偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった！

【R-15】稀子編 第2章

第377話 第一関門…… その1

　……

　しばらく時が過ぎて……

　楽しいお正月から、今日と言う日が来るまでは、長い様で短い感じもした。
　今日はついに……保育士学科試験の日で有る。試験は2日に掛けて行われる。

　特に試験3日前から俺はアルバイト（長居鉄工所）も休んで、朝から夜中まで試験対策勉強に打ち込んだ。
　俺が戦力に成っていないのかどうかは分からないが、すんなりと休暇取れた！？

　その間は山本さん宅の客間を借りて、食事も全て山本さんのおばさん好意で用意して貰い、鈴音さんや稀子も、俺の勉強サポートをしてくれた。
　本当に試験3日前からは、至れり尽くせりの状態で俺は勉強出来た。
　今の状態なら、学科試験1発合格は本当に、夢では無いかも知れない……

　話は少し変わるが、鈴音さん稀子共に無事、付属大学へ進学出来た。
　稀子が以前言っていた通り、稀子は鈴音さんが学ぶ同じ学部へ進学した為、俺と児童福祉への道を共に歩む事は、これで完全に無く成った……

　これは分かり切っていた事だが、山本（孝明）さんからのサポートも十分に得られているし、稀子の通う大学学部に子ども関連の学部が無い事から、仕方ないと言えばそうだが、此処だけは稀子が本来敷いたレールから、稀子自らは離れた事に成る。
　稀子はそれだけ鈴音さんが好きなんだろうけど、その割には鈴音さんの悪口を良く言う？
　それだけまだ、稀子の心は、お子ちゃまの証拠なんだろうか？？

　……

　試験日初日の朝食は、鈴音さんと稀子共同の特製サンドイッチを食べる。
　サンドイッチは勿論カツサンドも有って、わざわざ朝から、稀子がトンカツを揚げてくれた！
　2人の愛情と友情の籠こもった、朝食をいただく……

　少しの食休みの後。俺は一度アパートに戻り試験会場に向かう準備をする。
　試験会場には此処（俺のアパート）から公共交通機関を使って、1時間ちょっとで行ける。

　準備を整え、忘れ物が無いことを確認してからアパートを出て、再び山本さんの家に戻り、リビングに入る。
　リビングには全員が揃っていて、俺を見た稀子が和やかな表情で声を掛けてきた。

「いよいよ、だね。比叡君♪」
「合格を目指して頑張って来てね♪♪」

「うん…。稀子の為に頑張ってくるよ！」

　俺も稀子に、和やかな表情で返事をする。

「絶対だよ！」
「チュッ…❤」

　稀子は笑顔で言い終えた後、俺の頬にキスをしてくれる！❤
　唇同士のキスは嫌がる稀子だが、ほっぺにチュウのキスは何時でもしてくれる！？

　俺のとっては唇だろうが、頬だろうがキスには変わりないが、稀子の場合はその基準点が違うそうだ？
　稀子との会話に一区切りが着いた所で、山本（孝明）さんが落ち着いた口調で声を掛けてくる。

「……比叡君！」
「僕からは特に言うつもりは無いが、稀子ちゃんだけを悲しませる事だけはしないように……その意味、理解出来るよな！」

　最後の文節だけは、低音口調で言う山本さん！？
　絶対に、一発合格しろの意味ですか！？？
　今の状態なら可能かも知れないが、絶対では無い……

「あっ、はい…。ベストを尽くします！」
「山本さん……」

　俺は改まった口調で山本さんに言う。

「なら、良い。頑張れよ……」

　山本さんが呟く口調で言い終えると、今度は鈴音さんが声を掛けてくる。

「比叡さん…。学科試験頑張ってください！///」
「今の比叡さんなら、きっと良い結果を残せると信じています！！」

　鈴音さんは微笑みながら言ってくれる。
　優しい天使の微笑みだ！！

　稀子の笑顔は“性”を求めてしまうが、鈴音さんの笑顔は不思議と心が洗われる……
　同じ女性の笑顔や微笑みなのに、どうしてこうも違うのだろうか？？

「嬉しい言葉、ありがとうございます。鈴音さん！//////」
「稀子の為にも頑張ってきます！！」

　俺が和やかな表情で鈴音さんに言い終えた後、この家本当の世帯主で有る、山本さんのおばさんまりえが声を掛けてくる。

「青柳さん……。この1年の間に、色々な事が本当に有りましたが、今日と言うを迎えました！」
「清く正しく、試験を行って来てください…」

（清く正しく？）
（不正はするなの意味？）

　おばさんは山本（孝明）さんと同じように、落ち着いた口調で言う。
　真面目は俺は不正なんかしない！！

「はい。真面目な態度で試験に挑んできます。おばさん…」

　出発間際。俺はみんなから、熱いメッセージや励ましの言葉を貰っていた。