301 / 434
【R-15】鈴音編 第2章
第299話 幸村さんへ相談 その2
しおりを挟む
「……比叡君も知っているだろ?」
「何故、里芋と呼ばれている理由を…」
「里で栽培されるからですよね…。山芋は山間部に対して、里芋は集落で栽培されていると…」
「その通りだよ。比叡君!」
「里芋は温暖な地域な好み、平野部での栽培に適している」
「降雪が無い地域なら……山間部でも栽培に適しているが、此処は降雪が無いかね?」
「それに里芋は霜に非常に弱い…。霜が葉に当たると直ぐに枯れ出す」
「異常気象で、早霜が来たら収穫直前に全てが吹っ飛ぶぞ…」
「それに貯蔵と言ったが、穴を掘るのも結構大変だぞ…。重機を使えば別だが!」
幸村さんの言葉は忠告と言うより、警告に近かった。
早霜は確かに警戒しなければならないが、これは天の運命なのでどうしようもない。
貯蔵に関しては、まだ方法を決めてないが、俺は重機を扱える特別教育を修了済みなので、その方法も有ったか!
「幸村さん…」
「この地域は降雪は有りますが、根雪に成るのは一時的ですし、晩生の品種で栽培すれば多少の寒さには耐えられますし、収量も平野程と行きませんが有る程度は得られると思っています」
「比叡君。晩生の品種で栽培すると、白菜の収穫時期に重なるぞ」
「霜を意識したら、中生種で栽培するべきだ!!」
「確かに幸村さんの仰る通りですが、貯蔵性を考えると俺の中では、晩生の品種が有利だと感じまして…」
「……思ったより、君も意地が有るね!」
「では無ければ、この地に来ないか!!」
「この地域でも、里芋の栽培は出来ると比叡君は踏んだ訳か!!」
「まぁ、出来る事は出来るが……厳しい結果に成るのが目に見えているから、俺は反対なんだがな…」
「……お母さんはどう思う?」
幸村さんは楓さんに話を振る。
幸村さんが、楓さんに話を振るのは珍しかった?
「私の意見ですか……。そうですね、さっきお父さんが仰っていたように、失敗も経験だと私は感じます」
「里芋自体の栽培はそう難しい作物では有りませんが、この地域はどうしても降雪が有りますからね…」
「地球温暖化の影響で、大雪も年々少なくは成っていますが、異常気象も起きやすくなっています」
「農業自体……全て神任せですからね♪」
「挑戦されるなら、是非成功させてくださいね!」
初めの内の口調は、問いに答える口調で有った楓さんが、最後の方は稀子の口調と表情に成っていた。
稀子は正真正銘、楓さんの子どもだ!!
「お母さんは比叡君に賛成か……」
「失敗も経験だが、面積の狭い自家消費栽培ならまだし、いきなり圃場ではリスクが大きいのだよな」
「う~ん。これは困ったな!」
楓さんが認めても、幸村さんは渋っていた。
「幸村さん…。俺の中で、今年の里芋栽培は、あくまで実験です!」
「試しに栽培してみて、駄目でしたら次の作物を模索するか、改善していくつもりです!!」
このままでは、幸村さんが里芋栽培を容認する気配が無さそうなので、俺は強く出てみる事にした。
「……分かった、比叡君。覚悟を決めて挑戦してみなさい!」
「俺もさっき言ったが、お母さんの言う通り、失敗も農業の中では絶対必要だ!」
「失敗が有るからこそ、工夫や対策が出来る」
「後、どれ位の規模で行くのだ?」
「場所が余って居るからと言って、全てに作付けはしないよね?」
「はい。今年は実験ですので一部に留めます!」
「今回は、種芋から準備しないと行けませんので、200~300本位で挑戦しようかと」
「ナスやキュウリの隙間時間に、里芋栽培をするならそれ位かな?」
「まぁ、分かった!」
「ただ、里芋に関して本格的な栽培は、俺とお母さんも経験が無いからその辺は勘弁な!」
「俺の知り合いでも、里芋をメインで栽培している人は居なかった筈だし」
「はい。栽培に関しては俺と鈴音で調べて、試行錯誤してみます」
「Web上のサイトを参考にしたり、農協や県のサイトを活用して頑張ります」
「決して、幸村さん達にはご迷惑は掛けません!!」
「あはは、そこまで言わなくて良いよ!」
「少し、この地域での里芋栽培は不向きかなと感じただけだから!!」
「それに、比叡君がこの地域で里芋栽培を成功させれば、新たな地域作物が誕生するのだから、それはそれで喜ばしい事だ!」
「もし、成功したら、一気に地区の役職が貰えるぞ!」
「頑張れよ~~、比叡君!」
幸村さんは冗談だと思うが、笑顔でそんな事を言う。
俺みたいな新参者が役職を貰ったら、絶対に嫌がらせを受けるに決まっている!
