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第48話 母さんとの出会い その5
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「でね…、夫の労働災害で貰ったお金の殆どを、数年間に掛けて義理両親に渡して仕舞ったのだけど、それでも私にお金を求めてきたの……」
「私も流石に我慢の限界が来ていて、義理両親から無心の電話が来た時に、私はやっと『もう、払えません』と言ったの!」
「そうしたら、義理両親が訴えてやるとか訳分からない事を、電話向こうで言いだして、それを両親に相談したら、流石に私の両親も重い腰を上げたの…」
「私と両親は直ぐに弁護士に相談して、この件は解決出来たけど、結局、私が今まで払ったお金は戻ってこない上、最後は義理両親一家、夜逃げしたらしいの……」
「私はかなりの金額を、義理両親に事有るごとに払っていたのに、それでも借金の方が多かったみたい…」
「夫が言うには『僕には凄く厳しい両親だけど、兄には甘々なんだ…』と何時も言っていたの。
「だから、夫も両親とは関わりを持ちたがらなかったし、義理両親も私達の子どもを好いて無かったから、その分、夫は私と子ども達を凄く可愛がってくれた。なのに……」
小春はバッグからハンカチを取り出して涙を拭う。
横に居た咲子も異変に気付き『おかあさん、ないているの?』と声を掛けており、宮子の方も、今まで何処まで聞かされていたかは判らないが、複雑な顔をしていた……
(そう言った経緯か…)
(それにしても、非道い義理両親だな!)
(俺の一家だったら、地の果てまで探しに行くぞ!!)
「ごめん小春。辛い過去を話させてしまって……」
「大丈夫だよ。筑摩さんと一緒に成る時は、何時かは話さなくては成らない事だし」
「……」
今俺の中では、1つの決意をした。
俺が小春と結婚をする時に、もちろん俺の両親にも了解を求めるわけだが、大きな子どもが居る上に、元夫が死別で、更に極悪親戚が居る事を知ってしまったら、どんな人でも反対するに決まっている。そんな面倒くさい事に誰が好んで関わる!?
だから、小春は俺に対して、当たり障りの無い付き合いをしてきたのか……
冷静に考えれば小春とデートをしても、学生恋愛位の事しかしていない事に気付く。ショッピング、映画やカラオケ、近場の公園でのんびりしたり、繁華街での食べ歩きしかしていない……。泊まりがけの旅行も提案したが、やんわりと小春に拒否された。
キスはもちろんしたが、舌を絡ますようなキスはしていない。
相手が少女なら別だが、小春は元人妻だ。そんな人が、体の関係を一切求めず、更に金品も求めない。何故そこに俺は気付けなかったか?
それは小春が、まだ前夫を完全に忘れてないのと、子どもの事を考えて居るのだろう……
俺がどれだけ、前夫の様に振る舞えるかは未知数だが、俺はこの家族と関わりを本当に持ちたいと感じていた。
「小春…」
「俺は、この話を聞いても気持ちは変わらないし、例え大きな子ども達が俺に懐かなくても、俺は小春とその子ども達を愛するよ…」
「くっさ…」
宮子が呟くが気にせず話を続ける。
「だから、小春……俺達ちゃんと付合おう」
「もちろん、宮子と咲子を含めてだ!」
「だから、新しい家族を作ろう!!」
「筑摩さん…」
ここがファミレスだと言うのを忘れて、俺は熱い愛の告白をしている。
周りの席からは『おぉ!』や『ねぇ見て、あそこの席。凄い事言っているよ!』とか『凄いよあの人。自ら地雷原に突っ込んでいるよw』 とかが聞こえてくるが、気にはしてられない。
「筑摩さんがそう言うのなら、新しいお父さんにしようかな♪」
小春は涙を滲ませながら、笑顔で答えてくれる。
宮子は『これが新しいお父さんか……使えるのかな』と言ったり、咲子は『おかあさん、また、ないている。……新しいおとうさん?』と言っていた。
こうして……その後は、俺は小春家族と交際を続けて、俺の一家が中心だが周りの反対を押しのけて、小春の家族に俺が加わった。
元夫義理両親その後は音信不通で、俺達家族に危害・影響は全く無い。
只、元夫のお墓の場所は知りようが無いが、小春自身が少量の遺灰を持っていたため、手元供養を行っている。俺も元夫の命日の日には、小春と一緒に故人を偲ぶ……
……
(良く、あんな思い切った決断が出来たもんだ)
(俺に対して、積極的な関わりを持たなかった宮子だが、全然、非行の道には走らなかったし、咲子は恐ろしい位懐いているし、運が良いのだろうか?)
