単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

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番外編

第8話 家族旅行 その2

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 バイパスを途中で降りて、能降半島外周沿いの国道を走り始める。
 道路の横側には海景色が広がり始めていた。

「わぁ~、海だ!」
「青くて綺麗~~」

 海景色を見て最初に声を上げたのは真央で有った。
 真央の声に反応して、母さん達も海景色を見始める。

「……そう言えば、今年は海に行かなかったね」

 真央がそう呟く。
 俺は咲子と海を見に行った覚えが有るので、気付かなかったが、家族では海に行っていない事を思い出す。

「誰かさん達は、内緒で行ったのだけどね♪」

 母さんは意地の悪いことを言う。

「えっ、誰が行ったの?」
「ずるい!!」

 真央は、俺と咲子が海に行ったのを知らない様だ。

「真央。そんな事どうでも良いじゃ無い!」
「今日と明日は、嫌に成るぐらい海景色が見られるのだから!!」

 内緒の原因を作った張本人(咲子)が真央にそう言っている。
 海沿いの道をしばらく走らせていると、道の駅の案内標識が出て来る。

「道の駅に寄りましょうか…」

 宮子が俺に向けてそう呟く。

「うん。分かった…」

 能降半島。最初の観光は道の駅からで有る。
 近年の道の駅は本当に整備されていて、立派な観光名所に成りつつ有る。
 地元の野菜や食材、レストランやお土産売り場も併設されている道の駅も有って、有名所な道の駅は、大型連休などに成ると駐車場が一杯で立ち寄れない時も有る。

 最初に立ち寄った道の駅で軽い休憩をする。
 時間的に少し早かったのだろう……レストランや出店はまだ開いていなかった。

「名物の物を食べようかと思ったけど残念…」

 咲子はそう言う。咲子の胃袋は底なし沼か!?
 産直コーナーで地元野菜等を見て回るが、今日買ってもどうしようも無いので見るだけで有る。
 道の駅を出てドライブを再開させる……。海沿いを30分位走らせていると、名勝めいしょうの案内標識が出て来る。

「ここにも寄りましょうか…」

 宮子は再び、俺にそう呟く。

 俺は案内標識に従って、道を進んでいく。
 ここは海景色も見られる棚田たなだで有る。結構有名所みたいだ。所々の棚田は水田と成っている部分も有った。
 時間的には夕方が見頃らしいが、今日は天気が良いので、青空を見ながらの海景色も良い物だ。

「綺麗な景色だね~~。これが棚田なんだ…」

 咲子は棚田を見ながら呟いている。

「こう言うのを見ると、旅行に来た感じだね~~♪」
「天気も良いし、私(母さん)の日頃の行いが良いのかな~~♪」

 母さんも声からして嬉しそうだ。
 真央はその風景をスマートフォンで撮っている。何処かのSNSにも投稿するのだろうか?
「……」

 それに対して宮子は、無言で海景色の見える棚田を見つめていた。
 俺は声を掛けようか迷うが……宮子は俺に気付いたのかこちらに振り向く。

「綺麗な景色だな…」

 俺は宮子にそう声を掛ける。

「……まだ、これから見所は沢山有るわよ」

 宮子はそう返してきた。

「全体の3分の1も行っていないからな…」

 俺が宮子に、そう返事をすると……

「時間的に、そろそろ行きましょうか…?」

「えっ、棚田は歩かないのか?」

「歩いても良いけど……今日は歩く所ばかりだよ…」
「この位置から見れば私(宮子)は満足…」

「宮子は良くても、母さん達の意見も有るからな?」

「そうね…」

 ……

 棚田の散策は宮子が先ほどの事を言ったため、展望位置から鑑賞で終わる。
 再び車を走らせてドライブの再開で有る。
 今日は素晴らしい位の青空なので、本当にドライブ日和で有る。

 車内の雰囲気も大分良く成ってきていて、みんなから笑みが零れている。
 俺はそれをルームミラーで見ながら、宮子の指示を受けながら車を走らせた。
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