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【R-15】稀子編 第2章
第307話 公園で朗読練習中
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「はい。比叡君!!」
「よく冷えているよ♪」
稀子は紙コップに入った麦茶を俺に渡してくれる。
「ありがとう。稀子!」
「どういたしまして♪」
俺は稀子にお礼を言った後、紙コップに入った麦茶を一気に飲み干す。
冷たい麦茶が、渇き掛けた喉を一気に潤してくれる!
「良い飲みっぷりだね~~」
「はい。注いで上げる~~♪」
俺がお代わりと言う前に、稀子はボトルを持ってスタンバイしてくれる。
稀子も鈴音さんと同じ様に気が利く彼女なんだが、時々子どもじみた事をする。
この子供っぽさが良いと感じる時も有れば、悪いと感じてしまう時が有る。
不思議な物だ……
麦茶を飲んで一息ついた所で、俺はスマートフォンで時刻を確認する。
(11時12分か……)
時間的にまだ十分練習は出来るが、日差しの下に居るので午前中でも暑さを感じる。
俺も稀子も帽子を被ってきたが、それでもこの時期の日差しは厳しい……
稀子も少し汗を流しながら麦茶を飲んでいた。
「なぁ、稀子……」
「大分日差しが厳しく成ってきたし、ここら辺で終わらないか…」
屋外だけど緊張せずに朗読出来たし、それに俺が朗読の為に買った絵本は先ほどの3冊しか無い。
もう1回同じのを朗読したいとは感じなかったし、出来れば早く家に帰って、涼しいクーラーに当たりたい気分で有った。
「駄目だよ、比叡君!!」
「折角練習に来たのだから、最後までやる!!」
稀子も顔に汗を掻いているが、俺の朗読をまだ続けさせたい感じだ。
「けど、稀子…」
「絵本はこの3冊しか無いし、この暑さでもう1回朗読する気は起きないよ……」
俺が稀子に向けてそう言うと、稀子は『えへへ』の表情をしながら、学園リュックから絵本を数冊取り出した!!
「比叡君には黙っていたけど、市立図書館から絵本を借りてきたんだよ♪」
「新しい物語も読まないとね!♪」
(こう言う事だけは、本当に用意が良いな)
(それだけ、俺の事を応援してくれているのか……)
「じゃあ、暑い中だけど、稀子。もう少し付き合ってくれる?」
「良いよ。良いよ。私も比叡君を応援しているから!!」
お茶休憩の後、俺は再び絵本の朗読を始めた。
この後読んだ絵本は、かちかち山とおやゆび姫だった。
かちかち山を朗読している時、本当に日差しが厳しくて、かちかち山の見せ場の時に稀子が『比叡君! 本当にタヌキさん、かちかち山だね♪』と褒めてくれた!?
それだけ、今日の日差しは厳しい。
絵本に汗の雫を落とさない様に、俺は朗読を続けた……
……
2冊の朗読を終えた時、2人共汗で“だらだら”だった。
「ふぅ……今日は暑いね…」
「比叡君、残念だけど此処までにしようか!」
稀子はハンカチで頬を拭きながら言う。
俺も暑さの限界に近づいていた。
「だね…。稀子」
「これ以上、ここで朗読すると熱中症に成りそうだよ…」
スマートフォンで時刻を確認したら、11時47分。
少し早いが、今日の公園朗読会は終了だ。
何人の人達が俺達の前を素通りしたが、声を掛けられることは無かった。
これが、小学生男子グループが居たら、絶対に声を掛けに来ている。
「よし、家に帰ろう。比叡君!!」
「今日のお昼はね、鈴ちゃんが冷やし中華作って待っていてくれているよ!」
「比叡君の分も私からお願いして置いたから、冷やし中華食べに行こう♪」
「良いね~~。冷やし中華!!」
「今日みたいな日には“ぴったり”だよ!!」
俺と稀子は素早く後片付けをして、鈴音さん達が住んで居る山本さんの家に戻った。
俺が普段、山本さんの家で食事を摂るのは晩ご飯だけだが、昼食の用意は稀子が気を利かしてくれた!
こんな感じで初回、公園による絵本朗読は終わった……
☆
この後、何回か、稀子や時には鈴音さんも含めて公園での朗読を行ったが、特に緊張すること無く朗読が出来た。
俺の手持ちの絵本は3冊だが、公園で朗読をする時は稀子が気を利かして、図書館から絵本を借りて来てくれるので、それも有り難かった。
俺は市立図書館のカードを作ってないからだ。
朗読が問題なく出来れば、今度はいよいよ実技試験の科目に有る素話に成る。
だが、俺が本当に朗読を出来て居るかを知るには、子ども達の前で朗読しないと分からない。
山本さんにその場のセッティングをお願いしてみたが、前回の所は“やんわり”と断れたらしい。
山本さんからの話だが、想像以上に子ども達からの評判が悪かったそうだ……
今は他の場所を当たってくれているらしいが、夏休みが終わった為、しばらくは駄目そうだと言われた。
それに実技試験は素話だけでは無いし、その前に筆記試験に合格出来なければ、実技試験を受ける資格すら生まれない。
俺の中では、朗読(素話)に関しては一旦区切りを付けて、他の方に着手するべきかなと感じていた……
「よく冷えているよ♪」
稀子は紙コップに入った麦茶を俺に渡してくれる。
「ありがとう。稀子!」
「どういたしまして♪」
俺は稀子にお礼を言った後、紙コップに入った麦茶を一気に飲み干す。
冷たい麦茶が、渇き掛けた喉を一気に潤してくれる!
