偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】稀子編 第2章

第350話 雨のち晴れ

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「比叡君!!」
「比叡君は山本さんやおばさん。りんちゃんに一杯助けて貰っているのだよ!!」
「だから、これ以上は迷惑は掛けられないの!!」

 稀子は何故か、怒った表情と口調で言う!?
 何で、普通のお茶会からこんな事態に発展したの!?

(これは、どう答えろと言うのだよ……)
(俺が稀子の実家が有る町に移り住んで、その地域に有る学童保育所で、学童保育の仕事に就けと言うのか?)

(稀子がそうしろと言うなら、そうするが……田舎暮らしもな~~)
(ちらっと稀子から聞いたが、かなり辺鄙な場所に有るらしいからな///)

 俺は稀子が好きだし、ずっと山本一家や鈴音さんからの支援を貰える訳が無い!
 俺の今、考えている将来や道筋に、軌道修正が必要と成りそうで有った……

(別にこの波津音市はずねしでも無く、稀子の希望を叶えても良いが、大問題が有るのだよな……)

 市町村採用に依る、正規職員採用を目指した場合、今の最短スケジュールで保育士資格が取得出来ても、俺がその職業(学童保育)に就けるのは、最短で2年以上先だ!!

 非正規雇用や中途採用で働くなら別だが、そんなに都合良く求人が有る訳では無いし、この手の職業は簡単に決まる者でも無い。
 波津音市だったら、規模の大きい町だから中途採用も出て来るだろうが、稀子の町で更に稀子が住んでいる地区で、中途採用なんてそもそも存在するのか!?
 その辺を山本さん達は、きちんと考えているのか!?

「なぁ、稀子……」
「稀子が企業等に採用される行程プロセスを、何処まで理解出来ているかは分からんが、保育士の資格が取得出来たからと言っても、直ぐに働く事は難しいのだよ……」

「新規(新卒)採用は年に1回しか無いし、中途採用も都合良く出て来る訳では無い!」
「中途採用は本当に時の運だ!!」
「特に市町村が運営している、公設公営学童保育所の場合、公務員試験を受けるのとほぼ変わらないスケジュールだ!」

「俺だって、大好きな稀子の希望を叶えたいが、それを叶えるにはかなりの時間と労力が掛かるのだよ……」
「稀子はその辺りを理解しているか……?」

 俺は説明をする様に稀子に言う。
 けど、稀子からは意外な言葉が返ってきた!?

「……そんなの知っているよ。比叡君!」
「私だって、来年は卒園(卒業)する年齢だし!!」

「私さぁ『今直ぐ行こう!』の意味では言っていないよ!!」
「このはずねしで、学度保育さんの仕事に就くより、私の町で学童保育さんの仕事に就いてと言っただけ!!」
「何、早とちりしているの!?」

 稀子はムキに成って、言い返してきた!
 まるで、子ども同士の喧嘩だ。俺の精神年齢は稀子と同レベルか!?

「……!」

 その様子を見ていた鈴音さんが、流石に不味いと感じたのか、俺と稀子の間に入る様に口を挟み込んできた!

「まぁ、まぁ、お二人さん…///」
「少し、落ち着きましょう!//////」

 鈴音さんは俺と稀子になだめる様に言う。
 事の原因は鈴音さんの癖に……
 けど、鈴音さんは稀子に声を掛けるのでは無く、俺の方に顔を向けて、少し微笑みながら話し始める!?

「比叡さん!」
「先ほどの言葉ですが…、私の言葉で修正を加えます!!」

「孝明さんはその様に考えていますが、比叡さんが稀子さんの地域で、学童保育の仕事に就けるまでの間は、私はサポートを続けたいと考えています!!」
「恐らく……孝明さんは不平を言うでしょうが、私とお母様まりえで説得させます!!」
「ですので、安心してください。比叡さん♪」

 最後はにっこりと笑顔に成る、鈴音さん……
 この人は自分蒔いた種を生長させてしまったが、最後はしっかりと刈り取った。

「えっと……鈴音さん。それは嬉しいのですが、本当に稀子の地域での就職を考えたら、まだ2年以上は鈴音さん達に迷惑を掛けますよ!//////」

 俺は内心は嬉しいが、表面上は焦りながらの口調で言う。
 鈴音さんがまだ、これだけの支援をしてくれる(予定)なら、稀子の希望も叶えられるかも知れないし、俺も気持ちを落ち着かせて行動が出来るからだ。

「そんなの、今に始まった事では有りませんわ♪」
「此処まで来ましたら、無事に保育士資格を取得して、稀子さんの希望を叶えて上げてください!!」

 笑いながら笑顔で言う鈴音さん!
 この人は俺の事を気遣うけど、俺の事より稀子の事を、一番大事にしている感じがした……
 俺と鈴音さんとの仲は修復出来たが……今度は稀子の方だ!
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