偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】稀子編 第2章

第308話 鈴音さんが先生になる日!?

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 夏も過ぎて、秋のある日……
 俺は今日もアルバイトを終えて、晩ご飯の手伝いと晩ご飯を頂く為に山本さんの家に向かう。
 玄関から山本さんの家に入り、リビングに向かう途中の廊下で、偶然良く2階から降りてきた稀子に出会う。

「あっ、比叡君だ!」
「こんにちは♪」

「こんにちは。稀子!」

「……今日の食事当番は鈴音さん?」

 この時間帯で稀子と廊下で出くわすと言う事は、今晩の食事担当は稀子では無いからだ。

「違うよ。比叡君!」
「今日は、おばさんの日!」

「あ~~、山本さんのおばさんの日か!」

 この家の料理は交代制で作っており、ローテーションで回している。
 以前はそのローテーションに、週末だけだが俺も組み込まれていた。
 俺が通信講座で、保育士資格取得の勉強を本格的にする様に成ってからは、稀子か鈴音さんに依頼される時だけに成った。

 俺は元々料理が得意とは言い切れないし、レパートリーも少ない。
 だけど、稀子が月1回位は『比叡君の手料理食べたい!』と言って来るので、月1回は料理を作っている。

「稀子。そうすると鈴音さんが、山本さんおばさんの手伝いしているよね?」

「そう、そう!」
「だから、私は今まで部屋に居た!!」
「たくさん人が居ても邪魔だし!」

 稀子と鈴音さんの部屋は、この家の2階に有る。
 1回だけ稀子の部屋に入れて貰えたことは有るが、それ以降は無い。

 稀子はまだ学園生だし、性行為に関して稀子は望む所か拒否の状態で有る。
 更に、この家でやましい事もしにくい。(山本母・孝明が居るから)

「じゃあ、時間まではリビングで寛がせて貰うか!」

「だね。比叡君!」
「一緒にテレビでも見よう!!」

 俺と稀子は一緒にリビングに入り、晩ご飯の時間まではテレビを見た。
 やっぱり『私の部屋においでよ!』と、言わない稀子で有った……

 晩ご飯の時間……

 山本(孝明)さんも揃ったので、食事前の挨拶をしてから、みんなで晩ご飯を食べている。
 保育士資格取得の勉強を始めた当時は、晩ご飯時の飲酒を自粛していたが、山本さんから『適度な息抜きは必要だ!』と言われてからは、再び飲む様に成った。

 但し、俺はビール大瓶から中瓶に成った。(山本さんは従来通り)
 稀子や特に鈴音さんが『大瓶だと勉強に差し支えますので……』からの理由で有る。
 大瓶1本全部飲んでしまうと、やる気なんて無く成るからだ。(本人談)

 一瞬良い人だなと感じたが、これには訳が有って、俺がビール(瓶ビール)を飲まないと、山本さんにビールを注ぐ人が居ないからだ。
 最初の1杯だけは、お互いのコップにビールを注ぐと言う、山本謎ルールが有る!

 鈴音さんと山本さんは恋人関係だが、鈴音さんが今まで山本さんのコップにビールを注いだ事は無いし、山本さんも強要をさせたことも無い?
 山本さんが俺の事を、会社の部下の目線で見ているのか、それても手下で見ているのかどちらなんだろうか?
 言うまでも無く、山本さんと俺は対等の関係では無い。

 晩ご飯も中盤に差し掛かった時、山本さんが俺に向けて話し始める。

「……比叡君!」
「季節も秋に入り、勉強の方も大分順調だろう?」

「えっ?」
「あっ、はい…。まぁ、順調です」

 保育士資格取得に向けての、筆記試験対策は順調と言えば順調だが、やはり覚えることが非常に多い。

(順調だから、この家の手伝いをもっとしろと言うのかな…?)

 山本さん次の言葉に備えて、俺は身構えると……

「丁度……、芸術の秋だと言うし…、鈴音とも相談したのだが、この家でピアノ練習をする気は無いかね。比叡君…?」

「えっ!?」
「ピアノですか!!」
「この家に、ピアノが有るのですか!!」

 俺はピアノの言葉で驚いてしまう!
 保育士実技試験の中に『音楽に関する技術』と言うのが有って、ピアノやギターを使っての伴奏が有るからだ。

「はは、驚くのも無理は無いな!」
「これは少し、比叡君には秘密にしていたからな!!」

 お酒が入っている影響か、普段よりも上機嫌の山本さん。
 山本さんが俺の為に、一肌脱いでくれるのだろうか。

「実はな、比叡君!」
「知人から、ピアノを少しだが借りる事が出来そうでな、そのピアノをこのリビングに置こうと考えているんだ」
「その理由は言うまでも無いな。比叡君……」

(やっぱり、山本さんは俺の為に動いてくれたんだ……)
(怒らすととんでもない人だが、普段は男気が有る人だ!)

「だが……ピアノが有っても先生と言うか、指導者がいなければ意味が無い!」
「比叡君自身がピアノを弾けるなら、此処には居ない筈だからな…」

(そりゃあ、そうだ…)
(ピアノが弾ける技術が有ったら、俺は保育士養成学校に合格しているだろう)

「流石に外部から、指導者を頼む事は出来なかったが……鈴音が君の為に協力してくれるそうだ!」

「えぇぇ!!」

 俺は先程より驚いてしまう!!
 鈴音さんが、ピアノを弾けるなんて知らなかったからだ。

「まぁ、もっと、驚くだろうな!!」
「比叡君は知らないから……」

 そう言う山本さん。
 俺の周りに居る人達は本当に凄い人ばかりだ……
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