偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】稀子編 第2章

第319話 稀子の心情……

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 ……

 稀子の心情……

 私はりんちゃん達とテレビドラマを見ている。
 鈴ちゃんは私ほどドラマに興味が無いけど、山本さんがドラマを見ている為、一緒に過ごしている。
 おばさんも、その姿を見て微笑ましそうに日本茶を飲んでいた。

 私がさっき、比叡君に言った事は全部嘘だ!
 山本さんはリビングに盗聴器なんて仕掛けてないし、ピアノの練習を急遽中止にさせたのは、私が山本さんに相談したからだ。
 告げ口では無く相談で有る。

 鈴ちゃんが本当に大好きな山本さんは、怒りを爆発させかけたが、私が上手になだめた。

 ……

『稀子ちゃんが比叡君をかばいたい気持ちも分かるが、奴は少し調子乗りすぎだ!!』
『鈴音にも一言言わないと行けないし、これ以上ピアノ練習をさせる訳には行かないな』

『本当は比叡をぶん殴ってやりたいが、それをすると事が大きくなる』
『意気地の無い比叡が警察を呼ぶ事は無いと思うが、俺の腕(職人)に傷が付いてしまう』
『ピアノの没収で、仕返しをするしか無いな……』

 ……

 そう言った経緯で、ピアノの練習は終わりを行き成り告げた。
 私も少しは罪悪感を感じるけど、悪いのは比叡君だ!

 私が側に居るのに、比叡君は鈴ちゃんと仲良くして許せなかった!!
 疑い深い比叡君を上手く誤魔化せたし、比叡君も盗聴器の事をわざわざ山本さんに聞きには行かないだろう。

 比叡君も山本さんの恐ろしさは、保育士養成学校が不合格に成った時に、十分身に浸みている。
 きっと、比叡君は納得を出来てないが、無理矢理納得させていると思う。

 私も私ながら、比叡君の性格を知っている。
 私の取った行動は間違ってなかった。

 比叡君と鈴ちゃんの距離を離したし、山本さんも今後、比叡君と鈴ちゃんの警戒を強めると言っていた。
 比叡君は鈴ちゃんではなく、私を見ていれば良い。
 私だって、比叡君をお助け出来るのだから!!

 でも、比叡君とのHはまだしたくないな……
 私はまだ学園生だし、鈴ちゃんも山本さんとHはしていない。
 比叡君は隙あらばで求めて来るけど、上手に煙に巻いている。
 それに山本さんの言葉をチラつかせると、小心者の比叡君は直ぐ萎縮する。

 Hに関しては、最低でも卒園以降だ……
 学園内の女子も何人かは、大人の階段を上ったそうだが、赤ちゃんが出来て大騒ぎに成った子も居る。

 私は両親と離れて住んで居るから、もし比叡君との赤ちゃんが、今出来てしまったら、私のお父さんの事だ。比叡君を全力でぶん殴るだろう!
 お母さんもそれを止めないはずだ。

 お父さんやお母さんの性格上、赤ちゃんを堕ろす事は無いと思うけど、比叡君は私の家に軟禁されるだろうな。
 そう成ったら、保育士さんどころでは無い。
 一生お父さんの元でこき使われるのかな?

「ふぅ~~」

 私は思わず、ため息を出してしまう。
 それを鈴ちゃんが気付く。

「稀子さん…。比叡さんの事で悩んでいるのですか?」

 鈴ちゃんは察しの良い子だ。

「うん…。あんな結果に成って残念だなと……」

「……そうですね」

 鈴ちゃんも私の知らない所で、かなり山本さんに言われたのだろう。
 比叡君を擁護する発言はしなかった。

「馬鹿が調子に乗りすぎたのだよ……」

 山本さんは吐き捨てるように言うが、今晩に限っては“おばさん”もそれを注意しない!?

「稀子ちゃん…。彼奴はまだ人生を舐めている!」
「しっかりと手綱は握っておけよ!!」
「なんか有ったら遠慮無く言ってくれ。きちんと制裁を加えるから!!」

「あっ、うん。ありがとう、山本さん!///」

 山本さんは頼りに成る人だ。
 比叡君以上に……

 私は山本さんを諦めて、比叡君を選んだ。
 比叡君にあれだけの事を言ったのに比叡君は私に謝り、恋人関係が終わらずに済んだ。

 私は比叡君が好きだし、出来れば比叡君の夢を叶えて上げたい。
 私はそう思いながら、テレビドラマに意識を向け始めた。
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