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借名した末路②

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 レオンはジャンヌを連れていた。
 リリスから逃げ、男装に着替えたレオンは、町の中をふらついていた時だった。
 偶然、あのジャンヌがアキセと一緒にいたからだ。デートのように。
 気になってついていけば、案の定アキセは、部屋に連れ込んでやるつもりだった。
 早速、阻止するために、タイミングを見計らって、窓から蹴りを入れ、ジャンヌを救い出したところだった。
 今は、人気のない小道に入っていた。
「え・・と」
 ジャンヌが困っていた。
 おかしい。様子がおかしすぎる。そんなに会っている回数が少ないが、明らかに違う。
 もしかしたら。
「ジャンヌさ・・・んは、やっぱりあいつがいいのか・・・」
 レオンは思わず聞く。
「私は・・・」
 その時だった。
「うわ!」
唐突に体が重くなり、吸われているように地面に伏せ、身動きが取れなくなった。
 よく見れば、陣が張っている。
「大丈夫か?ハニー」
 背後から片手に銃を持っていたアキセがいた。
「げ!」
 来やがった。
「アキセくん・・・」
「ちょっとあっちに行ってくれるかな」
 アキセは、口を柔らかくしてジャンヌを誘導する。
「ええ・・・穏便にね」
――止めないの!
「うん。穏便にするさ」
――ウソだ。こいつが穏便にするわけがない!
申し訳なさそうな顔を見せながら、ジャンヌはこの場から去る。
「さて」
 アキセの顔が豹変する。
「よ!中性子」
「誰が!中性子だ!」
 コゼットと呼ばれるのも嫌だが、その呼び名も嫌だ。
「おまえ!ジャンヌさんに何をした!」
「それより。おまえが、さんとつけるような仲になった?」
「おまえに言うことはない!」
 いとまきの魔女以来、妙にジャンヌが気になってしまった。どっちかというと親しい人ができたような感覚だった。そんな事情をアキセには知られたくない。
 アキセは舌打ちする。
「ジャンヌの経緯はもういいや。さて、どうしようか。ほっといても、どーせ邪魔しにきそうだし」
「お前の想い通りになるか!こんなもの!」
 精霊術を使い、地面を割れ、陣を壊そうとしたが、アキセが銃で打ったトリモチで口を塞がれてしまった。
 口を塞がれては、精霊術が使えない。
「させるかよ。おまえの魂胆は丸見えなんだよ。さて、どうしたものか」
 アキセは悪い顔をする。


「お待たせ」
 アキセは、噴水に座っていたジャンヌの元へ戻る。
「ねえ。あの子は?」
 ジャンヌは首をかしげる。
「あ~あいつはもう帰ったよ」
「そう」
「さあ、続き行こうか」
 再び宿へ。


 あのやろ~
 レオンは縄で体を縛られ、どこかの森の中で木にぶら下がっている状態にいた。
 災厄なことに口にまで封じられ、精霊術も使えない。
――くそ。あいつの想い通りには・・・
 悔やんでいた時だった。
「何してるのよ」
 レオンは声がした先を見る

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