150 / 167
番外編
第71話 我が家を離れる時
しおりを挟む
時刻は14時手前……
俺はあの後、少し眠る事が出来て、今は単身赴任先に戻る準備をしている。
寝室で旅行カバンに荷物を仕舞い込み、普段着から外出用の服に着替える。
(何時も思うが……我が家を離れる時は寂しいな)
1~2ヶ月位の応援派遣の予定が、今月末で約5ヶ月に成る。
応援派遣先の事業所長の話では『どんなに長引いても、年末までにはどうにかさせる…』と言っていたが、本当だろうか? 眉唾では無いだろうか!?
(けど、人が来なければ俺は…、元の事業所に戻る事は出来ない)
軽いため息を付きながら、俺は家を出る準備を進める。
……
「お父さん!」
「来月末、直ぐに会えるのだから元気出して♪」
出発間際。
母さんはリビングで待っていて、そう言って俺を励ます。
母さんは寂しそうな表情を見せる素振りは無く、普段通りで有った。
「まだ、休暇の届けは出してないから、その様に成るとは限らないが……」
「でも、無理矢理でも帰って来るのでしょ♪」
「まぁな…。里帰りは権利だし」
「けど、お父さんが勤めている所が、グループ企業でも大手で良かったわ!」
「これが中小企業だったら、こんな簡単に里帰りは出来てないかも知れないよ!!」
「……間違っては無いかもな」
「コンプライアンス何て真剣に遵守するのは、大手企業や大手に近い企業だけだし……」
「子ども達が小さい時に単身赴任が起きてしまったら、私ももっと文句を言うけど、頼りに成る宮子が側に居るし、咲子や真央も子どもでは無いから、頑張ってお仕事に専念してね。お父さん!!」
母さんはそう言って、俺の肩をポンと押す。
「じゃあ、母さん…。そろそろ時間だし、行って来るよ」
「はい!」
「お父さん! 行ってらっしゃい!!」
俺は母さん共にリビングから出ると、待っていたかの様に宮子、咲子、真央が其処に居た!
「……咲子が、リビングに入りたがっていたけど、私が止めて置いた」
俺の顔を見た宮子は、開口一番で言う。
(あぁ……そう言う事か)
(俺が帰るのに母さん以外、誰も来ないから変だと思っていた)
(宮子が、俺と母さんに気を遣ってくれたのか)
「あなたが一番好きなのは、お母さんの筈だからね!」
「そうでしょ……」
少し真面目な顔をして言う宮子。
(咲子にフェイントを掛けているな。宮子の奴…)
「うん…。宮子の言う通りだ!」
「俺が一番愛しているのは母さんだ!!」
「……そんな事、改めて言わなくも良いよ。知っているから…」
咲子は、少しむくれながら言う。
当然、咲子には聞きたく無い言葉だろう。
「宮子、咲子、真央……」
「お父さんは今から単身赴任先に戻るけど、母さんの手助けとサポートをして、姉妹喧嘩は成るべく無い様にな…!」
「私はもう、喧嘩をする年では無いよ…」
「体に気を付けてね…。数日間だけど、お父さんを知る事が出来たよ!」
すまし顔で言う宮子だが、最後の方は微笑みながら言う。
宮子と俺の間に有った障壁は、完全に無くなっている。
「ありがとう…。宮子」
俺が宮子にお礼を言った直後に、咲子が話し始める。
「お父さん!」
「向こうでも成るべくお料理をして、後お酒は控えるんだよ!」
「お父さんの仕事は、体が資本なんだから!!」
「お野菜も沢山取るんだよ♪」
母さんが言う様な言葉を言う咲子。
本当に、俺をまだ諦めてないのか……
「料理は残業が無い時に、頑張ってみるよ。酒は……上手に飲むよ」
「そう言って結局、今までと同じ生活をしていそう……」
咲子はジト目に成って言う。
自炊は少し考えて居るが……酒を減らすのは厳しいだろう。
監視役が居ないから、好きなだけ飲めてしまうからだ。
「お父さん! 行ってらっしゃい!!」
「元気でね~~!!」
これは何時もの事だが、……真央の接し方を一度見直した方が良いかも知れない。
親子なのに、友達感覚で言う言葉で送り出されるのは少し寂しい。
俺はみんなに見送られながら、車に荷物を積み込んで、我が家のガレージから車を出す。
「じゃあ、母さん…。留守の間は頼む!」
「はい! 任せておいて!!」
「多少の事は宮子が居るから、問題ないから♪」
「お父さん! 気を付けてね!!」
「行ってらっしゃい! お父さん!!」
『行ってらっしゃい~~』
母さんの言葉の後、娘達も言葉を言う。
俺は車内から『行ってきます…』と大声で言い、我が家から離れて行った……
数日間の我が家の滞在も、今此処で終わりを迎えた……
俺はあの後、少し眠る事が出来て、今は単身赴任先に戻る準備をしている。
寝室で旅行カバンに荷物を仕舞い込み、普段着から外出用の服に着替える。
(何時も思うが……我が家を離れる時は寂しいな)
1~2ヶ月位の応援派遣の予定が、今月末で約5ヶ月に成る。
応援派遣先の事業所長の話では『どんなに長引いても、年末までにはどうにかさせる…』と言っていたが、本当だろうか? 眉唾では無いだろうか!?
