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第46話 母さんとの出会い その3
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小春との交流が始まったのは良かったが、お互いの休みが中々合う事は少なかった。
小春はスーパーの店員。俺は工場勤務だが、土曜日・祝日は交代で出勤しなければ成らなかったため、月に1~2回会うのが限界だった……
その代わり、メールや電話で普段会えない部分をカバーして、少しずつだがお互いの仲を深めていった……
小春はどちらかと言うと内気な性格で、大きな公園でのんびりしたり、食べ歩きをする程度の行為を楽しんでいた。
小春と親友として付合いだしてから、半年位経ったある日……
急にその日に『今日の晩、ファミレスに来て欲しい』とメールで小春から連絡が入った。
その日の俺は残業の予定日だったが、上長に無理を言って定時に上がらせて貰い、小春の指定したファミレスに向かった。
俺はファミレスに着いて、小春にメールで連絡を取ると『店内に居るから来て』と直ぐに返信が来る。
店内に入り、席周辺を見渡すと小春の姿を見つける。
俺は小春を見つけて、小春の座っている席に近付くと、小春以外の誰かが席に座っているのに気が付いた。
不思議に思いながら、小春の座っている席に来ると、小春の向かいに小学生高学年位の女の子と、小春の横には幼稚園児位の女の子が座っていた。
(あれ?)
(この子達は誰だろう? 小春の親戚の子かな?)
(しかし、相席するんて一言も聞いてないぞ)
この時はまさか、小春自身の子どもだとは思っていないので、普通に小春に声を掛ける。
「小春。お待たせ、待った?」
と言った瞬間、小学生の女の子が俺を睨み付けてきた。
(うぁ……何この子。感じ悪いな……)
その子の事は相手にせずに、小春の方に体の向きを変えると小春は返事をする。
「……取り敢えず、座って……」
小春に席に座るように促されるが、俺の空いている席は先ほど睨み付けてきた、女の子の横しか空いてない。俺は突き刺さる視線に耐えながら席に座る。
「ごめんね。急に呼び出しちゃって…」
「大丈夫だった?」
「いや、まあ、大丈夫だけど……」
「急にどうしたの?」
俺は小春の横に座って居る、幼稚園児位の女の子を見る。
その子は別に、俺を睨み付けようとはしなかったが『ジー』と俺の事を見て居て、観察されている気がした。
「話の前に、注文だけしちゃって」
「その方が、落ち着いて話せるから…」
小春はそう言って、テーブルに置いてあるインターホン鳴らして、ウェイトレスさんを呼ぶ。何時もの明るい小春では無く、重苦しい雰囲気を感じる。
夕食時の時間帯だが、俺はここで夕食を取る気は無かったので、ドリンクバーだけを注文する。
小春とその子ども達は、ドリンクバーとデザート類を頼んで既に食べていた。
俺は注文を終えた後、ドリンクバーでアイスコーヒーを注いで、小春達が座って居る席に戻る。
席に座ってアイスコーヒーを飲もうとした時に、小学生の女の子が、ぶっきらぼうな口調で俺に話し掛けてきた。
「あなたが、新しいお父さん!?」
「はい~!?」
「何……、びっくりしているの? お母さんから何も聞いて無いの!?」
「貴方の名前は確か、真田筑摩で良いのだよね!」
「こっ、これ、宮子……。さん付けで呼びなさい」
「お母さんは、少し黙っていて!」
「合ってるよね、真田さん…」
「あぁ……俺の名前は、君の言う通り、真田筑摩だ」
「……えっと、じゃあ、今度は君の名前教えてくれる?」
「私は君じゃ無い!?」
「あなたから見て、私は男子に見えるわけ!!」
その子は憤慨する。
しかし、気が強い子だ……。もしかしたら虚勢を張っているだけかも知れんが。
「ごめん、ごめん。あなたの名前を教えてくれる?」
「……お母さん。何にも話していないんだね!」
「お母さん……時々、狡猾に成るからな。騙す気満々だったのかな…」
その子は『はぁ~』とため息をつく。
「……私の名前は、新見宮子。長女です。小学生4年生です!」
(長女!? 親戚の子が、こんな紹介普通しないよな……。それに小春の事をお母さんと呼んでいたし)
俺はまさかと思い、宮子に尋ねる。
「宮子ちゃんは長女何だよね…。他には姉妹は入るの?」
俺は、恐る恐る宮子に聞くと……
「お母さんの横に座って居るのが、次女の咲子…」
「咲子。新しいお父さんに挨拶をして!」
その時、丁度プリンを食べようとしていた咲子は、スプーンにプリンを乗せたまま俺の方に顔を見上げる。
「おとうさん、こんにちは……。あっ、今の時間は、こんばんわだね!」
と言って咲子は、目線を戻してプリンを食べる……
(おい、おい、どうなっているんだ。受け入れたくは無いが、小春の子ども達か!?)
(しかし、そんな話聞いてないぞ!!)
(俺まだ、初婚に当たるのに、できちゃった婚ならず、連子結婚に成るの!?)
状況が理解出来始めた俺は、小春の方を見る。
「あはは。子ども達に筑摩さんの事バレちゃってさ……。私のお母さんも『今後の事を考えて行動しなさい』と言われてしまったから、私の子どもの紹介?」
「本当は正式に付合いだしてから、告白しようと思っていたのだけど、それじゃあ、騙し討ちだと宮子に言われて、それでまだ、筑摩さんとは親友関係の状態だけど、紹介してみた……?」
小春は困った笑いをしながら言うが、どうしろと言うのだ!?
俺と小春の関係は大分進展はしていたが、大人の関係までは築けてなかった。
仮に築いた後で、小春の子ども達が出て来たら、俺は逃げ場を完全に失っていた……
突如現れた小春の子ども達……。本当に大きな壁にぶち当たってしまった!!
