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【R-15】稀子編 第2章
第304話 朗読デビュー その2
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「みっ、皆さん……初めまして///」
「青柳比叡と言います……今日は、よっ、よろしくお願いします//////」
「はい。みなさん、拍手♪」
『パチ、パチ、パチ……』
俺の挨拶の後、大丸(先生)さんが、子ども達に拍手の指示を出したが……それは余り歓迎されてない拍手で有った。
おまけに……
「比叡君てっさ……子ども達の前なのに、あんな堅苦しい挨拶しているよ…」
「私だったら『こんにちは~~。“めるこ”と言います~~。今日は絵本の読み聞かせに来ました~~。よろしくね♪』位言うけどな……」
「めっ、稀子さん…。比叡さんに聞こえてしまいますよ//////」
「稀子さんの言っている事は、間違っては居ませんが……」
広間と言っても十数畳の広間だから、普通の会話でも筒抜けだ!?
「では、青柳先生。絵本の朗読をお願いします」
「はっ、はい……」
(う~~、さっきの稀子の言葉で余計緊張してしまったし、それに凄く恥ずかしいよ///)
(女子はまだ良いけど、男子何か如何にも『詰まんね~~時間……』の顔をしているし!)
「えっと、では…、今日は“さるかに合戦”を読みます」
『……さるかに合戦だとよ!』
『もっと、しゃれたの持って来いよ!!』
『センスな…』
“さるかに合戦”が不服なのか、子ども達はブーイングを始める。
ここは人魚姫にしておけば良かったか!?
「はい、はい。みんな静かに!!」
「そんな状態では、青柳先生が本を読めないでしょ!」
大丸先生はブーイングを治めようとする
「だって、大丸先生!」
「さるかに合戦何て、とうに読み飽きたもん!!」
「拓也君、そういう事言わない!」
「青柳先生だって一生懸命練習して来たのだから、聞いて上げて!」
「ちぇ~~」
拓也君と言う子は、不満そうに返事をする。
「すいません、青柳先生……」
大丸先生は、俺の方に向けて頭を下げる。
「いっ、いえ、大丈夫です……」
「では……朗読を始めます」
「むかし、むかし、カキの種を拾った―――」
……
「うるさい、これでもくらえ。―――」
……
(物語も中盤に入ったのに、誰も真剣に聞いていない!?)
(真面に聞いているのは低学年の男女だけだ!!)
(高学年に至っては隣同士で話をしたり、1人遊びをしたりしていて話を全く聞いていない!!)
(同じ話でも、稀子や鈴音さんは相づちをしてくれて、面白そうに聞いてくれたのに!!)
稀子達の反応と、子ども達の反応が全く真逆で有って、俺は心の中で焦っていた!
……
「いたい、いたい、たすけて~~」
「―――」
俺は感情を入り交えて、一生懸命“さるかに合戦”を朗読するが、子ども達からの強い眼差しは殆ど感じない…。俺は朗読を詩ながら稀子達の表情を伺うと……
「ん~~」
「……あの時聞いた時と何か違うよね、鈴ちゃん……」
「はい……」
「比叡さんきっと、緊張しているのだと思われます…」
「現実は厳しいな……」
稀子、鈴音さん、山本さんがそれぞれ言っている。
「比叡君の読み方…。何か感情が籠もっていないのだよね。棒読みと言うか……」
「まぁ、今日が初日ですし、稀子さん//////」
「これじゃあ、私が読んだ方がマシだな……比叡君には悪いけど」
「私の方が、みんな振り向くと思うよ!!」
そんな会話が微かに、俺の耳に入って来ている気がする!?
