単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

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第59話 我が家の長女 その1

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 翌日……

 長い休暇も明けて、俺は今日から再び仕事場に向かう。
 咲子には今まで通り留守番が中心に成るが、咲子の思い通りに過ごして貰えば良い事にして有る。

 俺は仕事。この時間的に咲子は、家事をしているのだと思うが、俺は目の前に有る仕事に専念する事にする。

 その頃の咲子……

 私は、お父さんが起きる時間とは同時に起きず、お父さんが出掛けた後か、そこから30分後を目安に起きている。
 一緒に起きると、お父さんを却って心配させるかも知れないし、朝ご飯の準備もしなくて良い事に成っているから、その言葉に甘えさせて貰う。

 午前中の家事も終わらせて、お母さんと真央が来ていた時には、全く手を付けてなかった夏休みの課題に取り組み、今日は家に有る物で昼食を取って、食休みをしていると私のスマートフォンから電話の着信音が鳴る。

(また…、お母さんからか?)

 お母さんが探りを入れて来たのかと思いながら、スマートフォンのディスプレイを見ると、(宮子)お姉ちゃんからだった……
 私は『珍しいな…』と思いながら、お姉ちゃんからの電話に出る。

「はい! お姉ちゃん?」

「そうよ! 咲子!!」
「元気にしている?」

「珍しいね! 私に電話掛けてくるなんて?」
「何か大事な用事? でも、今は、お父さんの所だから…」

「それだから、掛けたのよ!」

「?」
「お姉ちゃん。意味が分からないのだけど……」

「実はさ、咲子に私達の過去話したのを、お母さんに問い詰められてしまってさ、バレちゃったの……」

「えっ!?」
「そうなの!?」
「それで、どうなるの!?」

 私は思わず声のトーンを上げてしまう。
 私がお父さんの本当の娘では無い事は、お父さんが単身赴任を始めて、数日経った有る日。いきなりお姉ちゃんから教えて貰った。

 最初は凄くショックを受けたけど、養子縁組をしていない事も教えて貰って、逆にチャンスだと私は感じた!
 だから、私のこの様な計画を立てて実行した。お父さんは知らんぷりをしているが、私は全てを知っている。

 お父さんが本当に、私を求め始めて仕舞い出したから、私が少しうやむやにしてしまったが、今頃本来なら、私はお父さんを本当に一人占め出来ているはずだった!!
 あの時、お父さんにされるがままにして置けば、私は確実に大人の階段を上っていたはずだ!?
 でも私は、そう言った行為が頭では理解出来ていても、体の方が怖がってしまった。

 途中で私が、お母さんを来させる行為をしたのも失敗だし、私が事実を知っていると成れば、お父さんは絶対に私には手を出してこないだろう!
 昨日も鎌を掛けたら上手に逃げたし……。しかし、バレてしまったのなら仕方が無い!!

「咲子……。ちょっと声が高すぎる!」

「あぁ、ごめん。お姉ちゃん」

「それでね、咲子」
「お母さんが、私は行きたくないのに『お父さんの所に行きなさい!』と急に言いだしたの」

「お母さんがそんな事言ったの?」
「でも、どうして?」

「『いい加減、お父さんの事を認めなさい』とお母さんは言ったの」

「お姉ちゃん。お父さんとは会話しないもんね」

「別にあの人が嫌いだから会話をしないでは無く、会話がしづらいのだよね」
「私は前のお父さんを知っているから、今のあの人をお父さんとは呼びたくない!!」
「でも、お母さんには『その辺の溝をも埋めてきなさい!』と言われている」

「じゃあ、お姉ちゃんも、お父さんの所に来るんだ!」
「それなら、もう、お父さんの所に電話はしたの?」

「誰がする!!」
「お父さんと認めてない人に、電話なんかしないよ!!」

「あぁ…そうか。ごめん」

「まぁ……だから、咲子に電話したのよ!」
「お母さんにバレてしまった事と、私が来る事をあいつに伝えて欲しい事を…」

「なら、お姉ちゃんの事は私から話しておくけど、何時来るの?」

「今週はアルバイトを結構入れたから、金曜日の夕方にあいつの所に行って、土曜日中に帰る!」

「じゃあ、金曜日に1泊って伝えておけば良いね!」

「悪いね咲子。お願い出来る?」

「任しておいて、お姉ちゃん!」

「じゃあ、お願いね!」
「じゃあね!」

「バイバイ、お姉ちゃん!!」

『プッ、ツー、ツー』

 お姉ちゃんとの通話が終了する。

(お姉ちゃんもこっち来るのか?)
(……お母さんは、何を考えているのだろう?)
(私の滞在を延長させて、更にお姉ちゃんまで来させる!)
(もし、修羅場に成ったらどうするのだろう?)

(まぁ、お父さんにはそのまま伝えれば良いか。きっと驚くだろうな!)
(でも、予想外の事が起きたな……。なんだか、このまま有耶無耶うやむやで終わりそうに成って来た…)

 私はそんな事を思いながら昼食の片付けと、夏休みの課題を再開させた。
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