偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】稀子編 第2章

第311話 鈴音さんとピアノレッスン その1

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「では、比叡さん。最初は、鍵盤の位置を覚えましょう!」
「電子ピアノの場所に来てください!!」

 鈴音さんは俺にそう言いながら、電子ピアノの場所に向かい、鈴音さんは自分で用意した置いたキッチンの椅子に座る。
 俺は、電子ピアノと一緒に付いてきた椅子に座る。
 稀子も当然付いて来るが、稀子は椅子を特に持ってこようとはせずに、立ったままで有る。

「では、比叡さん!」
「良く、見ていてくださいね!!」
「ここが、“ド”の位置です!!」

 鈴音さんは、電子ピアノ真ん中付近の鍵盤を指で押す。

「♪~」

 すると電子ピアノ、ドの音が鳴る。

「ここが、ドですか!」
「鈴音さん!!」

「はい。そうです、比叡さん。ここが“ド”です!」
「比叡さんも、押して見てください!!」

 俺は鈴音さんが押した場所を押す。

(たしか、此処だったよな?)

「♪~」

「はい、比叡さん。良く出来ました♪」
「では、その位置から右の方に鍵盤を押して行ってください!」
「レミファソラシドと、音色が変わっていきます♪」

 鈴音さんに言われた通り、俺はドの場所から右方向へ、鍵盤を弾いていく。

「♪、♪、―――」

「はい、はい、良いですよ~~♪」
「比叡さん!!」
「上手ですね~~~♪」

 鈴音さんは嬉しそうに言う。
 鈴音さんの教え方は、子どもに教えている様な感じもするが、ちっとも不満にも感じないし、それに褒められて嫌な顔をする人も居ない。
 俺も自然と、笑みがこぼれてしまう!!

「そっ、そうですか///」
「鈴音さん/!/////」

「……」

 俺と鈴音さんの真横で、ピアノレッスンを無言で見ている稀子だが、表情は不服そうだった!

「では今から、鍵盤位置の説明をしますね♪」
「良く、聞いてくださいね。比叡さん!」
「左端から―――」

 鈴音さんは、電子ピアノ鍵盤位置の説明をしてくれる。
 鍵盤はドレミファソラシ、ドレミファソラシと続いて居て、この法則さえ理解出来れば、どの位置にドが有るのかが、一目瞭然で分かる様に成る。

「何となくで良いですから、分かりましたか。比叡さん?」
「追々、ピアノを弾いていく内に身体が覚えますので、今日はおぼろげで大丈夫ですよ!」

「はい…。鍵盤の法則は理解出来ました」
「鈴音さん!」

「では、今度は音符の読み方ですね!」

 すると、鈴音さんは古びた音符の書かれたイラストを、前もって準備して置いた段ボール箱から取り出す。
 これは多分、鈴音さんが幼少の頃に使っていたのだろう。

「比叡さん!」
「音符はこの様に成っていまして、―――」

 鈴音さんはイラスト見せながら、丁寧に説明してくれる。
 本当に、ピアノ教室に来ている感じがする!

「……」

 稀子は鈴音さんの話に、興味を見せる素振りは無く、相変わらずのご不満顔のまんまだ。
 俺が鈴音さんで“デレデレ”しているから、稀子が不満なのは分かるが、側で見ている稀子が悪い!!

「音符はこんな感じです♪」
「理解出来ましたか。比叡さん!」

「はっ、はい」
「えっと…、1本目の線にぶら下がっている音が“レ”で、1本目の線につきささっている音が“ミ”で良いんですね…!」

「はい。その通りです♪」
「良く、理解出来ていますね~~♪」

 鈴音さんは嬉しそうに言う。

「あっ、ありがとうございます!」
「鈴音さん♪///」

『ピクッ!』

「…………」

(稀子は無言のままで、表情が一瞬険しく成った気がするが、気の所為か…?)

「では、比叡さん!」
「保育士実技試験で行われている、課題曲練習に行きましょうか!」
「去年の実技試験で実際に行われた、課題曲を私の方で準備してきました!!」
「これは電子ピアノですので、練習もしやすいと思いますよ!!」

 そう言い終えると鈴音さんは、ポケットからUSBメモリを取り出した!
 そのメモリの中に、過去の実技試験で行われた曲が入っているのだろうか?
 世の中、便利な時代だ。
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