18 / 648
野獣の夜 ③
しおりを挟む
狭い通路では戦いにくい。
吸血鬼(ヴァンパイア)が一斉に襲われる前に、広いメインデッキに出る。
「貴様がいるとはな」
そこにはアンザムが立っていた。
「何知り合い?」
「いたっけな・・・」
アキセはわざと惚けたようにいう。
「ほう、覚えていないと・・・貴様が魔力を奪ったおかげで地位を失い、こんな下働きをする羽目になったんだぞ」
アンザムの言葉の中に怒りを感じる。
アキセの盗みの魔力は、相手の魔力や能力を奪える。以前その被害者に会っている。
「え。そうなの。下っ端への降等おめでとう」
アキセは悪意に祝賀する。
「ほんと、あんた。敵は多いわね」
ジャンヌは呆れた目でアキセを見つめる。
「まあ、俺も結構やってるからな。いちいち覚えてやれん」
「意地でも思い出させる」
忘れたことに気が障ったアンザムは剣を抜き、突っ込む。
距離を取るが、アンザムはアキセの方に向かい、アキセは魔術の杖の一つ銃で立ち向かっている。
どうやらジャンヌの相手は下っ端の吸血鬼(ヴァンパイア)だった。
一斉に赤い剣を構えた吸血鬼(ヴァンパイア)が襲ってくる。
赤い剣で切りにかかってくるが、白い炎で遠慮なく吸血鬼(ヴァンパイア)を燃やしていく。
やられた仕返しをしっかり返してやる。
そんな中、帆の紐を掴みながら飛ぶ吸血鬼(ヴァンパイア)に蹴られる。
転がるよう船の外へ滑っていく。
ロザリオを上甲板に刺し、危機を回避する。
危うく湖に落とされるところだった。
この状態で襲われたらたまったものではない。早くメインデッキに戻らなければと思ったが、吸血鬼(ヴァンパイア)が襲って来ない。
こんな好機を吸血鬼なら逃さないはずでは。
その時、唸り声を上げていた。
下っ端の吸血鬼がやられているようだ。
高い声をしたと思ったら、野太い男の声がした。
アキセやアンザムの声ではない。一体誰だろうか。
体を大きく揺らし、思いっきり足を持ち上げた瞬間、ロザリオを十字架に戻し、上に上がり、メインデッキに戻る。
そこには、いつの間にかいなくなったオリビアがアンザムを殴り飛ばしていたところだった。
――どういうこと?
ジャンヌは首をかしげる。
ジャンヌが船の外へ飛ばされた。
「あいつ!」
視線を向いた瞬間、アンザムの回し蹴りで頭を蹴り、そのまま船床に伏せる。
首を足で抑え、手に剣が刺す。
「ぐっ!」
アンザムは見下ろしている。
「本当にその手が一番憎い」
手を剣に刺さっては、奪う魔力が使えない。
徐々に首を踏みつける。
「死ね」
その時だった。
突然の唸り声。
視線を向けば、ジャンヌを下っ端の吸血鬼が倒れていた。顔にキス跡があった。
「ガルムきゅ~ん!」
高い声が響いた。
その声でアキセは身を縮める。声をした方へ向けば、水色の長髪。黄色の瞳。ロングスカートとシャツとブラザーを着た女が立っていた。
「げ・・・ユーベル・・・」
アキセは彼の名前を言った。
「私のアキセ君をいじめるなんて・・・」
ユーベルは徐々に近づく。
「ひどいことす“ん”じゃね“え”ぞ!」
男に近い口調でアンザムを殴り飛ばす。
アンザムも驚いたのか目開いている。
「あれ?どうなっているの?これ?」
ジャンヌの声がした。
ジャンヌもようやく船上に登れたようだ。
「まさか・・・おまえ・・・オカマか・・・」
アンザムが怯えながら言う。
ユーベルはオカマだった。
淫魔は3種類いる。異性と狙う一般の淫魔。特殊な欲情を持つ淫魔。そして、オカマ。
男の淫魔の突然変異。同性と性行為するようになり、同性と体を磨くために、女も襲うという。現在はユーベルを含め5人もいるそうだ。
「あ~でも、よく見たら、イケメーン。食べかいがありそう」
ユーベルは興奮したように声を高らかに言いながら、アンザムを見つめる。
「遊びましょう~」
ユーベルは、陽気にいいながら、アンザムに向かう。
こうなってしまってはもうアンザムたちは終わりだった。
船上では、悲鳴が静寂だった夜に響いた。
