単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
111 / 167
番外編

第32話 旅も終わり!? その1

しおりを挟む
 広場に戻り、家族は車に乗り込んで出発の準備をしていると、母さんが俺に話し掛けてくる。

「お父さん♪」
「もう、後は帰るのだよね♪」

「そのつもりだけど?」

「ねぇ?」
「このまま帰るのも良いけど、何処か日帰り温泉施設に寄ってから、帰りましょうよ♪」
「折角、此処まで来たんだし♪」

 母さんは、日帰り温泉を希望してきた。
 たしかに、外で入るお風呂(温泉)は、非日常感を感じられて楽しい。
 しかし、俺の独断では決められないので、宮子に話を振る。

「宮子」
「母さんが、温泉に入りたいと言っている。どうする?」

「んっ…。なら調べる……」

 宮子はスマートフォンで、付近の日帰り温泉を調べ出す。
 レンタカーにもナビは付いているが、今回は1度も使ってないので、使い方がイマイチ理解出来てなかった……。 ナビの地図画面は現在位置が表示されているが、それだけで有った。

 ちなみに俺の車にはナビが付いてない。盗難事件も恐いし、普段の生活で俺はナビに世話には成らないからだ。
 母さんの車にはナビが付いているが、メーカーが違うため、母さんも上手には操作は出来ないだろう。
 ナビもメーカーによって操作が微妙に違うので、慣れるまでには時間が掛かるが、今回はレンタカーだから、慣れる前に旅行が終わってしまう……
 それに今の時代は、スマートフォンの地図アプリがかなり優秀に成って来たので、慣れたスマートフォンの方が簡単に操作出来る。

 宮子が場所を調べている間は、出発は待機で有る。何処に行くかが、分からないからで有る。
 風呂に入るだけなら、昨日泊まった宿泊施設も日帰り温泉に対応しているから、そこでも良いけど、同じ所に3回入るのもな…。付近に日帰り温泉は有るのだろうか?

「……本当の日帰り温泉施設は、近くにはないね…」
「近くのホテルや旅館なら、日帰り入浴対応の所は有るけど?」

「宮子!」
「別に近くで無くても良いよ♪」
「道中に有る所で寄れば!」

 母さんの話し方からして温泉に入りたい訳で無く、日帰り温泉施設の温泉に入りたい様で有る。
 ホテルや旅館の日帰り温泉対応は、ホテル側にとっては温泉だけだから、余り嬉しくないお客さんだし、宿泊客を優先するために、15時位を目安に日帰り温泉対応を終了する所も有る。

 日帰り温泉施設なら、開店から閉店30分前までなら必ず温泉に入れるし、時刻も21時位まで営業している施設も多い。
 温泉がメインだから色々な浴槽も有るし、景観の良い露天風呂も有る所も有る。
 母さんはその辺の事を含めて、日帰り温泉施設を希望しているのだろう……

 咲子はお腹が空いたのか、昨日食べ損なったスナック菓子の袋を開けて食べていた。
 母さんも、咲子が持っている袋から、それを時々摘まんで食べていた。
 真央は…、スマートフォンを触っている。先ほど撮った写真を見たり、SNSに投稿している感じだった……。車内の時計を見ると時刻は、15時半近くで有った。

(今から、日帰り温泉に寄って、場合によっては其処で晩ご飯を食べるのかな?)
(『穂並』から高速道路を使っても、3時間以上は掛かるはずだから……結構、夜遅くに成りそうだな…)

 この付近の道路は、激しい渋滞が起きない地域で有る。
 起きても渋滞数キロぐらいの地域で有るし、まだ連休の中日なかびだ!
 経済的余裕が有る家庭なら、連泊を楽しんでいる家庭も多いだろう?

「ねぇ……」

 真ん中の座席に座っている宮子が、俺の体を突いてくる。

「見付かった?」
「宮子?」

「お母さんの希望通りの場所かは分からないけど、此処から30km位、穂並方面に向かった所に日帰り温泉が有る」

 宮子はそう言いながら、俺にスマートフォンを見せてくる。

「今、走っている国道沿いか……」
「此処なら、本当に通り道だし、此処で良いのではない?」

「なら、そうする?」

「その前に、一番の希望者で有る、母さんにも確認取ろうか?」

「それも、そうだね…」

 宮子は俺に見せた画面を母さんにも見せる。
 宮子が先ほど見せてくれた日帰り温泉施設は、海沿いに有って、更に道の駅に併設されている場所だった。
 道の駅に併設されているから、迷わず行けるし、駐車場が狭い等のアクシデントも無いはずだ。

「お母さんは、ここで良いわよ♪」

 画面を見た母さんは、直ぐに返事をする。

「決まりだそうです…」

 宮子はそう言うが…、俺の中では『お父さん』と言葉の前に付けて欲しいと感じる。
 家族が居る手前で言うのは、恥ずかしいのだろう……

 日帰り温泉の場所も決まったので、広場から出発をする。
 今から入る日帰り温泉が、今回の旅行の締めくくりに成りそうだった!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

悪役令嬢に転生したので、人生楽しみます。

下菊みこと
恋愛
病弱だった主人公が健康な悪役令嬢に転生したお話。 小説家になろう様でも投稿しています。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

波間柏
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

処理中です...