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蛙恋の魔女③
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マントカエルは使い魔でおそらく魔女に連れてかれる。
2匹のマントカエルに連れてこられたのは、屋敷だった。
「ケロケロ(やっとついたけろ)」
「ケロケロ(あけるけろ)」
マントカエルが部屋の扉を開けた瞬間だった。
「うわああああああああああああああああああああああああああああん」
耳鳴りがするほどの泣き声がした。
部屋の真ん中の机に頭を擦り付けながら泣いていた少女がおり、『呪い』が可視化した黒いモヤが漏れている。
『呪い』を生み出すのは魔女だけの力。つまり彼女が魔女である証になる。
「いつになったら、運命の人見つかるんけええええええええええええええええええ」
「ケロケロ(ひめさま)」
マントカエルが魔女に声をかける。
「え?何?」
さっきまで泣いていたのが、ウソのように開き直る魔女。
黒目。緑の髪で二つのおたんごに止めている。ピンクと緑のドレスを着ている少女だった。
「今度はどんな子を連れてきたの?」
魔女は嬉しそうに言う。
「ケロケロ(どうぞ)」
マントカエルは鳥かごを少女に差し出す。
「ん~」
鳥かごを持ち、見つめる魔女。
「まあ、見た目はいつもと変わらないケロね。これで1643回目。いい加減見つけたいケロ」
――どんだけやってるんだ
この魔女は、運命の人、つまり彼氏を探しているようだ。
恋をしたい魔女は、まともな恋をしない。大半が玩具としか見えていないからだ。新品だった人形がボロボロになり捨てられるのが目に見える。
「どれどれ」
魔女は鳥かごの扉を開け、手を入れる。
アキセはすかさず、レオンを蹴り、魔女に差し出す。
「てめえ!」
レオンは魔女に掴まれ、鳥かごから取り出す。
何をするかと思えば、魔女はカエルのレオンに口づけをする。
思わずに引いてしまった。
粘り気のある体に何も躊躇なく、口づけするとは。
キスして何か起こるかと思いきや、何も起きなかった。
「この子。違うケロ」
ポイと投げ捨てる。
どういうことだろうが、キスだけでは満足しないのだろうか。
それにいつもならレオンは魔女に好かれるはずが、姿が蛙のままなのか、レオンの誘惑が効かないようだ。
「さて、この子が本命ケロ」
――何が本命だ。無作為にカエルにキスしているだけだろうが。
魔女が鳥かごに手を入れる。いくら逃げても空しく、魔女の手に掴まれる。
そして、魔女とキスした瞬間だった。
アキセが元の人の姿に戻った。なぜか清楚な服装になっている。
「え~と・・・」
アキセが顔を上げる。
「見つけた・・・私の運命の王子様があああああああああああああああ」
魔女の目がキラキラに輝いていた。
「そうよそうよ。私はこの瞬間を待ってたケロ。そうキスで結ばれるこの運命の瞬間が」
なぜか語り始めた。
「探して早1645回目にしてやっと・・・やっと芽が咲いたあああああああ」
魔女は声を高らかに言う。
「それにかなりのイケメンケロ。今すぐ結婚ケロ~!」
「結婚は早すぎでは・・・」
「何言ってるんケ。結婚はスピードケロ。熱い内にしなくちゃ!さあ。準備を準備!」
魔女が盛り上がっている中、「ケロケロ(ひめさま)」とマントカエルが魔女に話かける。
「どうしたケロ?」
「ケロケロ(どうするけろ)」
マントカエルの手にまだカエルのままのレオンを持っていた。
「あ~適当に捨ててきて」
適当に言う魔女。
「ケロケロ(は~いけろ)」
2匹のマントカエルは、レオンを持ったまま部屋を出でしまった。
「さあ!結婚ケロ~」
ハイテンションな魔女である。
アキセを魔女に差し出したが、どうやって逃げようか。
レオンはカエルのまま、マントカエルに逆さに足を掴まれている。
カエルのままでは、精霊術が唄えない。
「ケロケロ(やっとおうじさまつかまえたけろ)」
