単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
19 / 167

第18話 それぞれの平日 その3

しおりを挟む
 外は蒸し暑そうだが、エアコンの効いている部屋の中。私は頭の中で色々と晩ご飯のメニューを考える。

(最近、こってりしたメニューが多かったから、さっぱりした料理の方が良いかな?)
(でも、さっぱりしたメニューが煮物とか刺身ぐらいしか思いつかない……)
(うーん、やはり簡単には思いつかないな…)

 アイディアに詰まってしまった私は、スマートフォンで料理サイトを検索する。
 様々な料理レシピを閲覧したが、私の思いと一致する料理とは何かが違う。

「うん……。お父さんが好きな料理と言うより、私が作れる料理にすべきだ!」

 メニューを考え始めて30分位経った時、私の頭の中ではそう言った答えが出来上がっていた。
 きっと今のお父さんならどんな料理を出しても『美味しい!』と言うだろう。でも、どうせ私が作るなら、ネットの付け焼き刃料理では無く、自信のある料理を作るべきかと考えた。

(そうなると……よし!)

 食材を確認するために台所に向かい冷蔵庫の中を確認する。

(やっぱりキャベツは有るな……日持ちするしね)
(肉は……有るけど、この肉では少し見栄えが悪いな…)

 スマートフォンのメモ帳機能を使って、買い足さなければ成らない食材を入力する。
 キャベツはお母さんも大好きで、何時も冷蔵庫に入っている。
 お母さんいわく『家計の味方よ!』と何時も言っている。

(今、私の力で出来る料理は、これ位しか思いつかないけど、多分美味しいと言ってくれるよね!)

 必要な調味料も確認して、今日もこってりメニューに成りそうだが、自信の有る料理と成ると、そう言ったメニューしか出来そうでも無い!
 ベランダに干してある洗濯物の乾き具合も確認して、何とか乾いていたので仕舞い込み、それを畳んでから買い物に出掛ける。

「行ってきまーす!」

 玄関の鍵を閉めて、お父さんと一緒に行ったスーパーに向かう。
 殆ど一本道なので迷う事無くスーパーに到着する。
 店内を歩きながらスマートフォンを取り出し、先ほどのメモ帳機能を開いて、メモの内容通りの食材を買い物カゴに入れていく……

(うん。まあ、こんなもんでしょう!)

 気になった物や買いたい物を買い物カゴに入れて、レジに向かい会計を済まし、家に戻り食材を冷蔵庫にしまう。

(まだ、晩ご飯の準備には早いから……テレビでも見るか)

 テレビのスイッチを入れ、リモコンで適当にチャンネルを変える。
 有るチャンネルに変えると、刑事ドラマが丁度始まった頃なのでそれを見る事にした。

 ……

 刑事ドラマも見終わり、その後の、地元局の情報番組も続けて見る。
 夏のグルメ特集とかで、かき氷、冷やしうどんのお店が紹介されている。

「あ~、冷やしうどんでも良かったな」
「あっ、一昨日に、そうめんをやったばかりだったな…」

 スマートフォンを片手に、テレビを見ながら時間を潰す。
 普段ならこんな事はしないが、やはり私の家では無いから色々と勝手が悪い。

「さて……そろそろ準備するか!」
「あっ、でも…お父さんが帰ってくる時間、聞いていなかった!」

 メールに書いてないだろうな感じつつ、先ほどのメールのやり取りをスマートフォンで確認する。

(あ~、やはり『ありがとう!』だけだよな)
(たしか、車で30分以上の場所とか言っていたな。普通の企業の定時の時間と通勤時間を加えると…)

「てっ言うか私、お父さんの会社の時間なんか気にした事なんかないよ!」
「ん~~、メールで確認するか?」
「まぁでも、残業の連絡も来ていないから、19時を目安に作れば良いか?」

 別にメールをするのが面倒くさい訳ではない。
 仕事中とか車を運転中だとまず返信は来ないだろうし、その返信を待って行動するのも、私の中では無駄だと感じた。

「まあ、お父さんが帰ってきたら、完成まで後少しの状態にしておこう!」

 そう考え、私は台所に向かい、晩ご飯の準備を始める。

(え~と、まずは……ナスから切るか!)

 ナスが特売だったので、ナスを1袋買って、ナスで1品作る。
 ナスを食べやすい大きさに切って、それをチャック付きのポリ袋に入れて、そこに市販の浅漬けの素を適量入れる。
 軽く揉んで、後は冷蔵庫で寝かせておけば、ナスの浅漬けの完成!

(次は……味噌汁を作るか)

 普段、お父さんが味噌汁を作っている鍋を取り出して、お鍋に水を張ろうとするが……

(水、どれ位だろう?)
(お椀2杯分だと味噌汁の材料が余っちゃうし、全部の材料を使おうとすると結構な量が出来るな…)
(まあ、良いか! 余ったら、明日の朝の味噌汁にして貰おう!!)

 そう軽く考えて、材料分の水をお鍋に張る。
 出汁は……カツオ節と昆布を何て、お母さんはしてしないし、お父さんもしていないから、私も和風顆粒だしをスプーン1杯お鍋に入れて出汁を取る!?

 水と出汁の素が入った鍋をコンロに掛けて火を付ける。その間に味噌汁の具材を切る。
 冷蔵庫から、塩蔵わかめと油揚げを取り出して、油揚げは一口大に切る。
 わかめは適量をボールに入れて、水で塩を落として、2~3分水に浸しておく。
 2~3分経ったら、わかめをボールから取り出して、それも一口大に切る。
 お鍋のお湯が沸いてきたら、先ほどの油揚げとわかめを鍋に入れて、煮ると言っても直ぐに煮えるので、再び沸騰してきたら火を止める。

(たしか、味噌は直前の方が良いもんね!)

 漬物と汁物も大体完成の所、次はメインディッシュに手を付ける。
 冷蔵庫から少し大きいパックを取り出す。

『豚肉 ロース肉 生姜焼き用』

(本当は手間暇を掛けるべき何だが、私にはまだそんな技量は無い!)
(簡単、美味しく、疲労にも良い豚肉。これが今日のメインディッシュだ!!)

 お母さんが生姜焼きを作る時は、何故か市販の素を使わずに、自ら漬けだれを作る。
 私としては市販の素の方が楽だし、分量を守れば濃い・薄いも無い。

 今日は失敗が恐いから、市販の生姜焼きの素を使って、豚肉の生姜焼きを作る。
 ボトルに書いて有る説明通りだと、”からめ焼き”にするらしいが、それをするとタレを入れた時に、コンロ周辺に跳ねるので、私の場合は付け焼きにする。
 豚肉の入ったトレーに適量の生姜焼きのタレを入れて、豚肉とタレを馴染ませる。
 そして、その豚肉の入ったトレーをラップで軽く巻いて冷蔵庫で漬け込ませる。
 漬け込み時間とかはあまり気にした事がないけど、何時もは20~30分位は漬け込んでいる気がする。

(まあ、お父さんが帰ってくる時には良い感じになっているよね。それまでは少し休憩!)

 晩ご飯作りはスムーズに進んで、後は豚肉を焼いて、味噌を溶いて、ナスの浅漬けを器に盛れば完成で有る。
 他の人から見れば、簡単な料理に見えるかも知れないが、1人で作ると、これでも結構大変で有る。

(このメニューでも、普段なら5人分作らなければ成らないから、やはり大変だな…)

 私もお姉ちゃんも、一応真央も、毎日ご飯作りを手伝っている訳では無い。
 お母さんは文句言わずに作っているけど、ご飯作りの大変さが少し分かった気がした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

悪役令嬢に転生したので、人生楽しみます。

下菊みこと
恋愛
病弱だった主人公が健康な悪役令嬢に転生したお話。 小説家になろう様でも投稿しています。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

婚約者の様子がおかしいので尾行したら、隠し妻と子供がいました

Kouei
恋愛
婚約者の様子がおかしい… ご両親が事故で亡くなったばかりだと分かっているけれど…何かがおかしいわ。 忌明けを過ぎて…もう2か月近く会っていないし。 だから私は婚約者を尾行した。 するとそこで目にしたのは、婚約者そっくりの小さな男の子と美しい女性と一緒にいる彼の姿だった。 まさかっ 隠し妻と子供がいたなんて!!! ※誤字脱字報告ありがとうございます。 ※この作品は、他サイトにも投稿しています。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

処理中です...