偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】稀子編 第2章

第340話 稀子先生は手厳しい!? その1

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「稀子!」
「出来たよ!!」

 スマートフォンで調べたイラストを参考にして、俺が描き上げた保育園児、男子のイラスト。
 始めにしては、まずまずの出来だと俺の中では感じていた。

「本当に……それで、良いの…?」
「比叡君……」

 けど、稀子は表情を険しくさせ、再確認を求める口調で聞いた来た!?
 稀子のお題通りに、描き上げたつもりだが??

「これで良いだろ…。稀子!」
「指定通りの物を描き上げたぞ!!」

 俺は別におかしくないと感じて、稀子に少し強めの口調で言う。

「……じゃあ、採点しますか…」

 稀子は目を瞑った困った表情に成り、俺のイラストの採点を始める!?
 今更だが、合否の基準なんて有るの!?

「……」

 稀子は画用紙を両手に持って、それを持ち上げて、真面目な表情で俺のイラストを“しげしげ”見ている……

(何か、緊張するな……)

 1分位、俺のイラストを無言で眺めていた稀子だが、静かにテーブルに画用紙を置く。

「えっと、比叡君……」
「素直に言うよ……」

 何時もの稀子らしくない、ためらった表情をする稀子!?
 俺はちゃんと参考通りに描いたぞ!!

「……私は確かに、保育園児の男の子を描いてと言いました」
「そして、比叡君は保育園児の男の子を描きました」
「でも、これでは不合格です……」

 稀子は残念そうな表情と口調で言う!?
 そんな馬鹿な!!!

「……稀子。幾ら何でもそれは無いだろう!」
「俺は稀子のお題通り描き上げたぞ!!」

 俺は思わず“カッ”と成ってしまい、稀子に食い掛かるが、稀子は落ち着いた口調で言い始める。

「うん……。比叡君が描いたイラストは間違っては居ないけど、これでは只のお絵かきだよ!」
「私は、保育園児の男の子を描いてと言ったけど、お絵かきをしてとは言っていない……」

「??」
「稀子の言っている意味が分からないのだが……」

「はぁ~~」

 俺は苛立ちを押さえながら、冷静な口調で稀子に言うが、稀子はここでため息をついた!?
 ため息の後……稀子は呆れた口調で言い始めた!!

「じゃあ……ダメな点を言うね」
「背景が無いよ……」

「背景!?」

 俺は顔をしかめながら言う。

「子どものお絵かきならこれで良いけど、このイラストだけでは何も伝わっては来ないよ……」
「比叡君がスマートフォンで調べているから、背景の事も理解しているかなと思ったけど、理解はしていなかったようだね……」
「これでは……採点以前の問題だよ!」

 稀子は、残念そうな寂しそうな表情で言う!!
 それなら『最初からそう言え!』と言いたいが、よくよく考えると……背景の無いイラストは何を伝えたいかが分からないし、何故、男の子が微笑んでいるのかも理解はしにくい。

「……」

 俺はそれに気付くと無言に成ってしまう。

「比叡君……」
「複雑な背景を描かなくても、この場合だったら、男の子の周りにオレンジ色でこうやって塗ってあげれば、男の子の表現力がアップするでしょ!」

 稀子はそう言いながら、実演してくれる。
 確かに殺風景な背景から、温かみを感じる保育園児、男子のイラストに変わった……

「まぁ……こう言うこと!」
「私の言い方が悪かった部分も有るけど、まさか言われた通りの絵を出してきた時は、私も心の中でびっくりしたよ……」
「比叡君は何を……スマートフォンで調べていたのかなと…」

 稀子は目を瞑って残念そうに言う。
 一般的な社会は、言われた通りにやるのが常識だが、今回のイラストはそれだけでは駄目だった……
 絵を教えてくれる、稀子先生は想像以上に厳しい先生だった!?
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