22 / 167
第21話 それぞれの平日 その6
しおりを挟む
『いただきます』を一緒にして、今日も晩ご飯が始まる。
俺は発泡酒で喉を潤し、咲子もジュースで喉を潤す。
発泡酒を注いだコップを一気に飲み干し、一息ついたら早速、豚の生姜焼きを箸で掴んでかぶり付く。
エアコンが効いている所為か少し冷めてしまっているが、豚肉のうま味と脂、甘辛いタレの味が口いっぱいに広がる。
「やっぱり生姜焼きは良いな。ドンドン食べられそうだよ!」
「良かった。喜んで貰えて!」
「作った甲斐が有ったよ。お酒も良いけどご飯にも合うよ!!」
「そうだよな……ご飯も良いけど、今はこっちの方が良いな」
俺は肉1枚をあっという間に食べてしまい、空になったコップに発泡酒を新たに注ぐ。しかし、コップ半分位の所で、缶の中身が空に成ってしまう。
「あれ、もう空に成ってしまったか。もう1缶取ってこよう!」
俺は席を立って、新たな発泡酒の缶を冷蔵庫から取り出してくる。そして、クッションに座ると咲子がチクリと言ってくる。
「ビールは2缶までだからね!」
「あはは、お母さんの台詞そっくりだな」
「それにこれは発泡酒だよ!」
「『あはは』じゃないよ。お父さんのためなんだから」
「それ、私から見ればビールなの!」
「大丈夫、大丈夫、これで終わるから」
いくら生姜焼きと発泡酒(ビール)が合うからと言って飲みすぎは良くない。
今飲んでいる缶はロング缶だから、2本飲み干すと1リッター飲んでいる計算に成る。ここからは計算して飲んで行かなければ成らない……
後のことを考えて、ここは一旦味噌汁を飲んで、豚肉の脂と発泡酒の苦みを流す。
『ズズー』
「……うん美味しい。俺が作るのと殆ど変わらないや!」
「まあ、出汁はインスタントだし、味噌は調味味噌だからね。順番を間違わなければ誰でも出来るよ。恐らく…」
「いや~でも、本当に美味しいよ! 良いお嫁さんに成れるよ!!」
「!!」
咲子は何故か急に顔が真っ赤になる。
「おっ、お父さん! 今の時代はすっ、直ぐに結婚じゃ無いんだよ!!」
「大学を出て、社会人生活を頑張って、そのご褒美にブランド物を買ったり、海外旅行を楽しんだり、美味しいものをいっぱい食べて、女子を楽しむんだよ! 結婚は直ぐにはしないんだよ!!」
「あぁ、今の時代は、そうらしいな。言葉の綾だよ!」
「そっ、それより、お父さん。まだナスの浅漬け食べていないでしょ!」
話題を変えたいのか、急にナスの浅漬けに話を持って来た。
「ナスか…」
「美味しいよ! 浅漬けの素に漬けただけだけど、さっぱりして美味しいよ!!」
咲子そう言いながら、ナスを食べて実演してくれる。
「……」
「ほら、ほら、良いお嫁さんが作ったナスの浅漬けなんだから、食べないと勿体ないよ!!」
「そうだな……良いお嫁さん漬けたナスだからな!」
俺は観念して、ナスの浅漬けを箸で掴んで口に入れる。
「……あっ、意外に美味しい」
「でしょ!」
「何せ、良いお嫁さんが漬けたナスの浅漬けなんだから!!」
「ナスのグニグニ感が有るかなと思ったけど、意外にサクサクして歯触りが良い!」
「この浅漬けなら、食べられそうだな…」
そう言いながら次のナスを箸でつまむ。つけ込みが浅い部分も有るが、生に近い食感だからか平気で食べられる。
「お父さんの食わず嫌いが1つ減ったね♪」
咲子はニコニコしながらそう言う。
「食わず嫌いでは無いがな……」
実際そんな訳では無いが、確かに単身赴任を始めてから偏食になっている感じがする。
それ以前はバランス良く食べていた気がするが、里帰りした時の食事でも、煮物やお浸し類はあまり食べなくなっていた。でも、よく考えたら、それは母さんに食べさせられていたのかも知れない……
「でも、お母さん気にしていたよ」
「? 何を?」
『やっぱり、独身モードにさせると駄目だね!』
「『一度お父さんの食生活をチェックしなくては!!』って言っていたよ!」
「そうなの? 初耳だよ!」
「お母さんがこっちに来るかは分からないけど、言っていたのは事実だよ!」
「そうか……少し、食生活を見直した方が良いかな?」
「どうだろう?」
「でも、お父さん。コンビニ弁当やスーパーの惣菜がメインだとあまり良くないかも」
「う~ん」
ナスの浅漬けで、話が思わない方向に飛んだ。
まあ、バランスの良い食事が良いに決まっているが。
「まあ、お父さん。私が居る間は、バランスの良い物作るから安心して!」
「でも、毎日は大変だろう?」
「えっ、別に? 全然苦じゃ無いけど!」
「私が居る間、晩ご飯は私に任せて、お仕事に専念してよ!」
「すまんな、本来はお客さんの立場なんだが…」
「家族だもん、当然だよ!」
パッと笑う咲子。
暫くは、咲子が作るバランスの良い食事? が確保された時だった。
どんな料理が出てくるかは分からないが……、明日からの晩ご飯が楽しみに成るかも!
