単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

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第60話 我が家の長女 その2

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 その日の晩ご飯時。
 食事も中盤に入って、お父さんが少しリラックスをしてきたタイミングで、私はお父さんに、お姉ちゃんが金曜日にこちらに来る事を伝えると……

「えっ!?」
「宮子がこっちに来る!?」
「いきなりどうした!?」
「俺の所に来ても仕方ないだろうに…」

 私の思っていた通り、お父さんはかなりびっくりしている。まぁ、そうでしょう!

「なんかね、お母さんが行きなさいと命令したらしいよ!」
「お姉ちゃんの意思で無く、お母さんがね!!」

  お母さんの部分を強調して言う。

「母さんが!?」
「何で、そんな事を言ったのだろう?」
「咲子の件と言い、今回の事言い、母さんは何を企んでいるのか!?」

『お姉ちゃんが私に事実を話したから』とは当然言わない。
 それを言ってしまっても良いが、どうせなら、隠し通せる所までは隠したいと思っていた。

「まぁ……来るのは構わないが、空気が重くなるだけだぞ!」

「お父さん!」
「私が居るから大丈夫だよ!!」

「まぁ、宮子と咲子は実の姉妹だ―――?!」

 お父さんは本当の事をうっかり言おうとして、それに気付いたのか『しまった!!』の表情をしていた。
 私は敢えて、その部分を指摘する。

「お父さん……。実の姉妹?」
「何それ?」
「私達、実の姉妹じゃ無いの?」

「えっと、それはな…」

 私はワザと素っ頓狂な声を出す。すると、お父さんは急に動揺しだした……。もぅ、素直に話せば良いのに!? こっちが却ってヤキモキするよ!!

「あっ、いや、言葉を間違えた…」
「宮子と咲子は仲が良い姉妹だから良いけど、俺には当たりがキツいんだよ…」

 お父さんはそう言って言葉を修正してきた。
 本当に知らんぷりをするのだな。お父さんにとっては都合が悪い事なのか?

「あんまり仲良く話している姿は、私も見た事無いもんね!」

「あっ、ああ」
「宮子も思春期真っ只中だからな。あの時の年齢は、お父さんを毛嫌いする者なんだよ!」

(違うよ……。お姉ちゃんがお父さんと認めて無いだけだよ)
(この家にお姉ちゃんが来ても、変化は無いと思うがな?)

 私はその様に実は言いたかった。
 でも、それを言ってしまうと、私は実の娘で無い事を知っている事に成ってしまう。言いたかったが、私は我慢する。

「そう言う者なの?」
「私は別にお父さんを毛嫌い何かしていないし、お父さんの事は普通に好きだし!」

「同じ姉妹だからと言って、みんな同じには成らないからな」
「でも、来るなら来るで、きちんと歓迎をしないとな!」

「そうだね!」
「金曜日の晩は豪華にしないとね!」

「もちろん、そうするよ!」
「金曜日の何時頃来るんだ?」

「あっ、時間まで聞いてない……。また、連絡が有るんじゃ無いかな!」

「あいつも夏休みとは言えども、アルバイトしているからな!」
「じゃあ、俺のその様に、金曜日・土曜日は予定を空けておくよ!」

「時間が分かったら、また、言うね」

「ああ、頼むよ。咲子!」

 ☆

 そうして、日が進んで……。今日は金曜日。

 夏休みの課題は無事完了して、後は残り少ない夏休みをフルに満喫出来る!!
 おかげで、あまり周辺散策や個人的な買い物は出来なかったが、これはこれで良しとしよう!!
 下手に服や物を一杯買っても、持ち帰るのが大変だし、秘密の箱にもギッシリ詰め込んで来たから、元々隙間が無い。そうなると余分な送料が掛かってしまう。

 今日はお姉ちゃんが、お父さんの仮住まいの家に来る日。
 時間の関係上、私がお姉ちゃんを迎えに行く事に成った。お父さんが『流石にこれ以上、休暇は取れない』と言ったため、私の出番と成った。

 お父さんの家から駅までは、結構距離が有って30分以上掛かりそうだけど、散策おかげで、少しは周辺地理も分かるので迷う事無く行けそうだし、いざと成れば地図アプリが有る!!

 お姉ちゃんが駅に着くのは、16時位だと数日前に連絡を貰った。私はその時間に合わせて、お姉ちゃんを迎えに行く。

(しかし、1晩とは言えども、険悪な空気に成るのは目に見えているな…)

 私はそう感じながら、お姉ちゃんを駅まで迎えに行った。
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