偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった！

【R-15】稀子編 第2章

第405話 稀子ツアー その2

　稀子との朝食後。
　俺は稀子と一緒に朝食の後片付けを済ませてから、稀子の地元案内で有る、稀子ツアーが開始される訳だが、ツアー内容は教えて貰っていない。

　だが、そんな大した内容では無いだろう。
　見所なんて無いに決まっているし、こんな辺鄙な場所に大規模観光地も無いだろう。

　多分……

　☆

「じゃあ、比叡君！♪」
「今から、ツアーを開始するね！！♪」

「うん…。案内を頼むよ。稀子！」

　稀子は笑顔で、俺に向けて言う。
　俺はそれを、澄ました表情で返事をする。
　俺と稀子は現在。稀子実家の玄関にいる。

「じゃあ、出発～～♪」
「私の後を、付いて来てね。比叡君♪」

　稀子は笑顔で俺に言った後。行動を開始する。
　稀子ツアーの始まりだ。

　稀子実家の玄関から出て、俺は稀子と横歩きで歩き始めるが、行き先はシークレットなので、俺は稀子の後を付いて行く事に成る。
　稀子は歩きながら、和やかな表情で俺に話し掛けてくる。

「比叡君！」
「最初はね。私の家の圃場ほじょうを案内するよ！」
「比叡君も、気に成っているでしょ？♪」

「圃場…？」
「あぁ、田んぼや畑の事ね！」

　俺は稀子からの言葉を、理解した表情で言う。
　自分まれこの家の圃場を、俺に見せてくれるらしい。

　稀子実家は専業農家でも有るし、おまけに地方で有るから、かなりの面積ほじょうを保有しているのだろう。

　……

　稀子実家から出て、徒歩で約5分位歩いた所で稀子は立ち止まる。
　其処は少し、丘のように成っている場所でも有った。
　稀子はその場所から圃場が有る方に、笑顔で指を差し向けながら話し始める。

「比叡君！」
「あの……道路右側の、手前に見える田んぼが、私の家のメイン圃場だよ♪」

「あれが……稀子実家の田んぼ？」
「専業農家だけ有って、凄く広いね…」

「……見た感じ…。米では無く、別の物を栽培しているよね…？」

　稀子実家の圃場だと思われる場所を、俺は澄ました表情で呟きながら見ているが……その田んぼには“稲”では無く、別の作物が作付けされている。
　稀子は得意げな表情で、俺に説明を始める。

「そう！」
「私の家は、お米では無く、大豆を栽培しているの！♪」

「大豆の方がお米より、高く買い取ってくれるからね！」
「これは、お父さんのアイディアなんだよ♪」

「へーー。稀子実家は米では無く、大豆を栽培しているんだ！」
「そう言えば、米余りが“どうのこうの”言っていたな…」

　俺は、穏やかな表情で稀子に返事をする。
　この国は、減反政策を推し進めている。

　だが、食糧自給率の問題から、米代わりの転換作物を作付けすれば、補助金がどうのこうをニュースで聞いた覚えが有る。
　稀子は表情を変えずに、俺に言葉を続ける。

「あそこは、お父さんが管理するメイン圃場だけど、他の場所にも有るんだよ。比叡君！」
「其処では、私達が食べるお米を栽培していたり、おばあちゃんがメインで有るけど、ナスを栽培しているのは、朝言ったよね！」

「後は、小さな畑が家の裏に有るんだけど、其処はお母さんがメインで有って、普段食べるお野菜を栽培している」

「……稀子の所は、結構手広くやっているんだね」
「それに、田んぼや畑ごとに担当者も決まっている」
「流石、専業農家だけ有るよ！」

　俺は納得した表情で稀子に言う。
　稀子実家のメイン圃場で有る。大豆圃場はかなりの面積が有って、これだけでも十分に生活が出来ると、思えるほどの圃場面積で有った。

「じゃあ次は、お米を栽培している圃場と、ナスの圃場を見せてあげるね！」
「比叡君！♪」

　稀子は笑顔で俺に言い終えると、体の向きを変えて歩き始める。
　稀子の感じからして稀子ツアーのメインは、稀子実家の圃場見学だと感じながら、俺は稀子の後を再び付いて行った……