偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
358 / 434
【R-15】稀子編 第2章

第356話 夜食を食べる その2

しおりを挟む
「なぁ、稀子…」
「山本さんの家で、インスタントラーメン類が出て来ないのは、言うまでも無いが鈴音さんが絡んでいる?」

 俺は稀子が麺をすすり終えたタイミングを狙って、稀子に質問をする。

「えっ、りんちゃん?」
「…鈴ちゃんも勿論絡んでいるけど、山本(孝明)さんやおばさんが、余り好きじゃ無いのだよね…!///」

 稀子は困った笑顔で言う。

「……鈴音さんだけで無く、山本さん一家が駄目なのか…!」
「変わった家だなとは言えんか……」

「うん、そう!」
「おばさんは本当に食べないし、山本さんも好んでは食べない!!」

「鈴ちゃんにいたっては『体に悪い食べ物を、食べる気にはなれません……』と、滅茶苦茶悲しそうな表情で言うんだよ!!」
「けど、山本さんが作る、鉄板焼きそばだけは満面な笑顔で、美味しそうに食べるんだよ!?」
「焼きそばも……体に良いとは、言い切れないのに変だよね。比叡君!!」

(相変わらず…、鈴音さんの部分に差し掛かると、トーンが跳ね上がるな稀子は!)
(それに、どれだけお嬢様なんだ鈴音さん…。インスタント食品の全てが悪い訳では無いのに……)

(クリームシチューを作る時でも、鈴音さんは市販のルーは使わないな!?)
(カレーも態々わざわざ、カレー粉から炒めて作っている!)
(料理に対する姿勢は素晴らしいけど、俺だったら……もう少し手を抜けと鈴音さんに言いそうだな!)

「成る程!」
「3対1では、山本さんの家でインスタントラーメンが食卓に上がることはまず無いね!」

「そう、そう、そう言う事!」
「昼食を個人個人で摂る時は、私の分だけを作って食べている感じ!!」
「5回に1回位は、山本さんが求めてくる時が有るけど、鈴ちゃんは本当に全く無い!!」

 稀子は少し強めの口調で言い終えた後、箸で麺をすくって再びラーメンを食べ始める。
 俺もこれ以上質問しても意味が無いと感じた為、ラーメンを食べることに意識を向ける。

 ……

 お互い、スープを完全に飲み干してラーメンを食べ終える。
 本当は塩分の関係上、スープは残した方が良いに決まっているが、スープに溶き卵を入れてにしてしまったので、残すのはもったいない!

「ふぅ!」
「お腹いっぱい♪」

 稀子は満足そうな笑顔で言う。
 俺もお腹がいっぱいだし今更だが、少し食べ過ぎたなと思っている。

「ねぇ、稀子!」
「レンゲも家に有るのに、どうして用意しなかったの?」
「洗い物を少しでも減らす為?」

 食べ終わってから聞くのも変だが、稀子がレンゲを用意しなかった理由を聞いてみる。
 レンゲは、箸やスプーン等と纏めて置いて有るので、忘れようが無いからだ!!
 俺が稀子に質問をすると、稀子は笑顔のままで返答をしてくる。

「そんなの、決まってるじゃん。比叡君!♪」
「レンゲですするより、丼鉢から直にすする方が美味しいからだよ~~♪」
「お外で食べる時ならレンゲを使うけど、おうちで食べるなら丼鉢から直だよ~~♪」

(洗い物を減らす為では無く、直飲みが美味しいからの理由か!)
(言われてみれば……そんな気がするな!!)

 熱いスープをレンゲでワンテンポ冷ましてから飲むのも有りだが、丼鉢の端に息を『フー、フー』吹きかけて、熱いスープを飲む方が美味しい感じがする。
 上品を言えばレンゲだが、ラーメンを食べている雰囲気を楽しむなら、丼鉢からの直飲みが良いのかも知れない?

「そう言った理由か!」
「何だか、分かる気がする!!」

 俺は納得しながら言うと、稀子は微笑みながら言う。

「まぁ、私としては、そう思っているだけ!!」
「でも、これがラーメンなら、レンゲが有った方が良いけどね♪」

「あんかけラーメンの場合は、確かにレンゲが有った方が良いな!」
「初めの内はあんで火傷しそうだし、それにスープも飲みにくいからな。稀子!」

「だね、比叡君♪」

 ……

 この後は、稀子と袋ラーメン絡みの談笑を少し楽しんだ。
 稀子が一番好きな袋ラーメンは塩豚骨味や、一番好きなトッピング等を話し合った。

 しばらくの談笑の後、2人で後片付けをして再び座布団に座る。
 稀子がテレビを付けて見始める中、俺は今の時刻を壁時計で確認する。

(今の時刻が……22時50分か)

 時間的にそろそろ、稀子を山本さんの家に戻した方が良いだろうが、勉強も頑張って、夜食でラーメンを食べて、お腹が満足すれば、今度は本能の方も満足させたい!?
 稀子は今、澄ました表情でバラエティー番組を見ているが、俺の中では少しでも良いから、稀子とたわむれたかった…//////
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?

イコ
恋愛
貞操逆転世界に憧れる主人公が転生を果たしたが、自分の理想と現実の違いに思っていたのと違うと感じる話。

朝起きたら同じ部屋にいた婚約者が見知らぬ女と抱き合いながら寝ていました。……これは一体どういうことですか!?

四季
恋愛
朝起きたら同じ部屋にいた婚約者が見知らぬ女と抱き合いながら寝ていました。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【完結】双子の伯爵令嬢とその許婚たちの物語

ひかり芽衣
恋愛
伯爵令嬢のリリカとキャサリンは二卵性双生児。生まれつき病弱でどんどん母似の美女へ成長するキャサリンを母は溺愛し、そんな母に父は何も言えない……。そんな家庭で育った父似のリリカは、とにかく自分に自信がない。幼い頃からの許婚である伯爵家長男ウィリアムが心の支えだ。しかしある日、ウィリアムに許婚の話をなかったことにして欲しいと言われ…… リリカとキャサリン、ウィリアム、キャサリンの許婚である公爵家次男のスターリン……彼らの物語を一緒に見守って下さると嬉しいです。 ⭐︎2023.4.24完結⭐︎ ※2024.2.8~追加・修正作業のため、2話以降を一旦非公開にしていました。  →2024.3.4再投稿。大幅に追加&修正をしたので、もしよければ読んでみて下さい(^^)

大好きな背中

詩織
恋愛
4年付き合ってた彼氏に振られて、同僚に合コンに誘われた。 あまり合コンなんか参加したことないから何話したらいいのか… 同じように困ってる男性が1人いた

【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。

112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。  ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。  ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。 ※完結しました。ありがとうございました。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2024.8.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...