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優美の魔女①
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「何あれ?」
茂みに隠れて様子を見ていたジャンヌは、不思議に思った。
それは、エルフたちが木を切り倒していた。
自然と共に生きる魔族(アビス)であるエルフが自然を破壊している。
どういうことだと考えようとしたが、背後から殺気がする。横へ飛び、転がりながら懐からロザリオに光の刃を作り、後ろへ構える。
先ほどまでいた場所には土の槍が伸びていた。以前にもレオンが使っている技に似ていた。
周囲にはエルフの姿が見えない。
木の陰に隠れながら精霊術を使っているだろう。
ここはエルフにとって有利な環境にいる。
森の中で自然を操る精霊が溢れている。どこから攻撃されるか、分からない。
警戒する中、正面から石が突然向かってくる。風で飛ばしているのだろう。
ロザリオで払おうとしたが、目の前で土が盛り上がり、土の壁となって石を防ぐ。
「こちらへ」
女の声がした。
目の前に葉が風に揺られながら、森の奥へと飛んでいく。葉が道案内している。
ジャンヌは、女の声に従う。
エルフたちの攻撃から逃れ、森の奥へ逃げていた。
「ここまでくれば大丈夫です」
声の主は、木の陰から姿を見せる。
耳が長く、金髪の長い髪。緑色の目。狩猟のような格好をしていた。エルフの少女だった。幼く見えてもエルフは長寿のため、年はジャンヌより上だろう。
「聖女と見受けて申します」
エルフ少女は、凛々しくいう。
「私は、カナエ・フェルディオ。私たちの村を救ってください」
「聖女の私に頼むってことは、魔女を退治してほしいってことだよね」
魔女を倒せるのは『光』を操る聖女のみ。助けてくれたのも依頼するためだった。
「はい」とカナエは答える。
「魔女は、私たちの村を支配しました。男は皆魔女の虜になり、命令でこの森をなくそうとしているのです」
エルフは美麗な一族で魔女でもその魅力にひかれるので、よく狙われている。だか、森を破壊する必要はあるだろうか。
「なぜ、森を?」
「魔女は、誘惑させる以外に砂を操る力を持っています。森を破壊して砂漠化を図ろうとしているのです」
「自分の好みに変えるってことね」
それも魔女の中でよくある話。自身好みに領地を変えることを。
「男は全員魔女の虜で女たちは?」
カナエは少し黙り込んた。
「実は・・・その魔女は美意識が高く・・・女たちに『タタリ』をかけたのです」
『タタリ』は、様々な災難を降りかかる。
『光』で浄化されないように魔女の中で開発された術『タタリ』を『光』に届かないほど相手の体内に入れられる。魔女と繋がっているため、魔女が消滅しない限り消えることはない。
「その『タタリ』って」
「見てもらえばわかります・・・」
美麗な種族のエルフは、魔女に狙われる。
ある時は魔女のおもちゃにされ、ある時は美しさの嫉妬に殺す魔女もいる。だか、今回の魔女は、後者でエルフに嫉妬をしているようだ。
エルフの女たちを、醜くしていた。
顔は崩れている。肌が荒れている。体が太っている。目が小さいなど、お世辞に綺麗とは言えなかった。
そんな彼女たちをジャンヌとカナエは茂みから覗いていた。
「これはまた・・・」
「見た目だけであればまだよかったのですが・・・」
お互いの欠点を言って喧嘩にさせる者。
ブサイクでありながら美を無理やり磨こうとする者。
自身が一番と偉ぶっている者といろいろと心まで醜くなっている。
さすが魔女。やることが徹底している。
「いくら見た目に自信がないからって、ガゼを流すのはよくないな」
わざとボケる。
「違います!本来はあなたに負けないほど美しい種族です!」
ジャンヌは静かにカナエを見たが、カナエはジャンヌから視線をそらす。
「私は、抗体があったおかげでどうにか逃れました」
『呪い』に対する抗体があれば、魔女からの『タタリ』が逃れる。
「そうなのね」
「もう皆魔女の手下になってしまいどうしようも・・・」
今回の魔女は、かなり美にこだわっているようだ。
今回も疲れるだろうなと肩が重くなった矢先だった。
「ジャンヌさん。見てください」
カナエが指した先を見る。
「あら、イケメン!」と声を上げながら不細工なエルフが追いかけている者がいた。その者は歯を食いしばるほど、とても必死に逃げていた。黒髪に黒目の黒いコートを着ている男だった。知っている者だった。
「助けないと」
「あれはほっときましょ」
「え?でも追いかけてますよ。しかも必死で」
「まあ、捕まったら大変なことになるでしょうね」
「なんかこっち見てますよ。気付いてません?」
「気のせいじゃないの。行きましょ」
「こっちきますよ!しかも引きずれて!」
「逃げるよ!」
