偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】稀子編 第2章

第326話 昼食後の時間

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 ……

 稀子と昼食を一応楽しんだ後は、いよいよ本格的なデートに成って行くのだが……

「稀子。昼食の後は何処に行く?」

 俺はプランを全く決めてないので、稀子に話を振る。

「そうだね~~。比叡君!」
「映画館も有るし、映画でも見る?」

 稀子は和やかな笑顔で、映画を提案した。

「映画か…。悪くはないけど、稀子は何か見たい映画有る?」

「えっ! 私に振る!?」
「比叡君は希望の映画が無いの!」
「……そっか~~。私も今は無いんだよな~~」

 稀子は驚くように言い、その後は気が抜けた感じで言う。

(稀子はドラマ好きだから、見たいのが1本や2本は有ると思っていたが無いのか!)
(これは困ったな…。時間潰しの1つを失った!)

「お互い見たい映画が無いのに、お金を態々わざわざ払って見るのもね~~」

 稀子は独り言のように呟いている。

「どうしようかね! 比叡君!!」

 稀子は俺に聞いてくるが、俺に聞かれても、こっちが稀子に聞きたい状態だ。
 目的も無しに、このショッピングモールに来てしまったら、やっぱりと言うべきか途方に暮れる。

「このまま帰る訳には行けないし、モール内をブラつく。稀子?」

「……ウィンドウショッピングをするって事?」
「比叡君?」

 稀子は澄まし顔で聞いてくる。
 それに対し、俺は諦め口調で答える。

「……それしか無いだろ。稀子」
「今から……別の所に行く?」

 今の時刻は13時前だが、稀子デートは夕方までだから、今から他の場所に向かっても中途半端に成ってしまう。

「お互い……お金が裕福では無いからね…!」
「なら、ウィンドウショッピングを楽しむか……」

 稀子は残念そう言っているが、嫌々の感情も含まれていた!
 ショッピングモールを提案したのは稀子なのに。
 そして、俺は有る疑問を思いつく……

(稀子は、山本さんや鈴音さん達の様に親戚関係では無く、赤の他人に成るのだよな)
(下宿代は別にして、お小遣いとはどうしているのだ?)

「稀子は学生…。俺は、非正規雇用だからな!」
「……1つ気に成ったのだが、稀子。お小遣いや日用品等はどうしているのだ?」

「んっ…、お小遣い?」
「お小遣いは、ちゃんと両親から貰っているよ!」
「毎月では無いけど、数ヶ月に1度、現金書留で山本さんの家に郵送される!」
「そのお金で、比叡君やりんちゃん達と遊んだり、文具や日用品を買っているよ!」

 稀子は穏やか表情で答えてくれる。

「銀行振り込みでは無く、現金書留って言うのが、下宿らしさを協調させるね!」

 俺は声を弾ませながら言う。

「そうなの、比叡君?」
「まぁ、私はまだ、私自身の通帳は持って無いからね」
「私の学園は、原則アルバイト禁止だし!」

「えっ、そうなの。稀子!?」

 俺は少し驚きながら言う。
 けど、稀子はそれに反応せず、穏やか表情で話を続ける。

「うん。そうだよ!」
「アルバイトを、どうしてもしないと行けない時は、学園からの許可制なの!」
「でも、私の親友でアルバイトをしている子は居ないし、学年内でも数人だね」
「それも自発的では無く、親からの、社会勉強名目でやらされている子達ばかり!」

 稀子はそう言った。

(よく考えたら……鈴音さんはお嬢様だし、山本さんの所も個人商店だが、確実な安定的収入を得られている)
(鈴音さんが通う学園だから、位の高い学園に成ってくるに決まっている!)
(あれ……そうすると、稀子の実家も凄く裕福なのか!)

「俺、今まで聞いてなかったけど、稀子の家はどんな家なの?」
「普通のサラリーマン?」

 稀子実家の事が気に成ったので、俺は聞いてみる。

「あ~~、比叡君にはまだ言ってなかったね♪」
「この場だから言っておこう。私の家は農家さんだよ♪」

 陽気な声で言う稀子。
 だから、こんな天真爛漫なのか!?

「へぇ~~、稀子の実家は農家か!」
「だから、―――」

 俺は更に詳細を聞こうとすると、稀子が割り込む感じで話し始める。

「まぁ、比叡君!」
「その話は置いておいて、ウィンドウショッピング巡りを始めようよ!」
「その辺の話は今度、ゆっくり話をしようだし、比叡君が私との将来を意識してくれるなら、もっと深い話も必要に成ってくるから♪」

 将来の事を、滅茶苦茶笑顔で言う稀子!?
 稀子の中では、俺との結婚まで決意を固めているのか!!
 そして、まさかと思うが……俺に農業をやれとでも言うのか!?

 稀子が何故、俺に此処まで執着するのかに、感づいてしまった気がした。
 けど、保育士に成れなくても、別の永久就職先が見つかったと思えば良いか!
 の訳無いか…。俺の中ではまだ、農業を意識する状態では無かった。
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