「ケロケロ(これでめんどうなしごとはおわったけろ)」
マントカエルが相談してレオンの始末を考えているようだ。
「ケロケロ(これどうするけろ)」
「ケロケロ(たべるけろ。そっちのほうがはやいけろ)」
「ケロケロ(そうだな)」
マントカエルが手を上げ、口を大きく開ける。
食べるつもりだ。
――結局こうなるのかよ
その時だった。
「邪魔」と唐突にカエルを踏みつけ、マントカエルから離れる。
助かった。
レオンを食べようとしたマントカエルが白い炎に燃えている。
その炎はとても見たことがあった。
顔を上げれば、肩まで短い金髪、青い目。ロングブーツにショートパンツ。白シャツに短めの青いコートのフードを着た白の聖女ジャンヌ・ダルクだった。
なぜか不機嫌そうだ。
もう一匹のマントカエルが舌を伸ばし、ジャンヌに攻撃するも。
「あ“あ”」
ドスをきいた声を上げ、手を大きく振り、白い炎の波をマントカエルに浴びせる。
ケロ~と白い炎と共に消える。
マントカエルは、魔女の一部である使い魔であるため、『光』を含めた白い炎に浄化される。
「どこに行きやがった・・・」
ジャンヌはイライラしながら何かを探しているようだ。
まだアキセがジャンヌに何かしたのだろうか。
「頭いて~」
ジャンヌは頭を抱えながら歩いていく。
でも不機嫌なジャンヌも危ないが、今はジャンヌに頼るしかない。
「ゲロゲロ」とジャンヌの足元にへばりつく。
「なんなの?この蛙?」
気付いてくれたが、アキセと同様足で払ってしまう。
それでもめけずにジャンヌの足にへばりつく。
「まだ来やがった」
切れ気味に言う。
やはり気付かない。レオンで伝えるより、魔女に変えられた方を伝えた方がいいかもしれない。
ジャンヌの足から離れ、「ケロケロ」と必死に訴える。
ジャンヌは首をかしげる。
「ん~もしかして魔女に変えられたの?」
カエルが大きく頷く。
「そういえば、あの蛙は使い魔か・・・」
――やっと気付いてくれた。さすがジャンヌさん。
「は~仕事か」
溜息を吐くジャンヌ。
「まあ、いいわ。ちょっとストレス発散にはなるかも」
え?
2匹のマントカエルに連れてこられたのは、屋敷だった。
「ケロケロ(やっとついたけろ)」
「ケロケロ(あけるけろ)」
マントカエルが部屋の扉を開けた瞬間だった。
「うわああああああああああああああああああああああああああああん」
耳鳴りがするほどの泣き声がした。
部屋の真ん中の机に頭を擦り付けながら泣いていた少女がおり、『呪い』が可視化した黒いモヤが漏れている。
『呪い』を生み出すのは魔女だけの力。つまり彼女が魔女である証になる。
「いつになったら、運命の人見つかるんけええええええええええええええええええ」
「ケロケロ(ひめさま)」
マントカエルが魔女に声をかける。
「え?何?」
さっきまで泣いていたのが、ウソのように開き直る魔女。
黒目。緑の髪で二つのおたんごに止めている。ピンクと緑のドレスを着ている少女だった。
「今度はどんな子を連れてきたの?」
魔女は嬉しそうに言う。
「ケロケロ(どうぞ)」
マントカエルは鳥かごを少女に差し出す。
「ん~」
鳥かごを持ち、見つめる魔女。
「まあ、見た目はいつもと変わらないケロね。これで1643回目。いい加減見つけたいケロ」
――どんだけやってるんだ
この魔女は、運命の人、つまり彼氏を探しているようだ。
恋をしたい魔女は、まともな恋をしない。大半が玩具としか見えていないからだ。新品だった人形がボロボロになり捨てられるのが目に見える。
「どれどれ」
魔女は鳥かごの扉を開け、手を入れる。
アキセはすかさず、レオンを蹴り、魔女に差し出す。
「てめえ!」
レオンは魔女に掴まれ、鳥かごから取り出す。
何をするかと思えば、魔女はカエルのレオンに口づけをする。
思わずに引いてしまった。
粘り気のある体に何も躊躇なく、口づけするとは。
キスして何か起こるかと思いきや、何も起きなかった。
「この子。違うケロ」
ポイと投げ捨てる。
