単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
8 / 167

第7話 デート日和 その2

しおりを挟む
 映画館の館内……
 
「咲子、席はどの辺?」

「席ねぇ……もう私が買えた時は、良い所取られちゃって後ろの方……。だけど、真ん中は取れたから!」

「そうか。なら、この辺の席から探した方が早いな」

 俺と咲子はチケットに印字されている席番号を探す。

「あっ、お父さん。この列だよ!」

 直ぐに咲子が席を見つけそこに座る。
 上映開始まで、まだ時間が有るので館内は明るく、雑談する声もあちらこちらで聞こえて来る。

 だけど自分の心の中では『咲子が何か行動を起こすに違いない!』と身構えていたが実際何も起きず、その咲子はとコーラをすすりながら、スマートフォンを触っていた。
 俺は何も起きない事に安心し、自分も手持ちぶさただったので、スマートフォン取り出し、ネットニュースのまとめサイトを眺める。

 しばらくすると館内の照明が薄暗くなり、館内についての案内が始まる。それが終わると映画の予告編が始まりだした。
 定番の恋愛物や青春映画、アクション映画等、様々な予告編が流れている。
 特に興味を引かれる映画は無いまま予告編は終わり、遂に本編が始まる。

 ……
 …
 ・

 映画の内容としては、とてもジゼルらしい内容だ。
 起承転結の転から始まり、そして起に戻り、後は承転結を進んでいく……
 ジゼル特有の自然景色・恋愛場面もしっかり有り、この年になっても色々考えさせてくれる。

 映画の途中、途中。俺はポップコーンを取りながら、ついでに咲子の方を見るが、映画を真剣に見ているらしく、こちらには気付かない。だけど、ポップコーンとフライドポテトは、映画が進展するほど上手に減っていった。

 2時間という時間はあっと言う間に過ぎ、心が不思議な気持ちに為っていた時には、スタッフロールが流れ始めていた。
 エンディングも終わり、館内に照明が付き出すと急に現実に戻される。

「映画も久しぶり見ると良いな」

「やっぱり、お父さん。最後の方が良かったね!」

「ああ」
「何か、子どもの頃に戻った気分だよ!」

 俺は感動の余韻よいんに浸していると……

「お父さん。感動しているところ悪いけど、そろそろ行こうか!」
「私、お腹空いちゃった!」

「えっ、さっき食べたばかりなのに?」

「あれだけじゃ足りないよ! 育ち盛りだし!!」

 その言葉に反応して俺は咲子の体を見る。たしかにまだ育って欲しい体型だ。

「あの~、ジロジロ見ないでください…」

 視線に気づいたのか、咲子はジト目で見てくる。

「あぁ、ごめん、ごめん」

「えっと、じゃあ、お昼は何か食べたい物ある?」

 俺は何か言われる前に話題を元に戻す。

「ん~~、ここに何が有るか判らないし、行ってみないと分らないな~~」

「たしかにそうだな。じゃあ、フードコートに行くか!」

「うん!」

 お昼ご飯はフードコート内に入っているラーメン店に、咲子は興味を示し、そこで食べることに成った。
 そこでも咲子はラーメンとご飯物を注文し、そつなく完食する。

 その後はデザート代わりにクレープを食べて、のんびりとモール内を見て回る事にした。モール内はカジュアルファッションや雑貨店、ファンシーショップ等、様々な店が入っている。

「ここのモール、こんな風に成っていたんだ」
「知らなかったな~~」

「えっ、お父さん。ここ良く来るんじゃないの?」

「来ると言っても、メインは下のスーパーだからな。この階は今日が2回目位かも知れない」

「へぇ~。色々案内して貰おうかなと考えていたのに……」

 少し残念そうに答える咲子。

「まあ、気になる店が有ったら見て来てよ。父さんはあっちの広場にいるから」

 そう言って広場の方に行こうとすると、咲子に腕を掴まれる。

「ダ~メ。私と一緒に回るの!」
「じゃあ、あっちから行くね!!」

 有無言わない内に俺は腕を引っ張られる。

 ……

 何故か2人でモール内を巡る事になった。
 雑貨店では小物入れを見たり、ファンシーショップでは、ぬいぐるみを買わされたり、本当に色々巡った。
 気になる店を見つけると、直ぐ咲子は入って行くから、付いて行くのが大変である。流石にランジェリーコーナーには入らなかったが……
 モール内巡りも一段落して、俺と咲子はスナックコーナーで小休止を取る事にした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

悪役令嬢に転生したので、人生楽しみます。

下菊みこと
恋愛
病弱だった主人公が健康な悪役令嬢に転生したお話。 小説家になろう様でも投稿しています。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

婚約者の様子がおかしいので尾行したら、隠し妻と子供がいました

Kouei
恋愛
婚約者の様子がおかしい… ご両親が事故で亡くなったばかりだと分かっているけれど…何かがおかしいわ。 忌明けを過ぎて…もう2か月近く会っていないし。 だから私は婚約者を尾行した。 するとそこで目にしたのは、婚約者そっくりの小さな男の子と美しい女性と一緒にいる彼の姿だった。 まさかっ 隠し妻と子供がいたなんて!!! ※誤字脱字報告ありがとうございます。 ※この作品は、他サイトにも投稿しています。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

処理中です...