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第55話 咲子の我が儘 その4
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アパートに戻り駐車場に車を止める。
その時に車内の時計を見たが、21時付近の時刻だった。行った距離と時間を考えればこんなもんだろう。
寝ている咲子を起こして、俺と咲子は車から降りて部屋に入る。
ベランダに干しっぱなしの洗濯物を取り込んで、咲子と分担して家事と言うべきか身の回りの整頓をする。
余分なクッションを片付けたり、押し入れに仕舞っていた物を出したりする。
それが終わると俺からお風呂に入り始めて、俺がお風呂から出ると、咲子がお風呂に入りに行った。
咲子がお風呂に入って居るタイミングで、俺は母さんに電話を掛ける。色々聞きたい事が有るからだ。
しばらくのコール音の後、母さんが電話に出る。
「はい!」
「あっ、母さん。父さんだけど」
「無事着いた~♪」
「あぁ、御陰様で…」
「そう、良かったわね♪」
母さんは先ほどの件で不機嫌かなと思っていたが、意外にそうでも無かった。
「なぁ、母さん。聞きたい事が有るのだが、咲子を1週間、滞在延長の提案したのは母さんか?」
「えぇ、そうよ!」
「お父さんを色々な場所に連れ回しているのだから、お仕置きよ♪」
「それは却って、咲子的には好都合では無いのか?」
「もっと、居たいような感じがしていたし」
「そうでもないよ♪」
「長く一緒に居れば、最初は見えなかった物が段々見えて来るように成って来るの!」
「咲子がお父さんのどの部分を見ているかは、私でも分からないけど、お父さんの嫌や部分が見えて来たら、いずれは冷めるはずなの!」
電話向こうの母さんの表情はきっと『ドヤ顔』をしているだろう。
「嫌な部分ね…」
「俺も今の咲子に対する接し方は、娘と言うよりかは、お客さんみたいな対応をしているからな」
「そこなんだよね!」
母さんはコ〇ン君見たいに『ビシッ』と言う。
「私なり、お父さんを観察していたけど、私には厳しい事言う割りには、咲子には全然言わないもん!」
「どちらかと言うと、お父さんの方が咲子に嫌われたくないと、感じ取れる方が多かったよ!」
「えっ、そうなの!?」
「俺はそんな風に接した覚えが無いんだが……」
「お父さんが思って無くても、私はそう見えたよ!」
「真央は実の娘なのに、真央より咲子に話し掛けていた方が多かったよ!!」
母さんに言われて少し考える。
(たしか、真央に話し掛けたのはファミレスの時、その日の晩ご飯の時、後は……話らしい話はしていないな?)
「でしょう~」
「心当たり有るでしょう~~」
「あっ、あぁ…」
「これはね、私から、お父さんに対する試練なの!!」
「試練……?」
「そうよ!!」
「咲子はお父さんとの血が繋がっていない!」
「宮子、咲子はお父さんとの養子縁組をしていないから、結婚しようと思えば本当に出来る」
「本当は2人共、養子縁組を私はしたかったけど、宮子が猛反対したからね!」
「『あなたの事をお父さんとは認めない!』と言い切っていたからね…」
「だから、お父さんが本当に私を愛しているのか、それとも咲子の誘惑に負けてしまうかの試練です!」
「絶対そんな事は起きないから安心してよ、母さん……」
「私と真央が帰った瞬間に、咲子と海を見に行く人を流石に信用出来ないよ……」
「うっ…」
「ほら~図星でしょ♪」
「お父さんは、私が好きでは無くて、私の血筋が好きなの!」
「血筋だったら、私の子ども達にはみんな、私の血が入っているから、本来ならあなたの血も入った真央にメロメロに成る筈なんだけどね?」
「……」
「まっ、そんな訳だから、頑張ってね。お父さん♪」
「誘惑に負けても良いけど、取る物はしっかり取るからね♪」
「じゃあ、そろそろ、ドラマの時間だから切るね。バイバイ~」
「これがお父さんとの最後の通話に成らないように、私からも願っているよ!」
「あっ……、じゃあまたな、母さん」
『ツー、ツー』
「ふぅ~~~」
俺はため息をつく。
そう言えばそうだった……。宮子、咲子共に俺と養子縁組はしていない。
もし、宮子が咲子にそれを教えていたら、咲子は本気で俺を襲いかかるかも知れない。
今後の読めない展開と、母さんも思惑を考えながら俺は天井を見つめた……
……
お風呂から出てきた咲子は『今日は疲れた』と言って直ぐに寝室に向かってしまう。
明日は休暇を貰っているから休みでは有るが、夜更かしする理由も無いし、雑用を済ませてから寝室に向かう。
今までは、1枚の布団で俺と咲子は寝ていたのだが、今日は2枚布団が敷かれており、咲子はその1枚で寝ていた。
(あっ…、今日からは別々に成ったのか)
本来なら安心する所だが、何だか寂しい感じもする。
母さんの言う通り、俺は咲子を実は求めているのかも知れない。
