魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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豪火の魔女⑥

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 ジャンヌは『光』が足りない中、トゥルーデと苦戦していた。
 トゥルーデのカギ爪と足を避け、炎を白い炎で打ち消しの繰り返しだった。
 記憶を取り戻したゆえに、全体の半分以下しか『光』が持っていない。
 相手の目的は分かっている。
 ジャンヌの『光』の消耗を狙っている。切れかけたところで止めを刺しに来るはず。
 さらに森が燃え広がり、息が苦しくなっていく。このままでは、相手の有利の立場に陥ってしまう。
「あら、さっきの元気はどこにいったのかしら」
トゥルーデが余裕ぶった顔で見つめる。
 どうすると考えこんだ時だった。
 トゥルーデに大量の水が襲いかかる。
 炎が消えることはなかったが、水が効いたのが炎は少し弱まっている。
「ああ?」
 不機嫌な顔のトゥルーデは振り替えると、アキセが立っていた。
「小僧!」
 アキセは、すかさず銃を1発、打ち続ける。弾は、トゥルーデの足元に打たれ、青く光る。
 そこには、『水』と描いていた。
 トゥルーデは、顔が豹変した。
 足元から水が噴き出し、トゥルーデを襲う。その水は、トゥルーデだけでなく、周囲の火も消していた。
「ああああああああああああああああああ」
 トゥルーデが水から逃げ出す。
 体中の炎が小さくなっていた。それほど効いたのだろう。
トゥルーデはアキセをにらみつける。
「小僧!魔女文字(ウィーンもじ)を使いやがって!」
 魔女文字(ウィーンもじ)は、魔女しか読めない文字。確か魔女文字(ウィーンもじ)は、その文字を理解しなければ、発動ができない。特に『水』は、解明した魔女文字(ウィーンもじ)の一つだった。
アキセは、トゥルーデに考える暇を与えないように銃を連続で打ち続ける。
だか、確か手に火傷を負って、銃を掴めることすらできないはず。もしかしたら、あれを使ったかもしれない。
負傷したアキセが、堂々とトゥルーデの前に出た。
何かあると悟る。
 周囲を見渡せば、視界の隅にトールが走ってくるのが見えた。
 トールの手元には、ロザリオを持っている。
「なんてシンプルな」
 どうやら、アキセがトゥルーデを引き継げている間にトールがロザリオを持ってくる作戦のようだ。
 アキセの思惑に気付いたジャンヌはトールの元へ走り出す。
「させるが!」
 トゥルーデも作戦に気付いたのか、アキセの攻撃から逃れる。翼を大きく振り、火の鳥を生み出し、トールを襲い、ガギ爪から炎をアキセに向かって放つ。
 アキセはすかさず、足元に銃を打ち、魔法陣が発動し、水の盾を生み出す。トゥルーデの炎が水の盾に当たり、蒸発される。
 蒸気の中から銃弾を2発放つ。
 1発目は、トゥルーデの足元に当てる。魔女文字(ウィーンもじ)の水を発動し、トゥルーデの動きを止める。
 2発目は、地面に当たり、魔女文字(ウィーンもじ)の水を発動し、水の盾を作り、トールに向かう火の鳥を蒸発させる。
 アキセが姿を見せた時には、膝をついていた。
 魔女文字(ウィーンもじ)は、高度な魔術で体力を奪われたのだろう。
 トゥルーデが思った動きを出来ずに苛立ちし始めた。
「小僧!」
 トゥルーデは、アキセをにらみつける。
「残念でしたー」
 アキセは、中指を立てる。
 アキセが防いでくれたおかげで、トールがジャンヌの元へ接近する。
「ジャンヌさん!」
 トールは、ロザリオをジャンヌに向かって投げる。
 ジャンヌは、ロザリオを受け取る。
 ロザリオに光の刃を生み出したジャンヌは、トゥルーデに近づき、翼の片腕を切り落とす。
「ああああああああああああああああ」
 トゥルーデは叫ぶ。
「おまええええええええええええええ!」
 トゥルーデは、カギ爪を前に出し、火の鳥を出す。
 ジャンヌはロザリオで一振りし、火の鳥を浄化される。
 トゥルーデは片腕を失い、火の鳥を使ってもすぐに消える。もう打つ手がないはず。
 撤退を図ったのか、トゥルーデは逃げ出す。
「逃がすかよ」
 アキセは杖の指飾りで魔法陣を描き、蛇のような動きする水は、トゥルーデの足に絡め、逃亡を防ぐ。
 トゥルーデは、アキセににらみつける。
 その隙を狙い、ジャンヌは、ロザリオに『光』を溜め、光の刃の輝きを増す。
「しねえええええええ!」
 その輝きにトゥルーデの顔は豹変し、カギ爪から炎を出し、最後まであがいてくる。
 炎はジャンヌに向かうが。
「消えろ」
 目つきを鋭くし、ロザリオを大きく振り、輝かしく、大きい白い炎を生み出す。
 その炎は、トゥルーデの炎を飲み込んでも勢いが納まらず、トゥルーデを襲いかかる。
「きぃやあああああああああああああああああああ」
 叫びとともに炎は空高く広がっていく。
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