「―――」
「めでたし、めでたし、……」
『パチ……、パチ……』
俺が読み終わると、如何にも嫌々な拍手が広間に響き渡る。
他の指導員さん達も苦笑いの表情をしていた……
俺の朗読デビューは、完全に失敗に終わった様だ……
やっぱり、現実世界は厳しいな……
「青柳比叡と言います……今日は、よっ、よろしくお願いします//////」
「はい。みなさん、拍手♪」
『パチ、パチ、パチ……』
俺の挨拶の後、大丸(先生)さんが、子ども達に拍手の指示を出したが……それは余り歓迎されてない拍手で有った。
おまけに……
「比叡君てっさ……子ども達の前なのに、あんな堅苦しい挨拶しているよ…」
「私だったら『こんにちは~~。“めるこ”と言います~~。今日は絵本の読み聞かせに来ました~~。よろしくね♪』位言うけどな……」
「めっ、稀子さん…。比叡さんに聞こえてしまいますよ//////」
「稀子さんの言っている事は、間違っては居ませんが……」
広間と言っても十数畳の広間だから、普通の会話でも筒抜けだ!?
「では、青柳先生。絵本の朗読をお願いします」
「はっ、はい……」
(う~~、さっきの稀子の言葉で余計緊張してしまったし、それに凄く恥ずかしいよ///)
(女子はまだ良いけど、男子何か如何にも『詰まんね~~時間……』の顔をしているし!)
「えっと、では…、今日は“さるかに合戦”を読みます」
『……さるかに合戦だとよ!』
『もっと、しゃれたの持って来いよ!!』
『センスな…』
“さるかに合戦”が不服なのか、子ども達はブーイングを始める。
ここは人魚姫にしておけば良かったか!?
「はい、はい。みんな静かに!!」
「そんな状態では、青柳先生が本を読めないでしょ!」
大丸先生はブーイングを治めようとする
「だって、大丸先生!」
「さるかに合戦何て、とうに読み飽きたもん!!」
「拓也君、そういう事言わない!」
「青柳先生だって一生懸命練習して来たのだから、聞いて上げて!」
「ちぇ~~」
拓也君と言う子は、不満そうに返事をする。
「すいません、青柳先生……」
大丸先生は、俺の方に向けて頭を下げる。
「いっ、いえ、大丈夫です……」
「では……朗読を始めます」
「むかし、むかし、カキの種を拾った―――」
……
「うるさい、これでもくらえ。―――」
……
(物語も中盤に入ったのに、誰も真剣に聞いていない!?)
(真面に聞いているのは低学年の男女だけだ!!)
(高学年に至っては隣同士で話をしたり、1人遊びをしたりしていて話を全く聞いていない!!)
(同じ話でも、稀子や鈴音さんは相づちをしてくれて、面白そうに聞いてくれたのに!!)
稀子達の反応と、子ども達の反応が全く真逆で有って、俺は心の中で焦っていた!
……
「いたい、いたい、たすけて~~」
「―――」
俺は感情を入り交えて、一生懸命“さるかに合戦”を朗読するが、子ども達からの強い眼差しは殆ど感じない…。俺は朗読を詩ながら稀子達の表情を伺うと……
「ん~~」
「……あの時聞いた時と何か違うよね、鈴ちゃん……」
「はい……」
「比叡さんきっと、緊張しているのだと思われます…」
「現実は厳しいな……」
稀子、鈴音さん、山本さんがそれぞれ言っている。
「比叡君の読み方…。何か感情が籠もっていないのだよね。棒読みと言うか……」
「まぁ、今日が初日ですし、稀子さん//////」
「これじゃあ、私が読んだ方がマシだな……比叡君には悪いけど」
「私の方が、みんな振り向くと思うよ!!」
そんな会話が微かに、俺の耳に入って来ている気がする!?
「―――」
「めでたし、めでたし、……」
『パチ……、パチ……』
俺が読み終わると、如何にも嫌々な拍手が広間に響き渡る。
他の指導員さん達も苦笑いの表情をしていた……
俺の朗読デビューは、完全に失敗に終わった様だ……
やっぱり、現実世界は厳しいな……
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