「え?ジャンヌさん!」
カナエは、走り出したジャンヌを追いかける。
茂みに隠れて様子を見ていたジャンヌは、不思議に思った。
それは、エルフたちが木を切り倒していた。
自然と共に生きる魔族(アビス)であるエルフが自然を破壊している。
どういうことだと考えようとしたが、背後から殺気がする。横へ飛び、転がりながら懐からロザリオに光の刃を作り、後ろへ構える。
先ほどまでいた場所には土の槍が伸びていた。以前にもレオンが使っている技に似ていた。
周囲にはエルフの姿が見えない。
木の陰に隠れながら精霊術を使っているだろう。
ここはエルフにとって有利な環境にいる。
森の中で自然を操る精霊が溢れている。どこから攻撃されるか、分からない。
警戒する中、正面から石が突然向かってくる。風で飛ばしているのだろう。
ロザリオで払おうとしたが、目の前で土が盛り上がり、土の壁となって石を防ぐ。
「こちらへ」
女の声がした。
目の前に葉が風に揺られながら、森の奥へと飛んでいく。葉が道案内している。
ジャンヌは、女の声に従う。
エルフたちの攻撃から逃れ、森の奥へ逃げていた。
「ここまでくれば大丈夫です」
声の主は、木の陰から姿を見せる。
耳が長く、金髪の長い髪。緑色の目。狩猟のような格好をしていた。エルフの少女だった。幼く見えてもエルフは長寿のため、年はジャンヌより上だろう。
「聖女と見受けて申します」
エルフ少女は、凛々しくいう。
「私は、カナエ・フェルディオ。私たちの村を救ってください」
「聖女の私に頼むってことは、魔女を退治してほしいってことだよね」
魔女を倒せるのは『光』を操る聖女のみ。助けてくれたのも依頼するためだった。
「はい」とカナエは答える。
「魔女は、私たちの村を支配しました。男は皆魔女の虜になり、命令でこの森をなくそうとしているのです」
エルフは美麗な一族で魔女でもその魅力にひかれるので、よく狙われている。だか、森を破壊する必要はあるだろうか。
「なぜ、森を?」
「魔女は、誘惑させる以外に砂を操る力を持っています。森を破壊して砂漠化を図ろうとしているのです」
「自分の好みに変えるってことね」
それも魔女の中でよくある話。自身好みに領地を変えることを。
「男は全員魔女の虜で女たちは?」
カナエは少し黙り込んた。
「実は・・・その魔女は美意識が高く・・・女たちに『タタリ』をかけたのです」
『タタリ』は、様々な災難を降りかかる。
『光』で浄化されないように魔女の中で開発された術『タタリ』を『光』に届かないほど相手の体内に入れられる。魔女と繋がっているため、魔女が消滅しない限り消えることはない。
「その『タタリ』って」
「見てもらえばわかります・・・」
美麗な種族のエルフは、魔女に狙われる。
ある時は魔女のおもちゃにされ、ある時は美しさの嫉妬に殺す魔女もいる。だか、今回の魔女は、後者でエルフに嫉妬をしているようだ。
エルフの女たちを、醜くしていた。
顔は崩れている。肌が荒れている。体が太っている。目が小さいなど、お世辞に綺麗とは言えなかった。
そんな彼女たちをジャンヌとカナエは茂みから覗いていた。
「これはまた・・・」
「見た目だけであればまだよかったのですが・・・」
お互いの欠点を言って喧嘩にさせる者。
ブサイクでありながら美を無理やり磨こうとする者。
自身が一番と偉ぶっている者といろいろと心まで醜くなっている。
さすが魔女。やることが徹底している。
「いくら見た目に自信がないからって、ガゼを流すのはよくないな」
わざとボケる。
「違います!本来はあなたに負けないほど美しい種族です!」
ジャンヌは静かにカナエを見たが、カナエはジャンヌから視線をそらす。
「私は、抗体があったおかげでどうにか逃れました」
『呪い』に対する抗体があれば、魔女からの『タタリ』が逃れる。
「そうなのね」
「もう皆魔女の手下になってしまいどうしようも・・・」
今回の魔女は、かなり美にこだわっているようだ。
今回も疲れるだろうなと肩が重くなった矢先だった。
「ジャンヌさん。見てください」
カナエが指した先を見る。
「あら、イケメン!」と声を上げながら不細工なエルフが追いかけている者がいた。その者は歯を食いしばるほど、とても必死に逃げていた。黒髪に黒目の黒いコートを着ている男だった。知っている者だった。
「助けないと」
「あれはほっときましょ」
「え?でも追いかけてますよ。しかも必死で」
「まあ、捕まったら大変なことになるでしょうね」
「なんかこっち見てますよ。気付いてません?」
「気のせいじゃないの。行きましょ」
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「え?ジャンヌさん!」
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