偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】稀子編 第2章

第356話 夜食を食べる その2

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「なぁ、稀子…」
「山本さんの家で、インスタントラーメン類が出て来ないのは、言うまでも無いが鈴音さんが絡んでいる?」

 俺は稀子が麺をすすり終えたタイミングを狙って、稀子に質問をする。

「えっ、りんちゃん?」
「…鈴ちゃんも勿論絡んでいるけど、山本(孝明)さんやおばさんが、余り好きじゃ無いのだよね…!///」

 稀子は困った笑顔で言う。

「……鈴音さんだけで無く、山本さん一家が駄目なのか…!」
「変わった家だなとは言えんか……」

「うん、そう!」
「おばさんは本当に食べないし、山本さんも好んでは食べない!!」

「鈴ちゃんにいたっては『体に悪い食べ物を、食べる気にはなれません……』と、滅茶苦茶悲しそうな表情で言うんだよ!!」
「けど、山本さんが作る、鉄板焼きそばだけは満面な笑顔で、美味しそうに食べるんだよ!?」
「焼きそばも……体に良いとは、言い切れないのに変だよね。比叡君!!」

(相変わらず…、鈴音さんの部分に差し掛かると、トーンが跳ね上がるな稀子は!)
(それに、どれだけお嬢様なんだ鈴音さん…。インスタント食品の全てが悪い訳では無いのに……)

(クリームシチューを作る時でも、鈴音さんは市販のルーは使わないな!?)
(カレーも態々わざわざ、カレー粉から炒めて作っている!)
(料理に対する姿勢は素晴らしいけど、俺だったら……もう少し手を抜けと鈴音さんに言いそうだな!)

「成る程!」
「3対1では、山本さんの家でインスタントラーメンが食卓に上がることはまず無いね!」

「そう、そう、そう言う事!」
「昼食を個人個人で摂る時は、私の分だけを作って食べている感じ!!」
「5回に1回位は、山本さんが求めてくる時が有るけど、鈴ちゃんは本当に全く無い!!」

 稀子は少し強めの口調で言い終えた後、箸で麺をすくって再びラーメンを食べ始める。
 俺もこれ以上質問しても意味が無いと感じた為、ラーメンを食べることに意識を向ける。

 ……

 お互い、スープを完全に飲み干してラーメンを食べ終える。
 本当は塩分の関係上、スープは残した方が良いに決まっているが、スープに溶き卵を入れてにしてしまったので、残すのはもったいない!

「ふぅ!」
「お腹いっぱい♪」

 稀子は満足そうな笑顔で言う。
 俺もお腹がいっぱいだし今更だが、少し食べ過ぎたなと思っている。

「ねぇ、稀子!」
「レンゲも家に有るのに、どうして用意しなかったの?」
「洗い物を少しでも減らす為?」

 食べ終わってから聞くのも変だが、稀子がレンゲを用意しなかった理由を聞いてみる。
 レンゲは、箸やスプーン等と纏めて置いて有るので、忘れようが無いからだ!!
 俺が稀子に質問をすると、稀子は笑顔のままで返答をしてくる。

「そんなの、決まってるじゃん。比叡君!♪」
「レンゲですするより、丼鉢から直にすする方が美味しいからだよ~~♪」
「お外で食べる時ならレンゲを使うけど、おうちで食べるなら丼鉢から直だよ~~♪」

(洗い物を減らす為では無く、直飲みが美味しいからの理由か!)
(言われてみれば……そんな気がするな!!)

 熱いスープをレンゲでワンテンポ冷ましてから飲むのも有りだが、丼鉢の端に息を『フー、フー』吹きかけて、熱いスープを飲む方が美味しい感じがする。
 上品を言えばレンゲだが、ラーメンを食べている雰囲気を楽しむなら、丼鉢からの直飲みが良いのかも知れない?

「そう言った理由か!」
「何だか、分かる気がする!!」

 俺は納得しながら言うと、稀子は微笑みながら言う。

「まぁ、私としては、そう思っているだけ!!」
「でも、これがラーメンなら、レンゲが有った方が良いけどね♪」

「あんかけラーメンの場合は、確かにレンゲが有った方が良いな!」
「初めの内はあんで火傷しそうだし、それにスープも飲みにくいからな。稀子!」

「だね、比叡君♪」

 ……

 この後は、稀子と袋ラーメン絡みの談笑を少し楽しんだ。
 稀子が一番好きな袋ラーメンは塩豚骨味や、一番好きなトッピング等を話し合った。

 しばらくの談笑の後、2人で後片付けをして再び座布団に座る。
 稀子がテレビを付けて見始める中、俺は今の時刻を壁時計で確認する。

(今の時刻が……22時50分か)

 時間的にそろそろ、稀子を山本さんの家に戻した方が良いだろうが、勉強も頑張って、夜食でラーメンを食べて、お腹が満足すれば、今度は本能の方も満足させたい!?
 稀子は今、澄ました表情でバラエティー番組を見ているが、俺の中では少しでも良いから、稀子とたわむれたかった…//////
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