(けど、人が来なければ俺は…、元の事業所に戻る事は出来ない)
軽いため息を付きながら、俺は家を出る準備を進める。
……
「お父さん!」
「来月末、直ぐに会えるのだから元気出して♪」
出発間際。
母さんはリビングで待っていて、そう言って俺を励ます。
母さんは寂しそうな表情を見せる素振りは無く、普段通りで有った。
「まだ、休暇の届けは出してないから、その様に成るとは限らないが……」
「でも、無理矢理でも帰って来るのでしょ♪」
「まぁな…。里帰りは権利だし」
「けど、お父さんが勤めている所が、グループ企業でも大手で良かったわ!」
「これが中小企業だったら、こんな簡単に里帰りは出来てないかも知れないよ!!」
「……間違っては無いかもな」
「コンプライアンス何て真剣に遵守するのは、大手企業や大手に近い企業だけだし……」
「子ども達が小さい時に単身赴任が起きてしまったら、私ももっと文句を言うけど、頼りに成る宮子が側に居るし、咲子や真央も子どもでは無いから、頑張ってお仕事に専念してね。お父さん!!」
母さんはそう言って、俺の肩をポンと押す。
「じゃあ、母さん…。そろそろ時間だし、行って来るよ」
「はい!」
「お父さん! 行ってらっしゃい!!」
俺は母さん共にリビングから出ると、待っていたかの様に宮子、咲子、真央が其処に居た!
「……咲子が、リビングに入りたがっていたけど、私が止めて置いた」
俺の顔を見た宮子は、開口一番で言う。
(あぁ……そう言う事か)
(俺が帰るのに母さん以外、誰も来ないから変だと思っていた)
(宮子が、俺と母さんに気を遣ってくれたのか)
「あなたが一番好きなのは、お母さんの筈だからね!」
「そうでしょ……」
少し真面目な顔をして言う宮子。
(咲子にフェイントを掛けているな。宮子の奴…)
「うん…。宮子の言う通りだ!」
「俺が一番愛しているのは母さんだ!!」
「……そんな事、改めて言わなくも良いよ。知っているから…」
咲子は、少しむくれながら言う。
当然、咲子には聞きたく無い言葉だろう。
「宮子、咲子、真央……」
「お父さんは今から単身赴任先に戻るけど、母さんの手助けとサポートをして、姉妹喧嘩は成るべく無い様にな…!」
「私はもう、喧嘩をする年では無いよ…」
「体に気を付けてね…。数日間だけど、お父さんを知る事が出来たよ!」
すまし顔で言う宮子だが、最後の方は微笑みながら言う。
宮子と俺の間に有った障壁は、完全に無くなっている。
「ありがとう…。宮子」
俺が宮子にお礼を言った直後に、咲子が話し始める。
「お父さん!」
「向こうでも成るべくお料理をして、後お酒は控えるんだよ!」
「お父さんの仕事は、体が資本なんだから!!」
「お野菜も沢山取るんだよ♪」
母さんが言う様な言葉を言う咲子。
本当に、俺をまだ諦めてないのか……
「料理は残業が無い時に、頑張ってみるよ。酒は……上手に飲むよ」
「そう言って結局、今までと同じ生活をしていそう……」
咲子はジト目に成って言う。
自炊は少し考えて居るが……酒を減らすのは厳しいだろう。
監視役が居ないから、好きなだけ飲めてしまうからだ。
「お父さん! 行ってらっしゃい!!」
「元気でね~~!!」
これは何時もの事だが、……真央の接し方を一度見直した方が良いかも知れない。
親子なのに、友達感覚で言う言葉で送り出されるのは少し寂しい。
俺はみんなに見送られながら、車に荷物を積み込んで、我が家のガレージから車を出す。
「じゃあ、母さん…。留守の間は頼む!」
「はい! 任せておいて!!」
「多少の事は宮子が居るから、問題ないから♪」
「お父さん! 気を付けてね!!」
「行ってらっしゃい! お父さん!!」
『行ってらっしゃい~~』
母さんの言葉の後、娘達も言葉を言う。
俺は車内から『行ってきます…』と大声で言い、我が家から離れて行った……
数日間の我が家の滞在も、今此処で終わりを迎えた……
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる