偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】稀子編 第2章

第403話 稀子実家でもてなされる その3

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 幸村さんが、稀子祖母のコップへビールを注いでいる中。俺は栓抜きを拝借して、俺の元に置かれている瓶ビールの栓を抜く。

『カシュ』

「~~~♪」

 俺の予想通り…。俺の右横は稀子が笑顔で座っている。
 稀子と楓さんはビールでは無く、コップにはコーラが注がれていた。

 そのペットボトルは、楓さんの側に置かれて有る。
 稀子はまだ未成年だから酒は駄目で有るし、楓さんは……飲めないか飲ませて貰えないのだろうか?

 幸村さんが、稀子祖母に向けて注ぎ終わったタイミングで、俺はビール瓶を手に持って幸村さんに勧める。

「どうぞ!」
「幸村さん!!」

「おっ、流石比叡君だね!!」
「俺も、空気が読める人が好きだぞ!!♪」

 幸村さんは笑顔で俺に向けて言ってから、コップを俺の方へ差し出す。
 俺は少し緊張しながらでも、幸村さんのコップにビールを注いでいく……

「……うん!」
「注ぎ方も様に成っているな!!」
「……日頃の成果が出ているね!!♪」

 俺が綺麗にコップへ注いだビールを見て、幸村さんは表情をニヤつかせながら言う。
 お喋り稀子は、俺と山本さんとの晩酌事まで両親に話しているようだ!///

 幸村さんは、コップに入ったビールを右手で持って持ち上げ、穏やかな表情で俺達に向けて話し始める。

「稀子の親友及び、将来の候補で有る。青柳比叡君が遠路はるばる、この地まで来てくれた!」
「比叡君はこれからが正念場の筈だから、是非頑張って欲しい!」
「比叡君の将来と、娘の将来も願って乾杯~~!」

『乾杯~~』

 幸村さんの少し堅苦しい言葉の後。みんなで乾杯して、俺の歓迎会も兼ねた晩ご飯が始まる。
 みんなでの乾杯時。コップの鳴らし合いはしなかった。

(…さて、どれから食べようかな?)
(天ぷらも美味しそうだけど、天ぷらは案外。山本さんの家で比較的食べているから、先ずは刺身からいくか!)

 俺はビールを飲んだ後。大皿に盛られている、尾頭付き刺身の一切れを箸で掴み、それを“わさび”醤油で食べる。

「もぐ、もぐ、―――」
「うん。美味しい白身魚だ!」

「脂も乗っている割に、淡泊な味だ!!」
「きっと、初めて食べる刺身だな♪」

 俺は食べた刺身の感想を笑顔で呟いていると、同じように刺身を食べていた稀子が、笑顔で話し掛けてくる。

「美味しいでしょう~~。比叡君!」
「このお刺身……私達でも普段食べられない、上品なお刺身なんだよ!!」

「へぇ~~、そうなんだ。稀子!」

 俺は興味を見せた表情で稀子に話しつつ、もう一度、さっきの刺身を箸で掴みに行く。
 稀子は笑顔で言葉を続ける。

「比叡君。そのお刺身はね、岩魚いわなのお刺身なんだよ♪」
「お父さんがね……比叡君のために、特別に用意してくれたんだよ!♪」

(あっ、そうなんだ……)
(あんな嫌らしい質問を幸村はした割には、もてなす気は有ったんだ!)

 俺は稀子の言葉の後。幸村さんの方に向けてお礼を言う。

態々わざわざ、俺の為にありがとうございます!」
「幸村さん!!///」

「……別に礼は要らんよ。比叡君!」
「稀子は『あぁ』言ったが、この時期に岩魚の刺身をこの家では食べるんだよ…」
「比叡君の来訪とその日が、偶々重なっただけだ……」

 幸村さんは澄ました表情で俺に言うが、俺への“もてなし”も含まれている筈だろう。
 だが、言うまでも無く、稀子の帰省祝いも勿論入っているだろう。
 そうすると……やはり、俺はオマケか!?

(次は天ぷらだな!)

 楓さんが揚げた天ぷらもサクサクで美味しくて、野菜が中心で有るが“たくさん”種類が有る。
 炊き合わせも田舎らしさを感じる味で有り、田舎料理と言っては駄目だが俺は舌鼓を打つ。

 歓迎会中での会話は、どうしても稀子中心と成ってしまうが、楓さんも最初の意地悪の割には、フレンドリーに話し掛けてくれる!
 稀子の主成分は、楓さんで有ることは間違いないから、楓さんと話していく内に段々と打ち解けていく……

 幸村さんは山本さん同様で、少し話し掛けにくい人で有るが、俺の事を少しでも認めてくれたのだろうか?

 ……

 俺の歓迎会は、問題なく終わってお開きと成る。
 そして、その歓迎会で俺はかなり、幸村さんに飲まされた!///

 そのため、俺はそのまま客間に戻り、少し早い就寝と成る……
 だけど明日からの予定は、一体どう成っているんだろうな?
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