偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
365 / 434
【R-15】稀子編 第2章

第363話 元日の朝食 その1

しおりを挟む
「では、お屠蘇とそを注ぎますね!」

 山本さんのおばさんまりえは穏やかな表情で言い、おばさんの近くに置いて有る土瓶を手に持って、各自に置いて有るお猪口ちょこにお屠蘇を注ぎ始める……
 山本さんの挨拶の後…、最初はみんなでお屠蘇を飲むそうだ。

 まだ、ご馳走に有り付くのは少し早かった!//////
 このお屠蘇はみりんで作ったお屠蘇だから、未成年で有る鈴音さん達が飲んでも問題は無い。

「これを飲むと、お正月だね~~♪」
「もう1杯貰おう~~♪」

 稀子は笑顔で、お屠蘇のお代わりをしている。
 自らの手で、土瓶からお猪口にお屠蘇を注いでいる。
 みりんに生薬しょうやくを入れて有るので、そんなに美味しくは無い筈だが……

(まぁ、稀子の事は置いておいて……やっぱり、最初はお雑煮からだな!!)

 お椀に盛られているお雑煮は、暖房が入っているとは言え、早く食べてしまないとお餅が堅く成ってしまう。
 山本さん一家と俺には徳利に入った日本酒。
 鈴音さんと稀子には、炭酸飲料が飲み物として置かれているが、俺はお雑煮から手に付ける。

(うん。良く伸びる餅だ~~!!)
(けんちん汁の様な、具だくさんお雑煮だし、やっぱり人様の家のお正月は良いね!!)

 もし俺が今日、この場(正月料理)に呼ばれていなかったら、俺の新年最初の食事は何時も通りのパン食で有ろう。
 お餅も気軽に買える時代では有るが、朝から料理をするのも面倒くさいし、それに1人空しくお雑煮なんか食べたくない!!

 一度に全部お雑煮食べるのは、もったいないので、一度お椀をテーブルに置いてから、お節料理の方に移ろうとすると……山本さんが徳利を手に持って、俺の方に近付けながら声を掛けてくる!

「比叡君!」
「めでたい正月だ。1杯行こう!!」

 山本さんは陽気な表情で、俺に酒を勧めてきた。
 俺の所にも徳利は置いて有るけど、積極的には飲もうとは思わなかった。
 だが勧められた以上、俺はお猪口を持って山本さんからの日本酒を貰い、それを飲み干す!

「ふぅ~~」

 お屠蘇を飲んで、お餅を一口付けただけで、お猪口の日本酒を1杯飲み干すのだから……お腹の真ん中付近が急に熱く成ってくる!!
 空きっ腹に、かんのついた日本酒は結構来る!!

「おぉ! 流石、比叡君!!」
「良い飲みっぷりだ~!!」

 笑顔で言う山本さんに俺は徳利を手に持って、山本さんの方に近付ける。
 山本さんが遣った行為を今度は俺がする……
 山本さんも俺と同じ様に、一気にお猪口を空けてから、陽気では無く真面目な表情で言い始める。

「……先ほども言った様に、比叡君にとっては勝負の年に成る筈だ!」
「学科と実技試験……1発合格を絶対にしろとは言わんが、出来れば……1回で成功してくれた方が、みんなが安心する…!」

「学科も実技試験も、年に2回しか機会が無いからな!!」
「大変なのは分かっているが……僕達だって、君の支援をかなりしているからな!」
「裏切る結果だけは……絶対止めてくれな!」

「後、比叡君の未来が見えると、こちらも今後の予定が立てられるからな!」
「大変だが頑張ってくれ、比叡君!!」

(新年早々……重い言葉を言う人だ!)
(2回目ですぞ……)

 俺は心の中で、そう感じ取ってしまう!?
 さっきと言い、せめて……、正月を明けてから言えと思ってしまう。

「あっ、はい……。希望に応えられます様に頑張ります!///」
「山本さん!!」

 俺は作り笑顔と元気な口調で、山本さんに言う。
 山本さんはその言葉を聞き終えると、鈴音さんの方に話し掛ける。
 俺は無言で自分の徳利を持って、日本酒をお猪口に注ぎながら考える……

(けど、山本さんの言う通り…。現役男性保育士が俺の為に、学科試験対策勉強を教えてくれたり、稀子や鈴音さんだって、俺の試験勉強の手伝いやサポートをしてくれている…)
(今の実力なら……学科も実技も、1発合格もかなり現実味を帯びて来るが、運命の悪戯も有るからな……)

 注ぎおえたお猪口に少し口付けて、俺は食べる事を再開させる。
 さて、何から食べようか!!

「比叡君!」

 俺がそう考えた矢先、稀子が笑顔で声を掛けてくる。
 一体何だろう?
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?

イコ
恋愛
貞操逆転世界に憧れる主人公が転生を果たしたが、自分の理想と現実の違いに思っていたのと違うと感じる話。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2024.8.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

大好きな背中

詩織
恋愛
4年付き合ってた彼氏に振られて、同僚に合コンに誘われた。 あまり合コンなんか参加したことないから何話したらいいのか… 同じように困ってる男性が1人いた

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

サクラブストーリー

桜庭かなめ
恋愛
 高校1年生の速水大輝には、桜井文香という同い年の幼馴染の女の子がいる。美人でクールなので、高校では人気のある生徒だ。幼稚園のときからよく遊んだり、お互いの家に泊まったりする仲。大輝は小学生のときからずっと文香に好意を抱いている。  しかし、中学2年生のときに友人からかわれた際に放った言葉で文香を傷つけ、彼女とは疎遠になってしまう。高校生になった今、挨拶したり、軽く話したりするようになったが、かつてのような関係には戻れていなかった。  桜も咲く1年生の修了式の日、大輝は文香が親の転勤を理由に、翌日に自分の家に引っ越してくることを知る。そのことに驚く大輝だが、同居をきっかけに文香と仲直りし、恋人として付き合えるように頑張ろうと決意する。大好物を作ってくれたり、バイトから帰るとおかえりと言ってくれたりと、同居生活を送る中で文香との距離を少しずつ縮めていく。甘くて温かな春の同居&学園青春ラブストーリー。  ※特別編7-球技大会と夏休みの始まり編-が完結しました!(2024.5.30)  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

処理中です...