単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

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第45話 母さんとの出会い その2

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 軽い雑談をしながら、俺と彼女達は喫茶店に向かう。込み入った話はしてこなくて、世間話を中心に話す。
 桜並木が有る場所から、徒歩で15分位歩くと喫茶店が見えてくる。見た感じチェーン店では無く、個人経営の喫茶店みたいだ。

 喫茶店店内に入ると、比較的広めの店内では有るが、ランチタイムは既に終了しており、お客さんの姿はあまり見えなかった。
 日差しが入る窓際のテーブル席に彼女達は座り、俺も一緒にその席に座る。
 しばらくするとウェイトレスさんが、お冷や(水)とおしぼりを持って来る。

「いらしゃいませ!」
「ご注文は?」

 見た感じ、大学生位の女性で有る。此所の娘さんと言うよりかはアルバイトだろう。
 小春と三咲は、ドリンクとケーキが付いたケーキセットを頼んでおり、俺はブレンドコーヒーを頼む……。最近、喫茶店には全く来ていなかったのを思い出す。

 注文をウェイトレスさんに告げると、ウェイトレスさんはお辞儀をしてから席から離れていく……
 それを見計らった様に、三咲が俺に質問をしてくる。

「筑摩さんは、何処にお勤めですか?」

「こら、失礼だよ。いきなり人の勤務先聞くなんて……」

 小春は、三咲から俺に対する質問に制止を掛けるが、別に恥ずかしい企業に勤めている訳で無いから答える。

「一応、今は、○×市に在る〇〇で勤務しております」

「あら。結構大手企業なんですね」
「でも『今は?』どういった意味で?」

「実は、俺はその工場内に有る、グループ企業の社員でして……」
「場合によっては、転勤等が有る場合が有りますので……」

「そう言う事ですか!」
「でも、大手企業グループには変わりませんわ!」
「良かったわね! 小春!!」

「えっ! 三咲!?」
「いきなり何を言い出すの!?」

 小春は突然、三咲に話を振られて困惑している。
 その姿も可愛いと感じてしまう俺がいた……

「それと筑摩さんは、独身ですか?」
「まあ、そうですよね……妻帯者が私達に、声を掛ける事は有り得ませんから……」

「はい……独身です」

 見た感じ2人共まだ、独身なんだろうか?
 そうすると三咲は、小春に何か耳打ちをしている……

「小春……チャンス到来よ…」

「え~、いや……子ども達が居るし…」
「いや、私(小春)も、そりゃあ、そうだけど……」

 小声で2人は話しているから、聞き取れないが、何かの打ち合わせをしている感じだ。
 しかし、子どもの部分だけは聞こえてしまった……

 その間に、先程のウェイトレスさんが注文した品を持って来た。
 話は一旦中断と成って、彼女達はケーキを食べて、紅茶やコーヒーで楽しんで、俺もブレンドコーヒーを飲む。
 コーヒーの微妙な味は俺には良く判らないが、こんな物だと思ってコーヒーを飲む。

 彼女達の飲食も一旦落ち着いて再び、三咲からの質問が再開される。

「筑摩さんは、先ほど〇〇で勤務していると伺いましたが、勤続年数は長いのですか?」

「今年で3年目に成ります」

「年齢の割に3年目と言う事は、それ以前は、別の企業で勤めていたのですか?」

「はい、そうです……」

「別に深くは聞くつもりは有りませんが、何故、以前の企業を辞められたんですか?」

(この三咲さんは、先ほどから面接みたいな質問ばかりしてくるな……)
(俺は小春の事がもっと知りたいのに……)

「以前の企業は、会社の先輩からパワハラを受けて、それで体調を崩して退職しました」

「あらま、そうだったのですか……お気の毒に…」
「今はもう、回復されたんですか?」

 三咲は一瞬、あわれんだ表情をして話しを続ける。 

「はい。御陰様おかげさまで何とか……あの、三咲さん」
「失礼ですか……この面接みたいな質問が続いているのは何ですか?」


 そうすると三咲は急に謝り出す。

「ああ、ごめんなさい……」
「あなたが小春に相応しい人か、知りたかったので……」

「はぁ……そうですか…」

 どうやら俺は、三咲に品定めをされて居たみたいだ。
 小春に相応しい人? どう言う意味だ!?

「あなたが、私達に声を掛けたと言う事は、私達どちらかに興味を感じて、声を掛けた事に成りますよね?」
「でも、私(三咲)は小春から紹介されるまでは、あなたの事は知らなかったし、会った記憶も無い。しかし、小春は筑摩さんの事を知っていた」

「そうなりますと筑摩さんは、小春を以前から知っていて、つ興味を持っていたから、声を掛けたで間違っては無いですよね…」

「はい、そうです…」
「新見(小春)さんが気になって声を掛けました……」

 すると三咲はにっこり笑って、小春に話し掛ける。

「だって……小春!」
「筑摩さんが、あなたに興味が有るって!」

 そうすると、小春は頬を真っ赤にしてうつむいてしまう。
 意外に初心うぶな人なの!?

「どうする、小春?」
「あなたが筑摩さんに興味が無いなら、私から断ってあげるけど…」

 三咲は小春の仲介役を何故かしている。
 小春と三咲の親友関係は、かなりの仲が深い関係なんだろう?
 すると、小春はゆっくりと顔を上げながら言う。

「えっと、真田さん…」
「何時も、スーパーに来てくれて有り難う御座います」
「私に関心を持ってくれたのは、凄く嬉しいのだけど……どうして、私に関心を示してくれたのかな?」

「えっと、それは……新見さんが、愛嬌の有る、優しそうな人だから興味を持ちました」

「そうですか……うゆ」

 何だか、お見合いをしている感じだ。お見合いってこんな感じなのかな?
 しかし、この子語尾に『うゆ』って付けて言ったぞ! それとも『はい』と言うつもりがんだのかな?

「どうする、小春……」

 三咲は小春に声を掛ける。

「筑摩さんとはもう、顔馴染みの関係だし……親友からなら良いかも…」

 小春はそう言ってくれた。
 スーパーの店員さんの時から、気になる人では有ったが、このような展開に成るとは夢にも思っていなかった!?

 お互いのメールアドレスの交換と、三咲さんのメールアドレスも交換する。
 こうして、小春との交流が始まりだした……
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