魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

文字の大きさ
上 下
4 / 654

10月31日④

しおりを挟む
 金髪で紫の目。黒い三角帽子。黒いワンピース。長い黒の手袋。ブーツ。片足は黒と黄色の縞模様だった。黒いマントをなびかせる魔女だった。
「まさか、あんなランタンに変装していたとはね」
「サプライズはあった方が盛り上がるでしょ」
「そうね!」
 ジャンヌは、白い炎の球をサリーナに向けて放つ。
 サリーナは、後ろへ一回転してかわす。
「ちょっと、失礼じゃないの」
 サリーナは腰に手を付け、文句を言う。
「よくも見世物にしやがったな」とドスの入った声で言う。
「面白かったでしょ」
「まあな」
 ゴツ。
 アキセが返したので、殴った。
「面白くない」
「それにさっき、私を投げたでしょ」
 アキセにランプを投げていた。あれが魔女とは誰だって思わない。
「あれ、結構痛かったんだけど」
 サリーナはジャンヌを見下ろす。
「いい投擲があったもので」
 嫌味に返す。
「それに主催者なら終わらせるのも仕事でしょう」
 ジャンヌは、サリーナをにらみつける。
「くふふふ。祭りはこれからでしょ!」
 サリーナは、ランタンを先にぶら下がっているホウキを出す。
「トリック・オア・トリート!」
 箒を振るい、ランタンから火の玉を飛ばす。
 ジャンヌは白い炎を横に振るい、炎の壁を作る。火の玉は、白い火の壁にぶつかり、『光』の浄化により蒸発するように消える。
白い炎の壁を越え、ランタンのような獣がジャンヌに襲い掛かる。そのまま地面に倒れる。ジャンヌは手でランタンの獣を抑える。
 よく見れば、グローブが口で、口の中に火が燃えている。黒い手足が伸び、今でも引っかいてくる。
 アキセは横からランタンの獣を足で蹴り飛ばす。
 ジャンヌはすかさず、白い炎をランタンの獣に向かって放つ。
 ランタンの獣は白い炎に包まれ、炎と共に消える。
「とりあえずご無事で」
 アキセが手を伸ばすが、ジャンヌは無視して立ち上がる。
 周囲を見れば、いつの間にか町人たちに囲まれている。手には鍬やオノを持っていた。
「町人は、普通の人間だからね。朝日が昇る前に私を殺さないとこの町とともに魂を奪って消えるからね。頑張ってきてね」
 サリーナは、黒マントで体を包み、そのまま消えていった。
「待て!逃げるな!」
 ジャンヌは追いかけようとしたが、町人に囲まれていた。
 これ以上時間をかけたくない。
「はあ~しゃあ~ねえ」
 アキセが銀色の銃を上に向ける。
 銃は魔術を発動する杖の一種。魔術を使うようだ。
 アキセは上へ撃ち、弾がはじけ、四方八方に飛び散る。雨のように降り、町人に当たる。当たった町人は、それっきり動かなくなった。
「あんた。何をしたの?」
「弾に当たった者は一時的に止まる術だよ・・・あ」
 ジャンヌは一発殴る。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

婚約破棄からの断罪カウンター

F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。 理論ではなく力押しのカウンター攻撃 効果は抜群か…? (すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。

火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。 王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。 そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。 エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。 それがこの国の終わりの始まりだった。

冤罪で追放した男の末路

菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

処理中です...