単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

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第67話 我が家の長女 その9

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 心が落ち着いたのだろう。
 宮子が俺に質問をしてきた。

「……あなたは何故、私と咲子が居るのに、お母さんと結婚しようと思ったの?」

「何故と言われても、母さんの良さにかれたから…」

「物好きな人ね……。わざわざ子持ちの人と結婚して!」

「母さんも最初の頃は、その辺を全て隠して居たからな」
「泊まりがけの旅行なんて提案した瞬間に、母さんにやんわりと断られたよ!」

「そうだったね……。お母さんはあなたの関係を上手に隠して居た」
「私が、お母さんとあなたのメールのやり取りを偶然見たのが始まりだった……」

「私はお母さんに言った!」
「何で、新しいお父さんが必要なのと!!」

「そうするとお母さんは『宮子の気持ちも分かるけど、咲子はお父さん自体を知らないし、筑摩さんは優しい人だから、あなた達にとっても良い刺激に成ると思うの!』と言った」

「もちろん、私は猛反対したけどね!」
「だけど結局、お母さんはあなたと再婚して、私達の本来の家族にあなたが入り込んで来た。間違って無いでしょ…」

「まぁ、そうだが…」

 俺はそう言いながら、日本酒を口付ける。
 酒を飲みながらする話では絶対無いが、お互いが成人だし、俺が酒を飲もうとした時に乱入して来るからやむを得ないだろう。

「宮子…。宮子はこの先どうしたい?」
「宮子はもう成人しているから、俺と母さんがとにかく言う年齢では無い!」

「母さんの意図が掴めないが、宮子だって本当に俺の所に来たく無かったら、行った振りでも出来ただろ?」

「そんな事したら、お母さんにバレるでしょ!」
「お母さんだって、絶対あなたに確認を取るだろうし!」

「バレるが、来たく無い所に行く必要も無い。でも、宮子は来た」
「来る理由が有って来たんだろ。咲子絡みか?」

 宮子は表情を一瞬強張らす。

「……そうよ! 咲子に会いに来たくて来たのよ!」
「あなたに会いたくて、来たのでは無いわ!!」

「うん……。それで宮子はこの先どうする?」
「今まで見たいに、付かず離れずの関係を取るか、それとも…」

「じゃあ、私から聞くけど、あなたは私とどうしたい?」
「今更、本当の親子関係に成る?」

「宮子は俺と扶養関係に成りたいのか?」
「まぁ、メリットも有るけど、家計は母さんが全て握っているからな」
「俺の独身時代の貯金も、全て母さんに渡してしまったし…」

「そう言った事じゃなくて、私との関係!」

「う~ん。難しいのだよね…」
「宮子は本当に俺を求めなかったから、俺自身も困っているのだよ…」

「本人を目の前にして、普通言う!?」

 宮子は呆れ返りながら言うが……

「本人を前と言っても、……まぁ良い機会だから、お互い腹を割って話そうか?」

「あなたのお腹を切るのだね!」
「台所から包丁を持ってくるよ!!」

「宮子。ワザと言っているだろ」
「そう言った意味では無くて、―――」

 俺が説明中に宮子は、割って話に入り込む。

「受けて立つわ!」
「私もこんな関係もう嫌だし、今晩中に決着付ける!」

 宮子はそう言うと、コップに入っていた日本酒をぐっと飲む。
 おいおい、それは酒だぞ!!

「じゃあ、何処から話そうか…?」

 宮子はそう言いながら、俺を見据える。
 最初で恐らく最後に成る、宮子との話し合いが始まった。
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