偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】稀子編 第2章

第332話 彼女を見直す

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 ……

 ショッピングモール、2階フロアも巡り終わったが、1階の時と同じ様に、俺と稀子は何も買わずに巡り終ってしまう。
 稀子にプレゼント(!?)する、ランドセルも今日は買わないと言うか、持ち合わせも無いし、仮に今日プレゼントしても、俺にとっては蛇の生殺し状態だ……

 今の稀子は絶対に背負わないからだ。
 その間に誰も背負っていない、新品のランドセルが不思議と汚れるかも知れない!?

「残るは、後1階だね♪」
「比叡君!」

 笑顔で言う稀子。
 ちなみに映画館の連絡通路が有るのは、この2階で有る。

「時間的に結構、潰せているな……」

 今の時刻は14時を過ぎた時間。
 先ほどのランドセル売り場で、かなりの時間を潰せた!?

「じゃあ、3階に行こう♪」

 稀子は陽気な声で言い、エスカレーター乗り場に向かう。
 手ぶらなので、足取りも軽い。
 俺もそれに付いて行った……

 ショッピングモール3階……

 この階は家電製品や贈答物。本屋さんやゲームセンター等が入っている階だ。
 稀子と2人で、各売り場を巡り始める。

 俺は家電製品売り場で、オーブントースターに目が付く。
 俺の今の部屋には単機能電子レンジは有るが、オーブントースター類は無い。
 普段の朝食は菓子パンだから、オーブントースターは必要ないが、これが食パンに成るとオーブントースターが有った方が便利に成る。

 都合良く、オーブントースターが何台か展示されているので、俺はオーブントースターを見始めると、稀子がやはり声を掛けて来た。

「比叡君?」
「オーブントースター買うの?」

 稀子は澄ました表情で聞いてくる。

「うーん」
「今日買うつもりは無いけど、いずれは欲しいかなと……」

「まぁ、有れば便利だからね。オーブントースターは!!」
「市販品のグラタンやピザも簡単に焼けるしね♪」
「これからは冬に入るから、熱いピザトーストも美味しいよ♪」

 稀子は穏やか表情と、ピザトーストを食べたくなる言葉も言う!
 ピザトーストは、電子レンジでは流石に作れない……

 一部のピザは電子レンジでも対応してるが、やはり、オーブントースターで焼いた方が旨い。
 山本さんの家には、オーブン機能が付いた電子レンジとオーブントースターの両方が置かれている。

「けど……安いやつは、作りが“いまいち”だな」

『お買い得品!』の札が貼られているオーブントースターは、安いと言えば安いが、その分機能も、上下ヒーター切り替えのみや、アナログタイマーしか付いていないし、中の作りも高級感を全く感じない……

「単純な使い方をすれば、問題は無いのだけどな……」

 俺は独り言を言いながら、他のオーブントースターを見る。
 稀子はそれに口を挟む事無く、無言で後を付いてくる。
 感じ的に、家電製品に余り興味は無いのだろう。

「……デザインは目に引かれるが、値段がな……」
「大手家電メーカーだから、仕方ないとしても高すぎるよ…」

 俺が今見ている、オーブントースターは大手家電メーカー製で有る。
 デザインやデジタルタイマー、余分な機能もしっかり付いているが、値段はお買い得品の2.5倍する!!
 見栄を張りたければ、これを買う選択肢も出て来るが、俺は見栄を張る必要は無い。

りんちゃんなら、好きそうなデザインだね♪」

 今まで、無言で見ていた稀子だが、此処でようやく発言する。

「鈴音さんなら、気に入るかもね…」

「だね。比叡君!」
「鈴ちゃんは機能性より、見かけを重視している部分も有るから!!」

 弾んだ声で言う稀子。
 そうなの……初めて知った!?

「けど…、私はこのオーブントースターは要らないな!」
「お値段もするし、もし買うなら、私はさっきのお買い得品かな!!」
「オーブントースター何て、ぶっちゃけ、パンやピザが焼ければ良いんだよ!!」

 そう、和やかな表情で言う稀子。
 稀子はデザインや機能性より、とにかく使えれば良い派か……

(このまま、稀子と関係が続けば同棲の話も出て来るし、そうすると家電製品の更新も必要に成るかも知れない)

 今、俺の住んで居るアパートに有る、家電製品は1~2人向けの家電製品ばかりだ。
 冷蔵庫も小さいし、洗濯機もそう大きくは無い。
 あのアパートで稀子と同棲を始めるのか、別の部屋で同棲をするかは未知数だが、今の家電製品を更新したら、かなりのお金が必要に成る。

(稀子は意外にしっかり者なんだな…)
(俺の要求も受け入れてくれるし、倹約家の一面も感じる)
(見かけはお子ちゃまだけど、俺は案外良い人と出会えたんだな……)

 俺の中で、稀子の存在を再確認するばかりの日で有った。
 鈴音さんより、稀子をもっと意識しないとな……
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