晩ご飯の後は、何時も通り2人で後片付けをして、咲子はお風呂に入りに行った。
俺は発泡酒で喉を潤し、咲子もジュースで喉を潤す。
発泡酒を注いだコップを一気に飲み干し、一息ついたら早速、豚の生姜焼きを箸で掴んでかぶり付く。
エアコンが効いている所為か少し冷めてしまっているが、豚肉のうま味と脂、甘辛いタレの味が口いっぱいに広がる。
「やっぱり生姜焼きは良いな。ドンドン食べられそうだよ!」
「良かった。喜んで貰えて!」
「作った甲斐が有ったよ。お酒も良いけどご飯にも合うよ!!」
「そうだよな……ご飯も良いけど、今はこっちの方が良いな」
俺は肉1枚をあっという間に食べてしまい、空になったコップに発泡酒を新たに注ぐ。しかし、コップ半分位の所で、缶の中身が空に成ってしまう。
「あれ、もう空に成ってしまったか。もう1缶取ってこよう!」
俺は席を立って、新たな発泡酒の缶を冷蔵庫から取り出してくる。そして、クッションに座ると咲子がチクリと言ってくる。
「ビールは2缶までだからね!」
「あはは、お母さんの台詞そっくりだな」
「それにこれは発泡酒だよ!」
「『あはは』じゃないよ。お父さんのためなんだから」
「それ、私から見ればビールなの!」
「大丈夫、大丈夫、これで終わるから」
いくら生姜焼きと発泡酒(ビール)が合うからと言って飲みすぎは良くない。
今飲んでいる缶はロング缶だから、2本飲み干すと1リッター飲んでいる計算に成る。ここからは計算して飲んで行かなければ成らない……
後のことを考えて、ここは一旦味噌汁を飲んで、豚肉の脂と発泡酒の苦みを流す。
『ズズー』
「……うん美味しい。俺が作るのと殆ど変わらないや!」
「まあ、出汁はインスタントだし、味噌は調味味噌だからね。順番を間違わなければ誰でも出来るよ。恐らく…」
「いや~でも、本当に美味しいよ! 良いお嫁さんに成れるよ!!」
「!!」
咲子は何故か急に顔が真っ赤になる。
「おっ、お父さん! 今の時代はすっ、直ぐに結婚じゃ無いんだよ!!」
「大学を出て、社会人生活を頑張って、そのご褒美にブランド物を買ったり、海外旅行を楽しんだり、美味しいものをいっぱい食べて、女子を楽しむんだよ! 結婚は直ぐにはしないんだよ!!」
「あぁ、今の時代は、そうらしいな。言葉の綾だよ!」
「そっ、それより、お父さん。まだナスの浅漬け食べていないでしょ!」
話題を変えたいのか、急にナスの浅漬けに話を持って来た。
「ナスか…」
「美味しいよ! 浅漬けの素に漬けただけだけど、さっぱりして美味しいよ!!」
咲子そう言いながら、ナスを食べて実演してくれる。
「……」
「ほら、ほら、良いお嫁さんが作ったナスの浅漬けなんだから、食べないと勿体ないよ!!」
「そうだな……良いお嫁さん漬けたナスだからな!」
俺は観念して、ナスの浅漬けを箸で掴んで口に入れる。
「……あっ、意外に美味しい」
「でしょ!」
「何せ、良いお嫁さんが漬けたナスの浅漬けなんだから!!」
「ナスのグニグニ感が有るかなと思ったけど、意外にサクサクして歯触りが良い!」
「この浅漬けなら、食べられそうだな…」
そう言いながら次のナスを箸でつまむ。つけ込みが浅い部分も有るが、生に近い食感だからか平気で食べられる。
「お父さんの食わず嫌いが1つ減ったね♪」
咲子はニコニコしながらそう言う。
「食わず嫌いでは無いがな……」
実際そんな訳では無いが、確かに単身赴任を始めてから偏食になっている感じがする。
それ以前はバランス良く食べていた気がするが、里帰りした時の食事でも、煮物やお浸し類はあまり食べなくなっていた。でも、よく考えたら、それは母さんに食べさせられていたのかも知れない……
「でも、お母さん気にしていたよ」
「? 何を?」
『やっぱり、独身モードにさせると駄目だね!』
「『一度お父さんの食生活をチェックしなくては!!』って言っていたよ!」
「そうなの? 初耳だよ!」
「お母さんがこっちに来るかは分からないけど、言っていたのは事実だよ!」
「そうか……少し、食生活を見直した方が良いかな?」
「どうだろう?」
「でも、お父さん。コンビニ弁当やスーパーの惣菜がメインだとあまり良くないかも」
「う~ん」
ナスの浅漬けで、話が思わない方向に飛んだ。
まあ、バランスの良い食事が良いに決まっているが。
「まあ、お父さん。私が居る間は、バランスの良い物作るから安心して!」
「でも、毎日は大変だろう?」
「えっ、別に? 全然苦じゃ無いけど!」
「私が居る間、晩ご飯は私に任せて、お仕事に専念してよ!」
「すまんな、本来はお客さんの立場なんだが…」
「家族だもん、当然だよ!」
パッと笑う咲子。
暫くは、咲子が作るバランスの良い食事? が確保された時だった。
どんな料理が出てくるかは分からないが……、明日からの晩ご飯が楽しみに成るかも!
晩ご飯の後は、何時も通り2人で後片付けをして、咲子はお風呂に入りに行った。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

婚約者の様子がおかしいので尾行したら、隠し妻と子供がいました
Kouei
恋愛
婚約者の様子がおかしい…
ご両親が事故で亡くなったばかりだと分かっているけれど…何かがおかしいわ。
忌明けを過ぎて…もう2か月近く会っていないし。
だから私は婚約者を尾行した。
するとそこで目にしたのは、婚約者そっくりの小さな男の子と美しい女性と一緒にいる彼の姿だった。
まさかっ 隠し妻と子供がいたなんて!!!
※誤字脱字報告ありがとうございます。
※この作品は、他サイトにも投稿しています。
こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる