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番外編
第16話 今日の宿泊先 その5
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部屋に戻ってそれぞれが、思い思いの時間を過ごしている。
母さんと咲子はテレビを見ていて、宮子や真央はスマートフォンを触っている。
俺は酒が回って大分良い感じだから、何もする気は起きなくて、母さんと咲子が見ているテレビを見ると言うか眺めていた。
部屋に戻って……30分位経った頃だろうか。
宮子が立ち上がり、タオルとバスタオルを手に取る。
「もう1回、温泉に入ってくる」
「酔いも覚めてきたし、さっきの食事で、少し体も汚れたから…」
宮子は俺と母さん達に声を掛けて、1人で温泉に向かおうとすると……
「宮子お姉ちゃんも行くなら、私も行く!!」
真央は元気な声でそう言って、“ぱっと”自分のタオルとバスタオルを取りに行く。
「…真央も来るの?」
「まぁ……良いけど」
宮子はさっき母さん達と入ったから、今度は1人で、ゆっくりと温泉に入りたかったのだろう?
しかし、真央も付いて来るみたいだ。
「…今度は、はしゃがないでね。恥ずかしいのだから…」
「今度は大丈夫だよ!」
真央はそう言って、宮子と温泉に再度入りに行った。
俺は宮子の言葉が気になって、母さんに聞いて見る。
「母さん」
「真央は浴場で何かしたのか?」
「んっ……真央?」
母さんはテレビを見ながら返答をするが、愚痴を言うような素振りは無く、陽気な声で返事をする。
「大した事じゃ無いよ♪」
「真央がちょっと、温泉と言うか湯船で泳いだだけだから♪」
「子どもだから仕方無いよ!」
「あ~~、真央が温泉で泳いだ…」
「温泉は広いからな……。泳ぎたく成る気持ちも分かる!」
「でしょう!」
「咲子が泳げば、流石に注意はするけど、真央はまだ小学生だから!」
「でも…宮子に取っては、恥ずかしかったのでしょうね!!」
母さんがそう言ってると、それを聞いていた咲子が、話しに割って入ってくる。
「……お父さんもお母さんも、真央に甘すぎるよ!」
「私が小学生の時に同じ事をしたら、お母さんは注意したくせに!」
「それに…、私を引き合いに出さないで!!」
「あれ? そうだっけ?」
咲子は、自分の名前が出て来たので少々ご立腹で有る。
そして、母さんはすっとぼける。
「まぁ、まぁ、咲子。そう、怒るな…」
俺は咲子を宥める。
「咲子は、温泉に入りに行かないのか?」
「私は良いかな? ○香ちゃんじゃ無いし!」
「あっ、でも朝風呂は入ろうかな…?」
「朝風呂は初めてだから、少し楽しみ!」
咲子の機嫌は少し直った感じだ。
温泉が有る宿泊施設で一番良いのは、温泉に入り放題で有る。露天風呂が備わっている所は更に良い。
冬の寒い晴天の朝に入る、露天風呂は本当に最高で有る。少し悴んでから入る温泉は堪らない!
今は9月だが、それでも朝風呂は気持ちいい。
「母さんも温泉には行かないのか?」
「私……?」
「行っても良いけど……まだ、お酒が残っているし今、行ってしまうとお父さんと咲子の2人きりに成るからね…」
母さんは、やや眉をひそめながら言う。
母さんは…、まだ咲子を警戒している様だ。
「大丈夫だよ!」
「お母さん! 私は全然問題無いから!!」
咲子はチャンスだと感じたのか、母さんを温泉に向かわせようとする。
「…咲子が良くても、お父さんがね!」
「何せ……内緒で、結構遠い海まで行った仲だからね!!」
節約大臣(母さん)にETC(クレジットカード)の明細通知が届いて、利用区間を態々ネットで調べた様だ。
小遣いの減額処分はされなかったが、通知が届いた日。電話で嫌みを凄く言われた。
「お父さんは、咲子に本当に甘いからね!」
「2人きりにさせるのは不安!!」
少し威嚇する風に喋る母さん。
母さんは酒を飲むと口が軽くなる。普段言わない事でも平気で喋る。
咲子が居る手前でも平気で言ってしまう。咲子がショックを受けたらどうする!?
それだけ、咲子は母さんの中では脅威の人物なのか?
「お父さん! 藪を突いたら、ヘビが出て来た感じだね!!」
「これは、お母さんヘビだね!!」
「私、お母さんヘビに食べられちゃう!!」
母さんの言葉でショックでも受けるかと思ったら、それを聞き流して茶化す咲子。
咲子はメンタルも強い!?
「そうだね……お母さんがヘビなら、お父さんを食べるわ♪」
「そうすれば、悪い人も居なくなって、女性だけの家族に成るから安心だね♪」
「今は、女性だけでも生きていけるし!」
母さんの中では、俺の扱いはそんなレベルなのか?
表情は“のほほん”としている母さんが、腹の中は真っ黒クロスケか!?
「さて……冗談はここまでして、お父さんと咲子と話していたら酔いも覚めたし、お母さんも温泉に行こう♪」
母さんはそう言って立ち上がって、タオルとバスタオルを持って部屋を出て行く。
「今日もお母さん。大分飲んでいるね!」
「最近……お父さんと一緒に飲む時は、飲み過ぎている気がする!」
咲子は独り言のように言う。
俺が単身赴任している間は、酒を酌み交わす相手は宮子しかいないし、宮子も自宅で飲むように成ったのは本当につい最近だろう?