「良い飲みっぷりだね~~」
「はい。注いで上げる~~♪」
俺がお代わりと言う前に、稀子はボトルを持ってスタンバイしてくれる。
稀子も鈴音さんと同じ様に気が利く彼女なんだが、時々子どもじみた事をする。
この子供っぽさが良いと感じる時も有れば、悪いと感じてしまう時が有る。
不思議な物だ……
麦茶を飲んで一息ついた所で、俺はスマートフォンで時刻を確認する。
(11時12分か……)
時間的にまだ十分練習は出来るが、日差しの下に居るので午前中でも暑さを感じる。
俺も稀子も帽子を被ってきたが、それでもこの時期の日差しは厳しい……
稀子も少し汗を流しながら麦茶を飲んでいた。
「なぁ、稀子……」
「大分日差しが厳しく成ってきたし、ここら辺で終わらないか…」
屋外だけど緊張せずに朗読出来たし、それに俺が朗読の為に買った絵本は先ほどの3冊しか無い。
もう1回同じのを朗読したいとは感じなかったし、出来れば早く家に帰って、涼しいクーラーに当たりたい気分で有った。
「駄目だよ、比叡君!!」
「折角練習に来たのだから、最後までやる!!」
稀子も顔に汗を掻いているが、俺の朗読をまだ続けさせたい感じだ。
「けど、稀子…」
「絵本はこの3冊しか無いし、この暑さでもう1回朗読する気は起きないよ……」
俺が稀子に向けてそう言うと、稀子は『えへへ』の表情をしながら、学園リュックから絵本を数冊取り出した!!
「比叡君には黙っていたけど、市立図書館から絵本を借りてきたんだよ♪」
「新しい物語も読まないとね!♪」
(こう言う事だけは、本当に用意が良いな)
(それだけ、俺の事を応援してくれているのか……)
「じゃあ、暑い中だけど、稀子。もう少し付き合ってくれる?」
「良いよ。良いよ。私も比叡君を応援しているから!!」
お茶休憩の後、俺は再び絵本の朗読を始めた。
この後読んだ絵本は、かちかち山とおやゆび姫だった。
かちかち山を朗読している時、本当に日差しが厳しくて、かちかち山の見せ場の時に稀子が『比叡君! 本当にタヌキさん、かちかち山だね♪』と褒めてくれた!?
それだけ、今日の日差しは厳しい。
絵本に汗の雫を落とさない様に、俺は朗読を続けた……
……
2冊の朗読を終えた時、2人共汗で“だらだら”だった。
「ふぅ……今日は暑いね…」
「比叡君、残念だけど此処までにしようか!」
稀子はハンカチで頬を拭きながら言う。
俺も暑さの限界に近づいていた。
「だね…。稀子」
「これ以上、ここで朗読すると熱中症に成りそうだよ…」
スマートフォンで時刻を確認したら、11時47分。
少し早いが、今日の公園朗読会は終了だ。
何人の人達が俺達の前を素通りしたが、声を掛けられることは無かった。
これが、小学生男子グループが居たら、絶対に声を掛けに来ている。
「よし、家に帰ろう。比叡君!!」
「今日のお昼はね、鈴ちゃんが冷やし中華作って待っていてくれているよ!」
「比叡君の分も私からお願いして置いたから、冷やし中華食べに行こう♪」
「良いね~~。冷やし中華!!」
「今日みたいな日には“ぴったり”だよ!!」
俺と稀子は素早く後片付けをして、鈴音さん達が住んで居る山本さんの家に戻った。
俺が普段、山本さんの家で食事を摂るのは晩ご飯だけだが、昼食の用意は稀子が気を利かしてくれた!
こんな感じで初回、公園による絵本朗読は終わった……
☆
この後、何回か、稀子や時には鈴音さんも含めて公園での朗読を行ったが、特に緊張すること無く朗読が出来た。
俺の手持ちの絵本は3冊だが、公園で朗読をする時は稀子が気を利かして、図書館から絵本を借りて来てくれるので、それも有り難かった。
俺は市立図書館のカードを作ってないからだ。
朗読が問題なく出来れば、今度はいよいよ実技試験の科目に有る素話に成る。
だが、俺が本当に朗読を出来て居るかを知るには、子ども達の前で朗読しないと分からない。
山本さんにその場のセッティングをお願いしてみたが、前回の所は“やんわり”と断れたらしい。
山本さんからの話だが、想像以上に子ども達からの評判が悪かったそうだ……
今は他の場所を当たってくれているらしいが、夏休みが終わった為、しばらくは駄目そうだと言われた。
それに実技試験は素話だけでは無いし、その前に筆記試験に合格出来なければ、実技試験を受ける資格すら生まれない。
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