吸血鬼(ヴァンパイア)が一斉に襲われる前に、広いメインデッキに出る。
「貴様がいるとはな」
そこにはアンザムが立っていた。
「何知り合い?」
「いたっけな・・・」
アキセはわざと惚けたようにいう。
「ほう、覚えていないと・・・貴様が魔力を奪ったおかげで地位を失い、こんな下働きをする羽目になったんだぞ」
アンザムの言葉の中に怒りを感じる。
アキセの盗みの魔力は、相手の魔力や能力を奪える。以前その被害者に会っている。
「え。そうなの。下っ端への降等おめでとう」
アキセは悪意に祝賀する。
「ほんと、あんた。敵は多いわね」
ジャンヌは呆れた目でアキセを見つめる。
「まあ、俺も結構やってるからな。いちいち覚えてやれん」
「意地でも思い出させる」
忘れたことに気が障ったアンザムは剣を抜き、突っ込む。
距離を取るが、アンザムはアキセの方に向かい、アキセは魔術の杖の一つ銃で立ち向かっている。
どうやらジャンヌの相手は下っ端の吸血鬼(ヴァンパイア)だった。
一斉に赤い剣を構えた吸血鬼(ヴァンパイア)が襲ってくる。
赤い剣で切りにかかってくるが、白い炎で遠慮なく吸血鬼(ヴァンパイア)を燃やしていく。
やられた仕返しをしっかり返してやる。
そんな中、帆の紐を掴みながら飛ぶ吸血鬼(ヴァンパイア)に蹴られる。
転がるよう船の外へ滑っていく。
ロザリオを上甲板に刺し、危機を回避する。
危うく湖に落とされるところだった。
この状態で襲われたらたまったものではない。早くメインデッキに戻らなければと思ったが、吸血鬼(ヴァンパイア)が襲って来ない。
こんな好機を吸血鬼なら逃さないはずでは。
その時、唸り声を上げていた。
下っ端の吸血鬼がやられているようだ。
高い声をしたと思ったら、野太い男の声がした。
アキセやアンザムの声ではない。一体誰だろうか。
体を大きく揺らし、思いっきり足を持ち上げた瞬間、ロザリオを十字架に戻し、上に上がり、メインデッキに戻る。
そこには、いつの間にかいなくなったオリビアがアンザムを殴り飛ばしていたところだった。
――どういうこと?
ジャンヌは首をかしげる。
ジャンヌが船の外へ飛ばされた。
「あいつ!」
視線を向いた瞬間、アンザムの回し蹴りで頭を蹴り、そのまま船床に伏せる。
首を足で抑え、手に剣が刺す。
「ぐっ!」
アンザムは見下ろしている。
「本当にその手が一番憎い」
手を剣に刺さっては、奪う魔力が使えない。
徐々に首を踏みつける。
「死ね」
その時だった。
突然の唸り声。
視線を向けば、ジャンヌを下っ端の吸血鬼が倒れていた。顔にキス跡があった。
「ガルムきゅ~ん!」
高い声が響いた。
その声でアキセは身を縮める。声をした方へ向けば、水色の長髪。黄色の瞳。ロングスカートとシャツとブラザーを着た女が立っていた。
「げ・・・ユーベル・・・」
アキセは彼の名前を言った。
「私のアキセ君をいじめるなんて・・・」
ユーベルは徐々に近づく。
「ひどいことす“ん”じゃね“え”ぞ!」
男に近い口調でアンザムを殴り飛ばす。
アンザムも驚いたのか目開いている。
「あれ?どうなっているの?これ?」
ジャンヌの声がした。
ジャンヌもようやく船上に登れたようだ。
「まさか・・・おまえ・・・オカマか・・・」
アンザムが怯えながら言う。
ユーベルはオカマだった。
淫魔は3種類いる。異性と狙う一般の淫魔。特殊な欲情を持つ淫魔。そして、オカマ。
男の淫魔の突然変異。同性と性行為するようになり、同性と体を磨くために、女も襲うという。現在はユーベルを含め5人もいるそうだ。
「あ~でも、よく見たら、イケメーン。食べかいがありそう」
ユーベルは興奮したように声を高らかに言いながら、アンザムを見つめる。
「遊びましょう~」
ユーベルは、陽気にいいながら、アンザムに向かう。
こうなってしまってはもうアンザムたちは終わりだった。
船上では、悲鳴が静寂だった夜に響いた。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる