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第56話 平日の休暇 その1
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翌日……
やはりと言うか、今日は休暇を取っている事も有って、普段の仕事に行く時間には起きられず、目が覚めた時の時刻は午前7時半だった。
俺は目覚めて隣を見ると、咲子も起きている様でスマートフォンを触っていた。
「おはよう、咲子」
「おはよう、お父さん!」
「お寝坊さんだね!」
「まぁ、今日は休暇を取っているから…」
「じゃあ、お父さんも起きたし、私が朝食作ろうか?」
咲子は布団から起き上がりそう言うが……
「咲子…。母さんには昨日あんな事言われたが、喫茶店で朝食でも食べようか?」
「喫茶店……?」
「ファミレスみたいな所だっけ?」
「まあ、そんな感じ!」
「近所に喫茶店が有ってな、休日で何時もの朝食に飽きた時は、喫茶店で朝食を取る時が有るんだよ!!」
「へぇ~。私は、チェーン店の喫茶店なら友達と行った事は有るけど、朝食で喫茶店に行くのは初めてだね!」
「だろ!」
「咲子も、非日常生活を送っているのだから、こう言った日も良いだろう!」
「じゃあ、出かける準備をしなきゃね!」
咲子は嬉しそうに言う。
俺は別に咲子を甘やかしている訳では無い。
母さんが試練だと言って、咲子の滞在を延長させたが、だからと言って不自由な生活をさせる気は無い。
繁華街行くとか、遠くに連れて行くとかは勘弁して欲しいが、小さな幸せ位はして上げないと可愛そうだと感じたからだ。
出掛けると言っても、徒歩5分位に有る喫茶店だから、外に出ても恥ずかしくない格好で出掛ける。
今までは良い天気が続いていたが、今週は天気が下り坂で、途中に雨も予報も入っている。
空は雲に覆われていて暑さは和らぎそうだが、ムシッとした1日に成りそうだ。
咲子と軽い会話をしながら喫茶店に入る。
『カラン、カラン』
喫茶店のドアを開くと、ドアに鈴が付いているので、お店の人にとっては来客を知らせるサインでも有る。
「いらしゃいませ~」
直ぐ近くに居た若い女性が俺達を応対する。
この喫茶店は夫婦で切り盛りをしており、この若い女性の方は夫婦の娘さんで有る。
年齢的には大学生位かな? 普段は奥さんの方が対応する時が多いから、娘さんとの認識は薄い。
休日は比較的賑わう喫茶店だが、今日は平日で有るから人は少なそうに見えるが、ビジネスマンの姿も結構見えた。
「お好きな席にどうぞ~」
若い女性はそう言い、お冷やとかおしぼりの準備を始める。店内もさほど混んでないので案内はされない。
俺と咲子は少し奥の席に座り、お互いメニューを開く。
「咲子。好きなの頼んで良いからな!」
「本当!」
「何食べようかな~~♪」
咲子がメニューを選んでいる間、俺もメニューを開いて見ているが、大体食べる物は決まっている。
しばらくすると先ほどの娘さんが、お冷やとおしぼり持ってくる。
「ご注文は?」
「え~と、アイスコーヒーでトーストのセットと、咲子は決まった?」
「私は……、アイスティーで、トーストのセットとハムトースト頼んで良い?」
「あぁ、良いよ!」
「じゃあ、店員さん」
「アイスティーで、トーストセットとハムトーストお願いします」
「はい。かしこまりました!」
「少々お待ち下さい」
娘さんはそう言って席を離れていく。
「ちょっと、新聞取ってくるよ」
「は~い」
俺は何故か、普段は新聞を読まないくせに、喫茶店や個人の飲食店に来ると新聞を読む。
見栄を切りたい訳では無いと思うが、何故か新聞を読んでしまう。
もちろん、テレビ欄や掲載されている4コマ漫画だけで無く、政治面や経済面も一応目を通す。
スマートフォンで料理待ちをしても良いが、新聞を読んでいると喫茶店に来ているとの実感が有る。
咲子の方はスマートフォンの画面を眺めていた。
数分ぐらい時間が経つと、料理が運ばれて来る。
料理を持ってきたのは、娘さんでは無く奥さんの方だった。
「はい。お待たせしました」
「アイスコーヒーとアイスティーとトーストセットね」
「ハムトーストはもう少し待ってね!」
奥さんはそう言いながら配膳をしていく……
「あら?」
「こちらは娘さん?」
配膳が終わって、奥さんが席を離れる前に声を掛けられる。
「ええ、そうです!」
「夏休みで少しの間ですが、遊びに来ているのです」
「真面目そうな娘さんね!」
奥さんはそう言うと、咲子は軽く会釈する。
「可愛らしい娘さんね!」
「じゃあ、ハムトーストはちょっと待っていてね!」
奥さんはそう言って席を離れていく。
「えへへ、お父さん!」
「真面目で可愛らしい娘さんだって!!」
「お母さんの前でも言って欲しかったな!!」
咲子は照れながら言っている。余程褒められたのが嬉しいのだろう。
「あは、良かったな」
「じゃあ、食べようか!」
「うん!!」
2人で『いただきます』をして、喫茶店の朝食を食べ始める。
俺と咲子が頼んだトーストセットは、トーストした食パン4枚切り1枚に、バターが塗られており、食べやすいように半分にカットされている。苺ジャムのミニ容器が皿の端に添えられている。
ミニサラダにはドレッシングがかけられていて、後は茹で玉子のオーソドックスなトーストセットで有る。
味に関しては、普通で有る。
食パンが凄く美味しい訳でも無く、サラダも有機野菜のみとかでも無く、玉子も高級ブランドの玉子を使用している訳では無い。
食べ慣れた味と言うべきだろうか? 咲子も特に何も言わずに食べている。
雑談をしながら食べていると、奥さんがハムトーストを持ってくる。
ハムトーストは、トーストされた8枚切りの食パンに、チーズとロースハムが挟んで有り、見た目も美味しいそうで有る。お皿の端にはパセリが添えられている。
(ああ、ハムトーストも美味しそうだな)
(今度来たら、ハムトーストにしよ!)
俺はそう思いながら、ゆで玉子の殻を剥いている。
「うん、熱々でチーズが伸びる~~」
「美味しいし~~」
出来たてのハムトーストを食べている咲子。本当に美味しそうで有る。
「色々な朝食メニューが有ったけど、ハムトーストにして良かった!」
咲子はそう言いながら食べている。
嬉しそうに食べている姿を見ると、喫茶店に連れて来て良かった感じる。
☆
喫茶店で朝食を終えた俺と咲子は家に戻って、普段の家事を行なう。
1人でやるよりも、2人で行なった方が効率良いし時間も短くて済む。
家事を終えて、しばらくは休憩時間と言うべきか寛ぎタイムで有る。
(どうせ、咲子が『何かをしよ~』と言って来るんだろうな)
そんな時間も悪くないかなと思う自分がそこに居た。
やはりと言うか、今日は休暇を取っている事も有って、普段の仕事に行く時間には起きられず、目が覚めた時の時刻は午前7時半だった。
俺は目覚めて隣を見ると、咲子も起きている様でスマートフォンを触っていた。
「おはよう、咲子」
「おはよう、お父さん!」
「お寝坊さんだね!」
「まぁ、今日は休暇を取っているから…」
「じゃあ、お父さんも起きたし、私が朝食作ろうか?」
咲子は布団から起き上がりそう言うが……
「咲子…。母さんには昨日あんな事言われたが、喫茶店で朝食でも食べようか?」
「喫茶店……?」
「ファミレスみたいな所だっけ?」
「まあ、そんな感じ!」
「近所に喫茶店が有ってな、休日で何時もの朝食に飽きた時は、喫茶店で朝食を取る時が有るんだよ!!」
「へぇ~。私は、チェーン店の喫茶店なら友達と行った事は有るけど、朝食で喫茶店に行くのは初めてだね!」
「だろ!」
「咲子も、非日常生活を送っているのだから、こう言った日も良いだろう!」
「じゃあ、出かける準備をしなきゃね!」
咲子は嬉しそうに言う。
俺は別に咲子を甘やかしている訳では無い。
母さんが試練だと言って、咲子の滞在を延長させたが、だからと言って不自由な生活をさせる気は無い。
繁華街行くとか、遠くに連れて行くとかは勘弁して欲しいが、小さな幸せ位はして上げないと可愛そうだと感じたからだ。
出掛けると言っても、徒歩5分位に有る喫茶店だから、外に出ても恥ずかしくない格好で出掛ける。
今までは良い天気が続いていたが、今週は天気が下り坂で、途中に雨も予報も入っている。
空は雲に覆われていて暑さは和らぎそうだが、ムシッとした1日に成りそうだ。
咲子と軽い会話をしながら喫茶店に入る。
『カラン、カラン』
喫茶店のドアを開くと、ドアに鈴が付いているので、お店の人にとっては来客を知らせるサインでも有る。
「いらしゃいませ~」
直ぐ近くに居た若い女性が俺達を応対する。
この喫茶店は夫婦で切り盛りをしており、この若い女性の方は夫婦の娘さんで有る。
年齢的には大学生位かな? 普段は奥さんの方が対応する時が多いから、娘さんとの認識は薄い。