どういうことだろうが、キスだけでは満足しないのだろうか。
それにいつもならレオンは魔女に好かれるはずが、姿が蛙のままなのか、レオンの誘惑が効かないようだ。
「さて、この子が本命ケロ」
――何が本命だ。無作為にカエルにキスしているだけだろうが。
魔女が鳥かごに手を入れる。いくら逃げても空しく、魔女の手に掴まれる。
そして、魔女とキスした瞬間だった。
アキセが元の人の姿に戻った。なぜか清楚な服装になっている。
「え~と・・・」
アキセが顔を上げる。
「見つけた・・・私の運命の王子様があああああああああああああああ」
魔女の目がキラキラに輝いていた。
「そうよそうよ。私はこの瞬間を待ってたケロ。そうキスで結ばれるこの運命の瞬間が」
なぜか語り始めた。
「探して早1645回目にしてやっと・・・やっと芽が咲いたあああああああ」
魔女は声を高らかに言う。
「それにかなりのイケメンケロ。今すぐ結婚ケロ~!」
「結婚は早すぎでは・・・」
「何言ってるんケ。結婚はスピードケロ。熱い内にしなくちゃ!さあ。準備を準備!」
魔女が盛り上がっている中、「ケロケロ(ひめさま)」とマントカエルが魔女に話かける。
「どうしたケロ?」
「ケロケロ(どうするけろ)」
マントカエルの手にまだカエルのままのレオンを持っていた。
「あ~適当に捨ててきて」
適当に言う魔女。
「ケロケロ(は~いけろ)」
2匹のマントカエルは、レオンを持ったまま部屋を出でしまった。
「さあ!結婚ケロ~」
ハイテンションな魔女である。
アキセを魔女に差し出したが、どうやって逃げようか。
レオンはカエルのまま、マントカエルに逆さに足を掴まれている。
カエルのままでは、精霊術が唄えない。
「ケロケロ(やっとおうじさまつかまえたけろ)」
「ケロケロ(これでめんどうなしごとはおわったけろ)」
マントカエルが相談してレオンの始末を考えているようだ。
「ケロケロ(これどうするけろ)」
「ケロケロ(たべるけろ。そっちのほうがはやいけろ)」
「ケロケロ(そうだな)」
マントカエルが手を上げ、口を大きく開ける。
食べるつもりだ。
――結局こうなるのかよ
その時だった。
「邪魔」と唐突にカエルを踏みつけ、マントカエルから離れる。
助かった。
レオンを食べようとしたマントカエルが白い炎に燃えている。
その炎はとても見たことがあった。
顔を上げれば、肩まで短い金髪、青い目。ロングブーツにショートパンツ。白シャツに短めの青いコートのフードを着た白の聖女ジャンヌ・ダルクだった。
なぜか不機嫌そうだ。
もう一匹のマントカエルが舌を伸ばし、ジャンヌに攻撃するも。
「あ“あ”」
ドスをきいた声を上げ、手を大きく振り、白い炎の波をマントカエルに浴びせる。
ケロ~と白い炎と共に消える。
マントカエルは、魔女の一部である使い魔であるため、『光』を含めた白い炎に浄化される。
「どこに行きやがった・・・」
ジャンヌはイライラしながら何かを探しているようだ。
まだアキセがジャンヌに何かしたのだろうか。
「頭いて~」
ジャンヌは頭を抱えながら歩いていく。
でも不機嫌なジャンヌも危ないが、今はジャンヌに頼るしかない。
「ゲロゲロ」とジャンヌの足元にへばりつく。
「なんなの?この蛙?」
気付いてくれたが、アキセと同様足で払ってしまう。
それでもめけずにジャンヌの足にへばりつく。
「まだ来やがった」
切れ気味に言う。
やはり気付かない。レオンで伝えるより、魔女に変えられた方を伝えた方がいいかもしれない。
ジャンヌの足から離れ、「ケロケロ」と必死に訴える。
ジャンヌは首をかしげる。
「ん~もしかして魔女に変えられたの?」
カエルが大きく頷く。
「そういえば、あの蛙は使い魔か・・・」
――やっと気付いてくれた。さすがジャンヌさん。
「は~仕事か」
溜息を吐くジャンヌ。
「まあ、いいわ。ちょっとストレス発散にはなるかも」
え?
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