小春はスーパーの店員。俺は工場勤務だが、土曜日・祝日は交代で出勤しなければ成らなかったため、月に1~2回会うのが限界だった……
その代わり、メールや電話で普段会えない部分をカバーして、少しずつだがお互いの仲を深めていった……
小春はどちらかと言うと内気な性格で、大きな公園でのんびりしたり、食べ歩きをする程度の行為を楽しんでいた。
小春と親友として付合いだしてから、半年位経ったある日……
急にその日に『今日の晩、ファミレスに来て欲しい』とメールで小春から連絡が入った。
その日の俺は残業の予定日だったが、上長に無理を言って定時に上がらせて貰い、小春の指定したファミレスに向かった。
俺はファミレスに着いて、小春にメールで連絡を取ると『店内に居るから来て』と直ぐに返信が来る。
店内に入り、席周辺を見渡すと小春の姿を見つける。
俺は小春を見つけて、小春の座っている席に近付くと、小春以外の誰かが席に座っているのに気が付いた。
不思議に思いながら、小春の座っている席に来ると、小春の向かいに小学生高学年位の女の子と、小春の横には幼稚園児位の女の子が座っていた。
(あれ?)
(この子達は誰だろう? 小春の親戚の子かな?)
(しかし、相席するんて一言も聞いてないぞ)
この時はまさか、小春自身の子どもだとは思っていないので、普通に小春に声を掛ける。
「小春。お待たせ、待った?」
と言った瞬間、小学生の女の子が俺を睨み付けてきた。
(うぁ……何この子。感じ悪いな……)
その子の事は相手にせずに、小春の方に体の向きを変えると小春は返事をする。
「……取り敢えず、座って……」
小春に席に座るように促されるが、俺の空いている席は先ほど睨み付けてきた、女の子の横しか空いてない。俺は突き刺さる視線に耐えながら席に座る。
「ごめんね。急に呼び出しちゃって…」
「大丈夫だった?」
「いや、まあ、大丈夫だけど……」
「急にどうしたの?」
俺は小春の横に座って居る、幼稚園児位の女の子を見る。
その子は別に、俺を睨み付けようとはしなかったが『ジー』と俺の事を見て居て、観察されている気がした。
「話の前に、注文だけしちゃって」
「その方が、落ち着いて話せるから…」
小春はそう言って、テーブルに置いてあるインターホン鳴らして、ウェイトレスさんを呼ぶ。何時もの明るい小春では無く、重苦しい雰囲気を感じる。
夕食時の時間帯だが、俺はここで夕食を取る気は無かったので、ドリンクバーだけを注文する。
小春とその子ども達は、ドリンクバーとデザート類を頼んで既に食べていた。
俺は注文を終えた後、ドリンクバーでアイスコーヒーを注いで、小春達が座って居る席に戻る。
席に座ってアイスコーヒーを飲もうとした時に、小学生の女の子が、ぶっきらぼうな口調で俺に話し掛けてきた。
「あなたが、新しいお父さん!?」
「はい~!?」
「何……、びっくりしているの? お母さんから何も聞いて無いの!?」
「貴方の名前は確か、真田筑摩で良いのだよね!」
「こっ、これ、宮子……。さん付けで呼びなさい」
「お母さんは、少し黙っていて!」
「合ってるよね、真田さん…」
「あぁ……俺の名前は、君の言う通り、真田筑摩だ」
「……えっと、じゃあ、今度は君の名前教えてくれる?」
「私は君じゃ無い!?」
「あなたから見て、私は男子に見えるわけ!!」
その子は憤慨する。
しかし、気が強い子だ……。もしかしたら虚勢を張っているだけかも知れんが。
「ごめん、ごめん。あなたの名前を教えてくれる?」
「……お母さん。何にも話していないんだね!」
「お母さん……時々、狡猾に成るからな。騙す気満々だったのかな…」
その子は『はぁ~』とため息をつく。
「……私の名前は、新見宮子。長女です。小学生4年生です!」
(長女!? 親戚の子が、こんな紹介普通しないよな……。それに小春の事をお母さんと呼んでいたし)
俺はまさかと思い、宮子に尋ねる。
「宮子ちゃんは長女何だよね…。他には姉妹は入るの?」
俺は、恐る恐る宮子に聞くと……
「お母さんの横に座って居るのが、次女の咲子…」
「咲子。新しいお父さんに挨拶をして!」
その時、丁度プリンを食べようとしていた咲子は、スプーンにプリンを乗せたまま俺の方に顔を見上げる。
「おとうさん、こんにちは……。あっ、今の時間は、こんばんわだね!」
と言って咲子は、目線を戻してプリンを食べる……
(おい、おい、どうなっているんだ。受け入れたくは無いが、小春の子ども達か!?)
(しかし、そんな話聞いてないぞ!!)
(俺まだ、初婚に当たるのに、できちゃった婚ならず、連子結婚に成るの!?)
状況が理解出来始めた俺は、小春の方を見る。
「あはは。子ども達に筑摩さんの事バレちゃってさ……。私のお母さんも『今後の事を考えて行動しなさい』と言われてしまったから、私の子どもの紹介?」
「本当は正式に付合いだしてから、告白しようと思っていたのだけど、それじゃあ、騙し討ちだと宮子に言われて、それでまだ、筑摩さんとは親友関係の状態だけど、紹介してみた……?」
小春は困った笑いをしながら言うが、どうしろと言うのだ!?
俺と小春の関係は大分進展はしていたが、大人の関係までは築けてなかった。
仮に築いた後で、小春の子ども達が出て来たら、俺は逃げ場を完全に失っていた……
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