敷かれている布団に寝転んで、ゆっくりと眠りに就く……
明日をどう過ごそうかと考えながら俺は眠りに就いた。
その時に車内の時計を見たが、21時付近の時刻だった。行った距離と時間を考えればこんなもんだろう。
寝ている咲子を起こして、俺と咲子は車から降りて部屋に入る。
ベランダに干しっぱなしの洗濯物を取り込んで、咲子と分担して家事と言うべきか身の回りの整頓をする。
余分なクッションを片付けたり、押し入れに仕舞っていた物を出したりする。
それが終わると俺からお風呂に入り始めて、俺がお風呂から出ると、咲子がお風呂に入りに行った。
咲子がお風呂に入って居るタイミングで、俺は母さんに電話を掛ける。色々聞きたい事が有るからだ。
しばらくのコール音の後、母さんが電話に出る。
「はい!」
「あっ、母さん。父さんだけど」
「無事着いた~♪」
「あぁ、御陰様で…」
「そう、良かったわね♪」
母さんは先ほどの件で不機嫌かなと思っていたが、意外にそうでも無かった。
「なぁ、母さん。聞きたい事が有るのだが、咲子を1週間、滞在延長の提案したのは母さんか?」
「えぇ、そうよ!」
「お父さんを色々な場所に連れ回しているのだから、お仕置きよ♪」
「それは却って、咲子的には好都合では無いのか?」
「もっと、居たいような感じがしていたし」
「そうでもないよ♪」
「長く一緒に居れば、最初は見えなかった物が段々見えて来るように成って来るの!」
「咲子がお父さんのどの部分を見ているかは、私でも分からないけど、お父さんの嫌や部分が見えて来たら、いずれは冷めるはずなの!」
電話向こうの母さんの表情はきっと『ドヤ顔』をしているだろう。
「嫌な部分ね…」
「俺も今の咲子に対する接し方は、娘と言うよりかは、お客さんみたいな対応をしているからな」
「そこなんだよね!」
母さんはコ〇ン君見たいに『ビシッ』と言う。
「私なり、お父さんを観察していたけど、私には厳しい事言う割りには、咲子には全然言わないもん!」
「どちらかと言うと、お父さんの方が咲子に嫌われたくないと、感じ取れる方が多かったよ!」
「えっ、そうなの!?」
「俺はそんな風に接した覚えが無いんだが……」
「お父さんが思って無くても、私はそう見えたよ!」
「真央は実の娘なのに、真央より咲子に話し掛けていた方が多かったよ!!」
母さんに言われて少し考える。
(たしか、真央に話し掛けたのはファミレスの時、その日の晩ご飯の時、後は……話らしい話はしていないな?)
「でしょう~」
「心当たり有るでしょう~~」
「あっ、あぁ…」
「これはね、私から、お父さんに対する試練なの!!」
「試練……?」
「そうよ!!」
「咲子はお父さんとの血が繋がっていない!」
「宮子、咲子はお父さんとの養子縁組をしていないから、結婚しようと思えば本当に出来る」
「本当は2人共、養子縁組を私はしたかったけど、宮子が猛反対したからね!」
「『あなたの事をお父さんとは認めない!』と言い切っていたからね…」
「だから、お父さんが本当に私を愛しているのか、それとも咲子の誘惑に負けてしまうかの試練です!」
「絶対そんな事は起きないから安心してよ、母さん……」
「私と真央が帰った瞬間に、咲子と海を見に行く人を流石に信用出来ないよ……」
「うっ…」
「ほら~図星でしょ♪」
「お父さんは、私が好きでは無くて、私の血筋が好きなの!」
「血筋だったら、私の子ども達にはみんな、私の血が入っているから、本来ならあなたの血も入った真央にメロメロに成る筈なんだけどね?」
「……」
「まっ、そんな訳だから、頑張ってね。お父さん♪」
「誘惑に負けても良いけど、取る物はしっかり取るからね♪」
「じゃあ、そろそろ、ドラマの時間だから切るね。バイバイ~」
「これがお父さんとの最後の通話に成らないように、私からも願っているよ!」
「あっ……、じゃあまたな、母さん」
『ツー、ツー』
「ふぅ~~~」
俺はため息をつく。
そう言えばそうだった……。宮子、咲子共に俺と養子縁組はしていない。
もし、宮子が咲子にそれを教えていたら、咲子は本気で俺を襲いかかるかも知れない。
今後の読めない展開と、母さんも思惑を考えながら俺は天井を見つめた……
……
お風呂から出てきた咲子は『今日は疲れた』と言って直ぐに寝室に向かってしまう。
明日は休暇を貰っているから休みでは有るが、夜更かしする理由も無いし、雑用を済ませてから寝室に向かう。
今までは、1枚の布団で俺と咲子は寝ていたのだが、今日は2枚布団が敷かれており、咲子はその1枚で寝ていた。
(あっ…、今日からは別々に成ったのか)
本来なら安心する所だが、何だか寂しい感じもする。
母さんの言う通り、俺は咲子を実は求めているのかも知れない。
敷かれている布団に寝転んで、ゆっくりと眠りに就く……
明日をどう過ごそうかと考えながら俺は眠りに就いた。
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