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番外編
第65話 帰る直前に…… その3
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スーパーでの買物を終えた後は家に戻り、早速カレーを作り始めようとすると母さんが声を掛けてくる。
「お父さん!」
「カレー作る時に、ついでに冷蔵庫に有るナスも使ってね♪」
母さんはそう言う。
料理で冒険はしない母さんだが、夏の時期のカレーはナスやピーマン等の夏野菜が入る。
定番のカレーから当然外れるが……母さんの中では『夏野菜カレー』と登録されている様で有る。
俺はその時気分で、カレーの野菜類は変わるが、母さんの場合はその辺が少し違う。
定番のカレーの時は本当に豚肉、ジャガイモ・ニンジン・タマネギでしか作らない。
その定番カレーの肉類が時々、牛肉(外国産)や鶏肉に変わるのは、咲子や真央がリクエストするからで有った。
そうでなければ、我が家カレーは豚肉が定番で有った。
カレーを作るのは俺だけで無く、咲子も手伝ってくれる。
この家には包丁が2本有るので、最初はカレーの野菜類の準備から始める。
俺はタマネギやニンジンを切っている中、咲子はピーラーでジャガイモの皮を剥いている。
「お父さん。やっぱり、台所が広いのは良いね♪」
「お互い、適度の距離が有って作業しやすいね♪」
単身赴任先のアパートの台所と比べれば、母さん達が住んで居る台所の方が遙かに広いし、咲子も勝手が分かる。
「分担作業もしやすいしな!」
「だね! お父さん!!」
「今日はカレーだけど、今度はもっと凝った物も作ろうね♪」
「咲子…。カレーでも十分に凝っているだろう?」
「お父さん的にはそうだけど、カレーは小学生でも作れるんだよ!」
「カレーは林間学校(キャンプ)での定番料理だし!!」
「咲子は……俺と凝った料理を作りたいのか?」
「うん!!」
「チャーシューとか豚の角煮を作ってみたい♪」
「……それ位なら、母さんとでも出来るだろ…?」
チャーシューや豚の角煮も一見大変そうには見えるが、“下ごしらえ”さえしっかりすれば、さほど難しい料理では無いらしい。
俺の場合は作るより、買った方が良いが、家族全員で食べると成ると手作りが必要になるだろう。
「聞いてよ、お父さん。お母さんが嫌がるんだよ!」
「『最初のあく抜きが面倒くさそう…』と言って、それを却下するんだよ!!」
咲子は口を尖らせながら言う。
「まぁ、家族みんなで食べると成ると量も要るし、細かい材料や調味料も大量に必要に成るからな。その辺を母さんが嫌がるのだろう…」
「豚の角煮なら炊飯器で料理出来るらしいが、我が家には1つしか無いからな」
「それに……圧力鍋も無いだろう。咲子?」
「そう、そう、そこ!」
「お父さんがもっと積極的に料理を作ってくれれば、圧力鍋とかも買えるの!」
「だから、単身赴任が終わったら、私と一杯お料理しよう♪」
そう言う咲子だが、俺が料理をするにはそれなりの理由が有る。
「俺は料理が本当に好きでは無く、生活や家族サービスの一環だからな」
「俺が料理を作るのは、母さんの負担を少しでも軽減するのが目的だし……」
「なら、お父さん!」
「凝った料理も覚えて、お母さんを喜ばせて上げなくちゃ!!」
「お父さんがチャーシューや豚の角煮を作ったら、きっと喜ぶよお母さん!♪」
「それは喜ぶだろうが、それは只単に咲子が作って見たいだけでは無いか?」
「それも、有るけど、みんなの笑顔が一番大事ではない!!」
ここで満面な笑みを見せる咲子。
今の時代、ネットで簡単に調べる事が出来るから、手持ちの料理道具でチャーシューや豚の角煮を作る事は可能では有る。
味の云々より、まずは作って見る事が大事かも知れないが……
「咲子…」
「その辺は、俺の単身赴任生活が終わってからにして、今はカレー作りに集中しよう!」
「あっ! 上手に逃げた!!」
「逃げては無いよ…。けど、その辺なら1人で調理可能メニューだ」
「豚の角煮は下ごしらえが大変だろうが、チャーシューならそんなには手間が掛らない」
「咲子だって、作りたいの言うのだから、有る程度は情報収集しているのだろ?」
「勿論、しているよ!」
「なら、話は早い。チャーシューや豚の角煮を作らせて貰える様に母さんに頼んでおくよ」
「今回はそれで良いだろ」
「私としては……お父さんと一緒にお料理したかったのに」
咲子は落胆とした表情には成るが、この辺の料理を2人で作る必要性も無い。
「咲子の気持ちも嬉しいが、俺は料理が趣味では無いからな!」
「それより、手が止まり気味だ。今は目の前に集中しよう!!」
「は~い…」
少し残念そうに返事をする咲子だが、単身赴任を終えて、毎週料理作りをさせられるのは嫌だし、母さんや宮子、真央の目も有る。