休日は比較的賑わう喫茶店だが、今日は平日で有るから人は少なそうに見えるが、ビジネスマンの姿も結構見えた。
「お好きな席にどうぞ~」
若い女性はそう言い、お冷やとかおしぼりの準備を始める。店内もさほど混んでないので案内はされない。
俺と咲子は少し奥の席に座り、お互いメニューを開く。
「咲子。好きなの頼んで良いからな!」
「本当!」
「何食べようかな~~♪」
咲子がメニューを選んでいる間、俺もメニューを開いて見ているが、大体食べる物は決まっている。
しばらくすると先ほどの娘さんが、お冷やとおしぼり持ってくる。
「ご注文は?」
「え~と、アイスコーヒーでトーストのセットと、咲子は決まった?」
「私は……、アイスティーで、トーストのセットとハムトースト頼んで良い?」
「あぁ、良いよ!」
「じゃあ、店員さん」
「アイスティーで、トーストセットとハムトーストお願いします」
「はい。かしこまりました!」
「少々お待ち下さい」
娘さんはそう言って席を離れていく。
「ちょっと、新聞取ってくるよ」
「は~い」
俺は何故か、普段は新聞を読まないくせに、喫茶店や個人の飲食店に来ると新聞を読む。
見栄を切りたい訳では無いと思うが、何故か新聞を読んでしまう。
もちろん、テレビ欄や掲載されている4コマ漫画だけで無く、政治面や経済面も一応目を通す。
スマートフォンで料理待ちをしても良いが、新聞を読んでいると喫茶店に来ているとの実感が有る。
咲子の方はスマートフォンの画面を眺めていた。
数分ぐらい時間が経つと、料理が運ばれて来る。
料理を持ってきたのは、娘さんでは無く奥さんの方だった。
「はい。お待たせしました」
「アイスコーヒーとアイスティーとトーストセットね」
「ハムトーストはもう少し待ってね!」
奥さんはそう言いながら配膳をしていく……
「あら?」
「こちらは娘さん?」
配膳が終わって、奥さんが席を離れる前に声を掛けられる。
「ええ、そうです!」
「夏休みで少しの間ですが、遊びに来ているのです」
「真面目そうな娘さんね!」
奥さんはそう言うと、咲子は軽く会釈する。
「可愛らしい娘さんね!」
「じゃあ、ハムトーストはちょっと待っていてね!」
奥さんはそう言って席を離れていく。
「えへへ、お父さん!」
「真面目で可愛らしい娘さんだって!!」
「お母さんの前でも言って欲しかったな!!」
咲子は照れながら言っている。余程褒められたのが嬉しいのだろう。
「あは、良かったな」
「じゃあ、食べようか!」
「うん!!」
2人で『いただきます』をして、喫茶店の朝食を食べ始める。
俺と咲子が頼んだトーストセットは、トーストした食パン4枚切り1枚に、バターが塗られており、食べやすいように半分にカットされている。苺ジャムのミニ容器が皿の端に添えられている。
ミニサラダにはドレッシングがかけられていて、後は茹で玉子のオーソドックスなトーストセットで有る。
味に関しては、普通で有る。
食パンが凄く美味しい訳でも無く、サラダも有機野菜のみとかでも無く、玉子も高級ブランドの玉子を使用している訳では無い。
食べ慣れた味と言うべきだろうか? 咲子も特に何も言わずに食べている。
雑談をしながら食べていると、奥さんがハムトーストを持ってくる。
ハムトーストは、トーストされた8枚切りの食パンに、チーズとロースハムが挟んで有り、見た目も美味しいそうで有る。お皿の端にはパセリが添えられている。
(ああ、ハムトーストも美味しそうだな)
(今度来たら、ハムトーストにしよ!)
俺はそう思いながら、ゆで玉子の殻を剥いている。
「うん、熱々でチーズが伸びる~~」
「美味しいし~~」
出来たてのハムトーストを食べている咲子。本当に美味しそうで有る。
「色々な朝食メニューが有ったけど、ハムトーストにして良かった!」
咲子はそう言いながら食べている。
嬉しそうに食べている姿を見ると、喫茶店に連れて来て良かった感じる。
☆
喫茶店で朝食を終えた俺と咲子は家に戻って、普段の家事を行なう。
1人でやるよりも、2人で行なった方が効率良いし時間も短くて済む。
家事を終えて、しばらくは休憩時間と言うべきか寛ぎタイムで有る。
(どうせ、咲子が『何かをしよ~』と言って来るんだろうな)
そんな時間も悪くないかなと思う自分がそこに居た。
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