偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】稀子編 第2章

第353話 夜食を探す?

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 山本さんのおばさんまりえは、鈴音さんや稀子のように洋食を作ることは少なく、和食を中心に作る。本当に和食を好んで作る。
 和食でもカツ丼とかの“どっしり”来る物なら良いが、今日は煮魚が中心のメニューで有った……
 その為、今晩は腹八分目の状態で終っており、普段はこれで良いのだが、今晩はお互い勉強や監督を頑張った影響で、食べ物を求め始めていた……

(直ぐに食べられる物は菓子パンが有るけど、アレは俺の朝食用だし1つしか無い)
(それを半分こしても良いが、それだけでは物足りないな……)

 俺はそう思いながら、押し入れから台所の方に体の向きを変えて台所に向かうと、稀子も座布団から立ち上がり、台所にやってくる。

「何が有ったけ……」

 俺はそう言いながら、冷蔵庫を開ける。
 晩ご飯は山本さんの家でお世話に成っているし、普段の昼食はアルバイト先の企業向け仕出し弁当を食べているから、この家で自炊をする事は本当に少ない。

「……物の見事に、何も無いな…」

 冷蔵庫の中は生卵が入ったパック。3連のカップヨーグルトが1組。ほぐし鮭の瓶詰めが目立つ位置に有るが、後は焼き海苔や調味料ばかりで有った。
 稀子も同じように、俺が開けた冷蔵庫の中を見ていた。

「うぁ~~。冷蔵庫。本当に空っぽだね~~!」
「私が比叡君に初めて出会った時。比叡君の家にお邪魔して、その時も冷蔵庫を見たけど、その時よりも更に少ないね~~!!」

 稀子は少し驚きながら言う……。良く覚えているな!
 俺が稀子に声を掛けて、稀子の意思で、俺の以前住んで居たアパートにほぼ勝手に来て、晩ご飯をごちそうした時の事を……

「今は……山本さんの所で、食事の世話に成って居るからな!」
「だから、積極的な食材の買い置きはしていないのだよ。稀子…」

 俺は稀子に申し訳なさそうに言うと、稀子は澄ました表情で聞いてくる。

「けど……、生卵は有るか!!」
「比叡君。冷凍庫に、ご飯の冷凍した物とかは有る?」

 稀子の頭の中で、卵かけご飯でも思い付いたのだろうが最近、米を炊いた覚えも無いし、冷凍ご飯も全て俺が食べてしまったはずだ。
 俺は有る訳無いだろうなと思いつつ、冷凍庫の扉を開ける。

「……残念ながら、ご飯は無いね…。稀子///」

 俺は残念そうに、稀子に言う
 冷凍庫の中は冷蔵庫以上に酷くて、冷凍して有る刻みネギと、夏の時期に買った箱入りのアイス。後は冷凍庫の製氷機能で作った氷ぐらいで有った。

「…………」

 稀子は俺と同じ様に冷凍庫の中を見ているが、本当に大きく口を開けて無言で見ていたと言うか呆れていた!!

(これは困ったな…)
(今から、稀子とコンビニでも行くか、それとも山本さんの家に行って食べ物を分けて貰うか……)

 俺や稀子も、食べ物を食べるモードに入っているので、今更『やっぱり無し』には出来ない。
 稀子も、俺の家に食べ物が無い事で、とても残念な表情をしている。

(けど、卵は幾つか有るし、それに冷凍して有る刻みネギを入れて、ネギ入りの玉子焼きでも作るか!)
(でも、そう成ると……炭水化物系統が欲しくなるよな)
(生米は幸いにも有るが、今から炊く位ならコンビニに行った方が早い!?)

 俺はどうしようかなと思いながら、シンクの上部に有る戸棚の方に目を向けると、有る物が有る事に思いだした!!

「あっ!? 良いのが有った!!」

 俺は、そう弾んだ声を出しながら、シンクの上部に有る戸棚を開く。
 その言葉で稀子は『?』の表情をしている。

「うん! すっかり忘れていた!!」
「特売で買った袋ラーメン味噌味(インスタント麺)!!」

 俺は戸棚の中から、5食入り袋ラーメンを取り出しながら、稀子に弾んだ声で声を掛ける。

「稀子!」
「インスタントラーメンで良ければ、有るぞ!!」

「…おっ!?」
「ラーメンが有るんだ。比叡君!!」

 袋ラーメンを見て、笑顔を取り戻す稀子!

「これを、特売で買った事をすっかりと忘れていたよ!」
「最近はピアノの練習や、稀子達がお昼を持ってこっちに来てくれたり、俺が山本さんの家に行ったりしていたから、この子の存在が記憶の隅に追いやれていたよ!」

「そうだね~~♪」
「最近の週末は、何かと動いているもんね♪」

 袋ラーメンを見ながら、嬉しそうに言う稀子?
 稀子は、この系統の食品が好きなのだろうか??

「比叡君!」
「それで夜食を作ろう♪」

 稀子の笑顔の表情と言葉で、食べる夜食が決まった!
 そして、その夜食作りが始まろうとしていた。
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