偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編 第2章

第301話 鈴音編 エピローグ

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 ……
 …
 ・

 あれから、数年が経過した……
 俺は試行錯誤で里芋栽培を続け……栽培を始めてから3年目の冬手前で、どうにか軌道に乗せる事が出来た。
 圃場の面積を広げる事は出来なかったが、里芋栽培なら今の圃場で十分に食っていける。

 来年からは水稲等の作付けを止めて、里芋専業農家への転換を決意して、幸村さんに相談と了解も貰った。
 稀子も俺の事を凄く褒めてくれて『りんちゃんに比叡君を譲ったのは失敗だったな♪』と、笑いながら言ってくれた。

 稀子に彼氏までとは行かないが、男性の親友が出来た!
 外郭団体や公務員同士で行われたイベントで知り合ったらしく、稀子より年下の男性だそうだ。
 稀子に春が訪れそうなので、俺と鈴音さんも一安心だ!
 これでやっと……鈴音さんを身軽にする事が出来る。

 ☆

 それから、約1年後……

 俺は今、病院に居る。
 俺が病気に成った訳では無い。俺の体は健康だと思う。
 この病院に、鈴音さんが良い意味で入院しているからだ。
 俺は鈴音さんが居る病室に向かい、その扉を開く。

「あっ、比叡さん!」
「こんにちは!!」

 俺の顔を見た瞬間、笑顔で声を掛けてくれる鈴音さん。
 鈴音さんの横には……待ちに待った新しい家族が、小さなベッドの中で寝ている。

 ちなみに性別は女の子だ。
 鈴音さん似と言いたいが、まだ赤ちゃん過ぎて良くは分からなかった!?

「こんにちは!!」
「鈴音さん。今日も来たよ!!」

 俺はそう言いながら、鈴音さんの元では無く、その横の小さなベッドに向かう。

「ほら~~、パパですよ♪」

「比叡さん……」
「先程、眠ったばかりですので……」

 俺が赤ちゃんを“あやそう”とした所で、鈴音さんに静かな声で止められた。
 残念…。親子のスキンシップを取り損ねた。
 赤ちゃんの元から鈴音さんの元に戻る。

「……体調はどう?」
「鈴音さん!」

「はい。比叡さん!」
「私も赤ちゃんも元気ですよ!!」

 鈴音さんが笑顔で答える。
 母子共に健康で何よりだ!!

「鈴音さん。退院の予定は、明後日だったよね!」

「はい。そうですよ、比叡さん!」
「私としては、此所に居れば家事もしなくて良いですし、美味しいお食事も出ますから、まだ居たい気分ですがね♪」

 鈴音さんは健康体で入院しているし、食事も特別メニューなので、まだ留まりたい気持ちも何となく分かる気がするが……

「……鈴音さんの気持ちも分かるけど、俺としては早く鈴音さんに戻って来て欲しいな!」
「1人だと、やっぱり物寂しいからね!」

「そうかも知れませんね!」
お母様まりえさんの家の時から出産で入院するまで、ずっと一緒でしたからね!!」
「比叡さんの為にも、明後日には子どもと一緒に帰りましょう!!」

 笑顔で言ってくれる鈴音さん。
 今の鈴音さんは、本当に幸せの表情をしている。
 鈴音さんには聞いてはいないが、今ならきっと幸せ100%では無いだろうか?

 明後日からは、3人での生活が始まる。
 初めの内は楽しい事より、大変な事が中心に成るだろうけど、それでも俺は嬉しかった。

 子どもの名前は、鈴音さんの退院後に話し合う。
 その理由は、お互い事前に性別を知る事を望まなかったからで有る。
 実際、検査の過程で鈴音さんは絶対性別を知ってしまうが、俺は聞かなかったし、鈴音さんも俺には言わなかった。

 恐らく……鈴音さんの母親で有る凉子さんや稀子、幸村さん・楓さん達は知って居ただろう。
 俺は昔ながらの、誕生してから知る楽しみを選択しただけで有る。

「所で……比叡さん」
「毎日、顔を出してくれるのは嬉しいのですが、農業の方は大丈夫ですか…?」

 鈴音さんは心配そうに聞いてきた。
 子どもが誕生してから、農業を疎かにしていると、鈴音さんは感じ取ったのだろう。

「その辺は、大丈夫だよ!」
「今日の作業は全て終えてから、病院に来ているから!!」

「そうですか!」
「なら、比叡さんを信じましょう♪」

 鈴音さんは穏やかな表情で答えた。
 鈴音さんと子どもが一番大事だが、農業も俺達家族を繋ぎ止める生命線だ。
 それを両立させなければ、俺達の家族は壊れてしまうだろう……

「なら、今日も面会時間ギリギリまで、お邪魔するね!」

「はい!」
「ゆっくりして行ってくださいね!!」

「子どもの目が覚めましたら、しっかり遊んでくださいね♪」

 ☆

 新天地での就農を成功させて、無事に家族を誕生させる事が出来た。
 里芋専業農家に成ったが、恐ろしい程順調で有って、収益も就農初めの頃とは比べ物に成らない位の収益と成った。

 このまま行けば、数年以内に新居も建てられるだろう!
 その前に、自前の農業機械を調達しなければ成らないか。
 何時までも、幸村さん達に頼りっぱなしでは駄目だ……

 俺があの時、稀子に声を掛け、稀子から鈴音さんに乗り換えて、一時は死を直面する事態も起きたが、最後は大成を治める事が出来た。
 鈴音さんと新しい家族を大切にして、農業の方も奮闘するべきだと俺は感じながら、鈴音さんとの会話を楽しんだ……

 ……

 ☆偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!☆

 ☆鈴音編 第2章☆ おわり

 ☆鈴音編☆ 完

 ☆稀子編 第2章☆へ続く……
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