咲子は俺との距離を再度縮めようとしているが、俺は咲子との距離を今より離したい状態では有った……
「お父さん!」
「カレー作る時に、ついでに冷蔵庫に有るナスも使ってね♪」
母さんはそう言う。
料理で冒険はしない母さんだが、夏の時期のカレーはナスやピーマン等の夏野菜が入る。
定番のカレーから当然外れるが……母さんの中では『夏野菜カレー』と登録されている様で有る。
俺はその時気分で、カレーの野菜類は変わるが、母さんの場合はその辺が少し違う。
定番のカレーの時は本当に豚肉、ジャガイモ・ニンジン・タマネギでしか作らない。
その定番カレーの肉類が時々、牛肉(外国産)や鶏肉に変わるのは、咲子や真央がリクエストするからで有った。
そうでなければ、我が家カレーは豚肉が定番で有った。
カレーを作るのは俺だけで無く、咲子も手伝ってくれる。
この家には包丁が2本有るので、最初はカレーの野菜類の準備から始める。
俺はタマネギやニンジンを切っている中、咲子はピーラーでジャガイモの皮を剥いている。
「お父さん。やっぱり、台所が広いのは良いね♪」
「お互い、適度の距離が有って作業しやすいね♪」
単身赴任先のアパートの台所と比べれば、母さん達が住んで居る台所の方が遙かに広いし、咲子も勝手が分かる。
「分担作業もしやすいしな!」
「だね! お父さん!!」
「今日はカレーだけど、今度はもっと凝った物も作ろうね♪」
「咲子…。カレーでも十分に凝っているだろう?」
「お父さん的にはそうだけど、カレーは小学生でも作れるんだよ!」
「カレーは林間学校(キャンプ)での定番料理だし!!」
「咲子は……俺と凝った料理を作りたいのか?」
「うん!!」
「チャーシューとか豚の角煮を作ってみたい♪」
「……それ位なら、母さんとでも出来るだろ…?」
チャーシューや豚の角煮も一見大変そうには見えるが、“下ごしらえ”さえしっかりすれば、さほど難しい料理では無いらしい。
俺の場合は作るより、買った方が良いが、家族全員で食べると成ると手作りが必要になるだろう。
「聞いてよ、お父さん。お母さんが嫌がるんだよ!」
「『最初のあく抜きが面倒くさそう…』と言って、それを却下するんだよ!!」
咲子は口を尖らせながら言う。
「まぁ、家族みんなで食べると成ると量も要るし、細かい材料や調味料も大量に必要に成るからな。その辺を母さんが嫌がるのだろう…」
「豚の角煮なら炊飯器で料理出来るらしいが、我が家には1つしか無いからな」
「それに……圧力鍋も無いだろう。咲子?」
「そう、そう、そこ!」
「お父さんがもっと積極的に料理を作ってくれれば、圧力鍋とかも買えるの!」
「だから、単身赴任が終わったら、私と一杯お料理しよう♪」
そう言う咲子だが、俺が料理をするにはそれなりの理由が有る。
「俺は料理が本当に好きでは無く、生活や家族サービスの一環だからな」
「俺が料理を作るのは、母さんの負担を少しでも軽減するのが目的だし……」
「なら、お父さん!」
「凝った料理も覚えて、お母さんを喜ばせて上げなくちゃ!!」
「お父さんがチャーシューや豚の角煮を作ったら、きっと喜ぶよお母さん!♪」
「それは喜ぶだろうが、それは只単に咲子が作って見たいだけでは無いか?」
「それも、有るけど、みんなの笑顔が一番大事ではない!!」
ここで満面な笑みを見せる咲子。
今の時代、ネットで簡単に調べる事が出来るから、手持ちの料理道具でチャーシューや豚の角煮を作る事は可能では有る。
味の云々より、まずは作って見る事が大事かも知れないが……
「咲子…」
「その辺は、俺の単身赴任生活が終わってからにして、今はカレー作りに集中しよう!」
「あっ! 上手に逃げた!!」
「逃げては無いよ…。けど、その辺なら1人で調理可能メニューだ」
「豚の角煮は下ごしらえが大変だろうが、チャーシューならそんなには手間が掛らない」
「咲子だって、作りたいの言うのだから、有る程度は情報収集しているのだろ?」
「勿論、しているよ!」
「なら、話は早い。チャーシューや豚の角煮を作らせて貰える様に母さんに頼んでおくよ」
「今回はそれで良いだろ」
「私としては……お父さんと一緒にお料理したかったのに」
咲子は落胆とした表情には成るが、この辺の料理を2人で作る必要性も無い。
「咲子の気持ちも嬉しいが、俺は料理が趣味では無いからな!」
「それより、手が止まり気味だ。今は目の前に集中しよう!!」
「は~い…」
少し残念そうに返事をする咲子だが、単身赴任を終えて、毎週料理作りをさせられるのは嫌だし、母さんや宮子、真央の目も有る。
咲子は俺との距離を再度縮めようとしているが、俺は咲子との距離を今より離したい状態では有った……
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