになった魔女だった。
「うわ!」
思わず驚き、首を投げる。地面に落ちた瞬間に塵状になって消えてしまった。
「驚いた・・・」
なぜか、魔女の首が手元にあった。どんな戦闘したんだろうか。
顔を上げれば、レオンが大きい布を巻いていた。なぜ裸だろうか。
「あれ、レオン?」
声をかければ、レオンがぴくっと震えている。
「なんでここに?もしかしてあのカエルってレオンだったの?」
そういえば、『タタリ』にかかったカエルがきっかけでこの屋敷に来た。そのカエルがレオンだった。
「うん・・・」と小さく返事をし、なぜか視線をそらす。
「もしかして覚えてない・・・」
「うん・・・」
小さく頷く。
確かに何も思い出せず、今でも頭痛がする。
「あの・・・ジャンヌさん・・・もうお酒を飲まないでください!」
レオンは逃げる。
「え?私?何があったの!ねえ!」
ジャンヌは、知るためにレオンを追いかける。
その陰で、「もうジャンヌに酒を飲ませない・・・」と倒れるアキセだった。
どう考えても魔女であるケミ―をジャンヌが退治するしかない。
よく見れば、いつの間にかカエルのレオンがジャンヌの肩から離れていた。行方は気にしない。
ケミ―の鉄球棒とジャンヌのロザリオの刃が重なる。
「邪魔しないでケロ!」
「邪魔する気しないから、さっさと結婚式挙げなさいよ」
「せっかくカエルとキスしてやっと見つけたダーリンケロ。問題を潰して幸せを掴むんだから!」
ケミ―は、鉄球棒でジャンヌごと大きく振り、ジャンヌを飛ばし、小屋に飛ばされる。
「あ~どうしよう。ワイン倉庫に飛ばしちゃったケロ」
――え?今なっつった?
ワイン倉庫は、ワインが納まっている倉庫。おそらくジャンヌは、ワインを浴びている。
嫌な予感。
ワイン倉庫から一本の酒瓶が飛んでくる。ケミ―は避け、アキセの額に当たり、そのまま倒れる。
「あ!ダーリン!」
ケミ―が心配そうに声を上げる。
額を抑えながら、体を起こす。
予想が的中してしまった。
「おい・・・ちびカエル・・・」
酔っぱらったジャンヌが小屋から出でくる。
「よくも飛ばしたなひっく!」
顔が赤くなっているジャンヌが言う。
「もう!いい加減にくたばれケロ。結婚式ができないじゃないの!」
「結婚だーあ!」
ジャンヌがドスをきいた声を上げる。
「結婚なんでわざわざするんだーあ!結婚したら冷める傾向になるんだぞ!それでもいいのか!」
どこの理論だろうか。
「何よ!その統計!そんなことないケロ。ダーリンは運命の人なの!永遠の愛で結ばれる運命ケロ!」
「な~に。夢見ているんだ。魔女のくせに!」
「魔女とか関係ないケロ!恋はしたいケロ!キスしたいケロ!」
「キスが目的なら結婚しなくてもいいじゃねえか」
「何言ってるケロ!キスあって、指輪あっての結婚式なの!女の夢を壊さないでよ!」
「だったら、本物のキスを見せてやる・・・」
ジャンヌはケミ―を飛び越え、アキセの前にふらつきながら立つ。
――まさか
アキセの胸倉を掴む。
「キスっていうのはこういうもんなんだよ!」
「おい、待て!」
ジャンヌは思いっきり、アキセに口づける。さらに口の中に舌を入れ、『光』を注がれる。体内から内臓が溶けるように『光』に浄化される。
死ぬ。
「そんなのキスじゃない!ロマンチックの欠片もなあいケロ!」
ジャンヌは、アキセの口を離れる。
意識が飛びそう。
「カエルにキスしている女に言われたくねえよ!これが大人のキスなの。そんなお子様キスとは違うの!」
「違う違う違うもん!」
ケミ―が駄々をこねるように言う。
「そんなの淫魔なキスはケダモノの塊ケロ!気持ち悪いケロ!」
「だからーそんな奴らと一緒にするんじゃねえぞ!」
ケミ―はカエルのように跳んで迫ってくるが、ジャンヌは酔っていたにも関わらずに冷静に後ろへ下がる。
倒れそうになったアキセをケミ―が胸蔵を掴む。
「本当のキスはこれだもん!」
待て。
ケミ―も口づけされる。
これもきつい。
ケミ―も体内に『呪い』を注ぐ。まだ体内に残っている『光』と『呪い』が反発している。体中に痺れや溶かすような感覚に襲われる。
「見たでしょ!これが本物の愛のキスなの!」
ケミ―から離れる。
もう無理と意識が持たない。
ジャンヌは目を覚ます。
「あれ、ここどこ?」
もう夕暮れで中庭には地割れや穴が空き、荒れている。魔女と戦っていたが、いつの間にか消えていた。倒したのだろうか。
ダメだ。思い出せない。
手に何か持っている。
それは、首だけになった魔女だった。
「うわ!」
思わず驚き、首を投げる。地面に落ちた瞬間に塵状になって消えてしまった。
「驚いた・・・」
なぜか、魔女の首が手元にあった。どんな戦闘したんだろうか。
顔を上げれば、レオンが大きい布を巻いていた。なぜ裸だろうか。
「あれ、レオン?」
声をかければ、レオンがぴくっと震えている。
「なんでここに?もしかしてあのカエルってレオンだったの?」
そういえば、『タタリ』にかかったカエルがきっかけでこの屋敷に来た。そのカエルがレオンだった。
「うん・・・」と小さく返事をし、なぜか視線をそらす。
「もしかして覚えてない・・・」
「うん・・・」
小さく頷く。
確かに何も思い出せず、今でも頭痛がする。
「あの・・・ジャンヌさん・・・もうお酒を飲まないでください!」
レオンは逃げる。
「え?私?何があったの!ねえ!」
ジャンヌは、知るためにレオンを追いかける。
その陰で、「もうジャンヌに酒を飲ませない・・・」と倒れるアキセだった。
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