俺が母さんとの出会いを思い出し終えると、タイミングが良いのか戸が『ガラッ』と開く。
「まだ、起きてたの……」
俺を見た母さんは、不機嫌そうに言ってくる。
「母さん……。俺は母さんの事が好きだよ!」
「ちょっ、ちょっと……」
「さっきまでは、咲子達が居る手前と言っておきながら、咲子達が寝た瞬間にこれですか!?」
母さんは呆れ返りながら喋る。
「いや、俺は咲子に翻弄されていたのかも知れない」
「母さんが一番好きなのに、咲子に気が移ってしまっていた…」
「まあ、私はどっちでも良いけど…」
「流石に、これ以上愛を求められても、経済的余裕は無いし……、お父さんの好きにしたら!」
「じゃあ、母さんに求めても良いの!」
「ここじゃ、嫌よ…。私はそんな気分じゃ無いし」
「それに、少し頭が痛いから、それ所では無いわ…」
「そっかぁ」
「まぁ、お互い、大分飲んだしね」
「だから、夫婦の愛の時間は、今度家に帰るまではお預けです!」
「さっきの時に甘えれば良かったのに……。残念だったね、お父さん♪」
「さぁ、お父さん。普通に寝るよ!」
「このまま、起きていてもお酒は抜けないし」
と言って母さんは寝室に向かってしまう。しかし、最後の方の口調は、不機嫌さが少し消えていたような気がした。
俺もそれから直ぐに寝室に向かって眠りに就く。
こうして、俺と母さん達と過ごした今日一日は無事? に終わりを告げた。
「私も流石に我慢の限界が来ていて、義理両親から無心の電話が来た時に、私はやっと『もう、払えません』と言ったの!」
「そうしたら、義理両親が訴えてやるとか訳分からない事を、電話向こうで言いだして、それを両親に相談したら、流石に私の両親も重い腰を上げたの…」
「私と両親は直ぐに弁護士に相談して、この件は解決出来たけど、結局、私が今まで払ったお金は戻ってこない上、最後は義理両親一家、夜逃げしたらしいの……」
「私はかなりの金額を、義理両親に事有るごとに払っていたのに、それでも借金の方が多かったみたい…」
「夫が言うには『僕には凄く厳しい両親だけど、兄には甘々なんだ…』と何時も言っていたの。
「だから、夫も両親とは関わりを持ちたがらなかったし、義理両親も私達の子どもを好いて無かったから、その分、夫は私と子ども達を凄く可愛がってくれた。なのに……」
小春はバッグからハンカチを取り出して涙を拭う。
横に居た咲子も異変に気付き『おかあさん、ないているの?』と声を掛けており、宮子の方も、今まで何処まで聞かされていたかは判らないが、複雑な顔をしていた……
(そう言った経緯か…)
(それにしても、非道い義理両親だな!)
(俺の一家だったら、地の果てまで探しに行くぞ!!)
「ごめん小春。辛い過去を話させてしまって……」
「大丈夫だよ。筑摩さんと一緒に成る時は、何時かは話さなくては成らない事だし」
「……」
今俺の中では、1つの決意をした。
俺が小春と結婚をする時に、もちろん俺の両親にも了解を求めるわけだが、大きな子どもが居る上に、元夫が死別で、更に極悪親戚が居る事を知ってしまったら、どんな人でも反対するに決まっている。そんな面倒くさい事に誰が好んで関わる!?