母さんは滅多に愚痴を言わないが、それだけ溜め込んでいるのかも知れないと俺は気付いた……
母さんと咲子はテレビを見ていて、宮子や真央はスマートフォンを触っている。
俺は酒が回って大分良い感じだから、何もする気は起きなくて、母さんと咲子が見ているテレビを見ると言うか眺めていた。
部屋に戻って……30分位経った頃だろうか。
宮子が立ち上がり、タオルとバスタオルを手に取る。
「もう1回、温泉に入ってくる」
「酔いも覚めてきたし、さっきの食事で、少し体も汚れたから…」
宮子は俺と母さん達に声を掛けて、1人で温泉に向かおうとすると……
「宮子お姉ちゃんも行くなら、私も行く!!」
真央は元気な声でそう言って、“ぱっと”自分のタオルとバスタオルを取りに行く。
「…真央も来るの?」
「まぁ……良いけど」
宮子はさっき母さん達と入ったから、今度は1人で、ゆっくりと温泉に入りたかったのだろう?
しかし、真央も付いて来るみたいだ。
「…今度は、はしゃがないでね。恥ずかしいのだから…」
「今度は大丈夫だよ!」
真央はそう言って、宮子と温泉に再度入りに行った。
俺は宮子の言葉が気になって、母さんに聞いて見る。
「母さん」
「真央は浴場で何かしたのか?」
「んっ……真央?」
母さんはテレビを見ながら返答をするが、愚痴を言うような素振りは無く、陽気な声で返事をする。
「大した事じゃ無いよ♪」
「真央がちょっと、温泉と言うか湯船で泳いだだけだから♪」
「子どもだから仕方無いよ!」
「あ~~、真央が温泉で泳いだ…」
「温泉は広いからな……。泳ぎたく成る気持ちも分かる!」
「でしょう!」
「咲子が泳げば、流石に注意はするけど、真央はまだ小学生だから!」
「でも…宮子に取っては、恥ずかしかったのでしょうね!!」
母さんがそう言ってると、それを聞いていた咲子が、話しに割って入ってくる。
「……お父さんもお母さんも、真央に甘すぎるよ!」
「私が小学生の時に同じ事をしたら、お母さんは注意したくせに!」
「それに…、私を引き合いに出さないで!!」
「あれ? そうだっけ?」
咲子は、自分の名前が出て来たので少々ご立腹で有る。
そして、母さんはすっとぼける。
「まぁ、まぁ、咲子。そう、怒るな…」
俺は咲子を宥める。
「咲子は、温泉に入りに行かないのか?」
「私は良いかな? ○香ちゃんじゃ無いし!」
「あっ、でも朝風呂は入ろうかな…?」
「朝風呂は初めてだから、少し楽しみ!」
咲子の機嫌は少し直った感じだ。
温泉が有る宿泊施設で一番良いのは、温泉に入り放題で有る。露天風呂が備わっている所は更に良い。
冬の寒い晴天の朝に入る、露天風呂は本当に最高で有る。少し悴んでから入る温泉は堪らない!
今は9月だが、それでも朝風呂は気持ちいい。
「母さんも温泉には行かないのか?」
「私……?」
「行っても良いけど……まだ、お酒が残っているし今、行ってしまうとお父さんと咲子の2人きりに成るからね…」
母さんは、やや眉をひそめながら言う。
母さんは…、まだ咲子を警戒している様だ。
「大丈夫だよ!」
「お母さん! 私は全然問題無いから!!」
咲子はチャンスだと感じたのか、母さんを温泉に向かわせようとする。
「…咲子が良くても、お父さんがね!」
「何せ……内緒で、結構遠い海まで行った仲だからね!!」
節約大臣(母さん)にETC(クレジットカード)の明細通知が届いて、利用区間を態々ネットで調べた様だ。
小遣いの減額処分はされなかったが、通知が届いた日。電話で嫌みを凄く言われた。
「お父さんは、咲子に本当に甘いからね!」
「2人きりにさせるのは不安!!」
少し威嚇する風に喋る母さん。
母さんは酒を飲むと口が軽くなる。普段言わない事でも平気で喋る。
咲子が居る手前でも平気で言ってしまう。咲子がショックを受けたらどうする!?
それだけ、咲子は母さんの中では脅威の人物なのか?
「お父さん! 藪を突いたら、ヘビが出て来た感じだね!!」
「これは、お母さんヘビだね!!」
「私、お母さんヘビに食べられちゃう!!」
母さんの言葉でショックでも受けるかと思ったら、それを聞き流して茶化す咲子。
咲子はメンタルも強い!?
「そうだね……お母さんがヘビなら、お父さんを食べるわ♪」
「そうすれば、悪い人も居なくなって、女性だけの家族に成るから安心だね♪」
「今は、女性だけでも生きていけるし!」
母さんの中では、俺の扱いはそんなレベルなのか?
表情は“のほほん”としている母さんが、腹の中は真っ黒クロスケか!?
「さて……冗談はここまでして、お父さんと咲子と話していたら酔いも覚めたし、お母さんも温泉に行こう♪」
母さんはそう言って立ち上がって、タオルとバスタオルを持って部屋を出て行く。
「今日もお母さん。大分飲んでいるね!」
「最近……お父さんと一緒に飲む時は、飲み過ぎている気がする!」
咲子は独り言のように言う。
俺が単身赴任している間は、酒を酌み交わす相手は宮子しかいないし、宮子も自宅で飲むように成ったのは本当につい最近だろう?
母さんは滅多に愚痴を言わないが、それだけ溜め込んでいるのかも知れないと俺は気付いた……
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