魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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赤蚊の魔女④

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「いい加減、捕まれ!」
 以外にしぶとい。
 いくら撃っても吸血鬼(ヴァンパイア)の赤い剣で弾かれる。
「君もいい加減諦めたら」
「諦め悪いのが俺の取柄なんだ」
 銃を撃つ。
「これ以上君と相手したくないんだけど」
 吸血鬼(ヴァンパイア)は指を噛み、血を飛ばすが、刃のように鋭くなる。
 アキセは後ろへ下がる。
 アキセもこれ以上長引かせたくない。
 銃を指輪の中にしまい、召喚した散弾銃を撃つ。
 弾は広範囲に飛び、吸血鬼(ヴァンパイア)に向かう。
「散弾銃か」
 吸血鬼(ヴァンパイア)は赤い剣で弾くか、弾がついた先で陣が浮かび、鎖が伸びる。
「何?」
 四方八方から鎖が蛇のように襲い掛かる。
 吸血鬼(ヴァンパイア)が赤い剣で鎖を切っても、次々に鎖が襲ってくる。
 切ることも追いつかず、鎖に吸血鬼(ヴァンパイア)の体を絡み、そのまま木に引っ張りつける。
「月が出るから威力は下がるが、お前くらいならこれで十分だ」
 魔術は『呪い』を利用して発動する。月明かりで『光』が満ち、威力も落ちる。魔女相手は難しいが、魔族相手なら、足りる。
アキセは銃を構えながら、イーグスに近づく。
「やっと、捕まえた」
 イーグスは鋭い目つきをする。
「逃げようとしても無駄だ。その鎖は、魔力を無効化させるからな」
 アキセは銃をイーグスの額に当てる。
「いい眺め」
 アキセは見下ろして言う。
「さてと」
 魔力と『光』の抗体を奪うおう。
 奪う魔力は、相手に触れなければ発動する。
 アキセが手を伸ばそうとした時だった。
「ダーリン!見~つけた!」
 頭に衝撃がした。
それは、頭を地面にめり込むほど踏み込んできたからだ。
 顔を上げれば、アキセと踏んだと思われる女が、吸血鬼(ヴァンパイア)の元へ行く。
「ダーリン!もう!私を置いていくなんてひどいよ~」
 女は甘える声で吸血鬼(ヴァンパイア)を抱き着く。
「今解くね」
 モルモは、手に赤い刃を作り、吸血鬼(ヴァンパイア)の背後にある陣に刺す。
 陣は消え、鎖が解ける。
 魔術は、陣を一つでも傷つければ、不発になる。
「モルモ様・・・」
 吸血鬼(ヴァンパイア)は冷や汗をかいている。
「だから~モルちゃんって言って。ねえあの泥棒猫に騙されたんでしょ」
 女から『呪い』が可視化した黒いモヤが漏れている。『呪い』を生み出せる女は、魔女である証。
やばい。
魔女が来た。しかも吸血鬼(ヴァンパイア)の彼女らしい。
 魔女が吸血鬼(ヴァンパイア)を痛めつけたと知ったら、目に見えている。
 早く立ち去らなければと思ったが。
「どこにいったあああああああああああ!」
 あの声はジャンヌの声だ。しかも怒り狂っているようだ。
 こういう時のジャンヌは、厄介だ。味方と言っても信じてくれない。
 仕方がない。
 アキセは煙弾を指輪から召喚し、煙幕を出す。


 魔女を探していたら、急に煙が噴き出す。
 おそらく魔女はそこにいる。
 案の定、煙から魔女が誰かを持って逃げていくのが見えた。
 モルモがイーグスを連れていったのだろう。
「あ~、行っちゃった。まあいっか。私をおとしめた罰よ。さあ帰ろ」
 と思ったが。
「あれ、行くんですか」
 イーグスがいた。
「え?ちょっと待った。あんたがそこにいるってことは、じゃあ、魔女に連れて枯れたのは・・・」


「誰よ!あんたは!」
 モルモに押し倒されていたのは、拘束されているアキセだった。
「いや~誰でしょうね・・・」
 アキセは冷や汗をかきながら答える。
 モルモは吸血鬼(ヴァンパイア)と間違えてアキセを連れていた。
 魔女はじっと覗き込む。
「あんた。さっき、私のダーリンをいじめた奴でしょ」
「違います」
 顔に平手打ちをされる。
「私は、あんたのようなそこそこイケメンでもダーリンの完璧なイケメンはそうはいないの!」
――はあ、顔には自信があるが、あの吸血鬼(ヴァンパイア)には負けたくない
「せっかくいい結婚式場見つかったから、村人を吸いだしたのに」
「もういいや。血だけ飲もう」
 モルモは口から長い触角を蛇のように伸ばす。
 このままでは魔女に食べられてしまう。
 早く打開策を考えなければ。
「ちょ、待った!」
 素早く触角は口の中に入った
「何よ。往生際が悪いわね」
「あの吸血鬼(ヴァンパイア)と結婚したいんだろ!ちょっと提案があるんだか」
「ダーリンをいじめた奴に聞く耳持たない」
 モルモはそっぽを向く。
「これは確実に捕まえるからさ。な?」
「ふ~。私が気に入るものでしょうね」
 モルモは聞いてくれた。
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