だから、小春は俺に対して、当たり障りの無い付き合いをしてきたのか……
冷静に考えれば小春とデートをしても、学生恋愛位の事しかしていない事に気付く。ショッピング、映画やカラオケ、近場の公園でのんびりしたり、繁華街での食べ歩きしかしていない……。泊まりがけの旅行も提案したが、やんわりと小春に拒否された。
キスはもちろんしたが、舌を絡ますようなキスはしていない。
相手が少女なら別だが、小春は元人妻だ。そんな人が、体の関係を一切求めず、更に金品も求めない。何故そこに俺は気付けなかったか?
それは小春が、まだ前夫を完全に忘れてないのと、子どもの事を考えて居るのだろう……
俺がどれだけ、前夫の様に振る舞えるかは未知数だが、俺はこの家族と関わりを本当に持ちたいと感じていた。
「小春…」
「俺は、この話を聞いても気持ちは変わらないし、例え大きな子ども達が俺に懐かなくても、俺は小春とその子ども達を愛するよ…」
「くっさ…」
宮子が呟くが気にせず話を続ける。
「だから、小春……俺達ちゃんと付合おう」
「もちろん、宮子と咲子を含めてだ!」
「だから、新しい家族を作ろう!!」
「筑摩さん…」
ここがファミレスだと言うのを忘れて、俺は熱い愛の告白をしている。
周りの席からは『おぉ!』や『ねぇ見て、あそこの席。凄い事言っているよ!』とか『凄いよあの人。自ら地雷原に突っ込んでいるよw』 とかが聞こえてくるが、気にはしてられない。
「筑摩さんがそう言うのなら、新しいお父さんにしようかな♪」
小春は涙を滲ませながら、笑顔で答えてくれる。
宮子は『これが新しいお父さんか……使えるのかな』と言ったり、咲子は『おかあさん、また、ないている。……新しいおとうさん?』と言っていた。
こうして……その後は、俺は小春家族と交際を続けて、俺の一家が中心だが周りの反対を押しのけて、小春の家族に俺が加わった。
元夫義理両親その後は音信不通で、俺達家族に危害・影響は全く無い。
只、元夫のお墓の場所は知りようが無いが、小春自身が少量の遺灰を持っていたため、手元供養を行っている。俺も元夫の命日の日には、小春と一緒に故人を偲ぶ……
……
(良く、あんな思い切った決断が出来たもんだ)
(俺に対して、積極的な関わりを持たなかった宮子だが、全然、非行の道には走らなかったし、咲子は恐ろしい位懐いているし、運が良いのだろうか?)
俺が母さんとの出会いを思い出し終えると、タイミングが良いのか戸が『ガラッ』と開く。
「まだ、起きてたの……」
俺を見た母さんは、不機嫌そうに言ってくる。
「母さん……。俺は母さんの事が好きだよ!」
「ちょっ、ちょっと……」
「さっきまでは、咲子達が居る手前と言っておきながら、咲子達が寝た瞬間にこれですか!?」
母さんは呆れ返りながら喋る。
「いや、俺は咲子に翻弄されていたのかも知れない」
「母さんが一番好きなのに、咲子に気が移ってしまっていた…」
「まあ、私はどっちでも良いけど…」
「流石に、これ以上愛を求められても、経済的余裕は無いし……、お父さんの好きにしたら!」
「じゃあ、母さんに求めても良いの!」
「ここじゃ、嫌よ…。私はそんな気分じゃ無いし」
「それに、少し頭が痛いから、それ所では無いわ…」
「そっかぁ」
「まぁ、お互い、大分飲んだしね」
「だから、夫婦の愛の時間は、今度家に帰るまではお預けです!」
「さっきの時に甘えれば良かったのに……。残念だったね、お父さん♪」
「さぁ、お父さん。普通に寝るよ!」
「このまま、起きていてもお酒は抜けないし」
と言って母さんは寝室に向かってしまう。しかし、最後の方の口調は、不機嫌さが少し消えていたような気がした。
俺もそれから直ぐに寝室に向かって眠りに就く。
こうして、俺と母さん達と過ごした今日一日は無事? に終わりを告げた。
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