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蛙恋の魔女①

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 アキセがふと思いついたことが全ての始まりだった。
 ジャンヌを酔っぱらったらどうなるか。
 そんな軽い思いつきがあんな結果を招くとは思わなかった。


 軽い思いつきからアキセは、『探しモノ地図』でジャンヌを探す。
 見つけた。早速ジャンヌの元へ。
 とある町でピアノ演奏つきのおしゃれな食堂にいたジャンヌがカウンターに座り、ピアノの演奏を聞いていた。
 近づいたとたんにジャンヌは、不機嫌な顔で視線をそらす。
 アキセは堂々とジャンヌの横に座る。
 それでもジャンヌは、視線を合わせようともしない。
 ジャンヌの手元に水の入ったコップがあった。
 アキセはこっそり店主に酒を頼み、水と酒を入れ替えさせる。
 これで準備が整えた。
「なんでこっちを見ないんだよ」
「おまえが口に出しただけで演奏が聞こえない」
 ぶっきらぼうに返され、ジャンヌは知らずに酒を飲んだ。
「うっ!」
コップを強く置き、黙り込む。
 ひくっ!
 ジャンヌは酔っぱらっている。
「なんだ。もう酔ったのか。弱いな」
 さて、どうなるかな。ベターだと。暴れるか泣く。あとは性格が変わって可愛くなるのかなと想像する。後者に期待する。
アキセはジャンヌに視線を向ける。
 ジャンヌは、赤くなっている。
「キス・・・」
「え?」
 気のせいか小さい声でキスと言ったような。
「キスさせろおおおおおおお!」
 ジャンヌが大声を上げ、アキセの胸元を掴み、キスをされる。しかも『光』を入れる。『光』が体内に入り、内臓が溶けだすような痛みが体内を走る。
 アキセはすぐさまジャンヌを突き飛ばす。
「きゃ!ひどい、突き飛ばすなんて!」
 ジャンヌの様子が明らかに違っていた。酒を一杯も飲み切っていないだけでここまで変わってしまった。
――どんだけ酒に弱いんだ
「あまりにも急なことでつい…」
 アキセは一歩下がる。ジャンヌはいつの間に酒瓶を持っている。
「なんて下がるの・・・」
「え?」
「散々セクハラしやがってしたいんだろう!逃げるんじゃねえぞ。種馬。万年発情期。女たらし。射〇〇射機。浮気者。ゲダモノ。クソたれ。バーカ。死ね」
「ちょっと後半ネタ切れか」
「そんなツッコミ入れるんじゃねーぞ!」
 ジャンヌは声を上げる。
周辺の客は面白がって見ているし、さらになぜかピアニストが状況に合わせて引いてくる。
――見世物じゃないぞ。
「キスさせろや!」
「そんな脅迫交じりのキスされても嬉しくない!」と逃げられても、結局ジャンヌのキスでアキセは気絶し、ジャンヌは酔って眠ってしまった。
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