幸村さんは俺に笑顔で話し終えた後、真面目な表情に戻って鈴音さんに目を向ける。
「……最後に比叡君では無く、鈴音さんに聞くが、鈴音さんも比叡君の意見に賛成なんだよね…?」
幸村さんは鈴音さんに確認を取ってきた。
事前に鈴音さんから了解は貰っているから、多分大丈夫だと思うが、鈴音さんはどう答えるのだろうか?
「何故、里芋と呼ばれている理由を…」
「里で栽培されるからですよね…。山芋は山間部に対して、里芋は集落で栽培されていると…」
「その通りだよ。比叡君!」
「里芋は温暖な地域な好み、平野部での栽培に適している」
「降雪が無い地域なら……山間部でも栽培に適しているが、此処は降雪が無いかね?」
「それに里芋は霜に非常に弱い…。霜が葉に当たると直ぐに枯れ出す」
「異常気象で、早霜が来たら収穫直前に全てが吹っ飛ぶぞ…」
「それに貯蔵と言ったが、穴を掘るのも結構大変だぞ…。重機を使えば別だが!」
幸村さんの言葉は忠告と言うより、警告に近かった。
早霜は確かに警戒しなければならないが、これは天の運命なのでどうしようもない。
貯蔵に関しては、まだ方法を決めてないが、俺は重機を扱える特別教育を修了済みなので、その方法も有ったか!
「幸村さん…」
「この地域は降雪は有りますが、根雪に成るのは一時的ですし、晩生の品種で栽培すれば多少の寒さには耐えられますし、収量も平野程と行きませんが有る程度は得られると思っています」
「比叡君。晩生の品種で栽培すると、白菜の収穫時期に重なるぞ」
「霜を意識したら、中生種で栽培するべきだ!!」
「確かに幸村さんの仰る通りですが、貯蔵性を考えると俺の中では、晩生の品種が有利だと感じまして…」
「……思ったより、君も意地が有るね!」
「では無ければ、この地に来ないか!!」
「この地域でも、里芋の栽培は出来ると比叡君は踏んだ訳か!!」
「まぁ、出来る事は出来るが……厳しい結果に成るのが目に見えているから、俺は反対なんだがな…」
「……お母さんはどう思う?」
幸村さんは楓さんに話を振る。
幸村さんが、楓さんに話を振るのは珍しかった?
「私の意見ですか……。そうですね、さっきお父さんが仰っていたように、失敗も経験だと私は感じます」
「里芋自体の栽培はそう難しい作物では有りませんが、この地域はどうしても降雪が有りますからね…」
「地球温暖化の影響で、大雪も年々少なくは成っていますが、異常気象も起きやすくなっています」
「農業自体……全て神任せですからね♪」
「挑戦されるなら、是非成功させてくださいね!」
初めの内の口調は、問いに答える口調で有った楓さんが、最後の方は稀子の口調と表情に成っていた。
稀子は正真正銘、楓さんの子どもだ!!
「お母さんは比叡君に賛成か……」
「失敗も経験だが、面積の狭い自家消費栽培ならまだし、いきなり圃場ではリスクが大きいのだよな」
「う~ん。これは困ったな!」
楓さんが認めても、幸村さんは渋っていた。
「幸村さん…。俺の中で、今年の里芋栽培は、あくまで実験です!」
「試しに栽培してみて、駄目でしたら次の作物を模索するか、改善していくつもりです!!」
このままでは、幸村さんが里芋栽培を容認する気配が無さそうなので、俺は強く出てみる事にした。
「……分かった、比叡君。覚悟を決めて挑戦してみなさい!」
「俺もさっき言ったが、お母さんの言う通り、失敗も農業の中では絶対必要だ!」
「失敗が有るからこそ、工夫や対策が出来る」
「後、どれ位の規模で行くのだ?」
「場所が余って居るからと言って、全てに作付けはしないよね?」
「はい。今年は実験ですので一部に留めます!」
「今回は、種芋から準備しないと行けませんので、200~300本位で挑戦しようかと」
「ナスやキュウリの隙間時間に、里芋栽培をするならそれ位かな?」
「まぁ、分かった!」
「ただ、里芋に関して本格的な栽培は、俺とお母さんも経験が無いからその辺は勘弁な!」
「俺の知り合いでも、里芋をメインで栽培している人は居なかった筈だし」
「はい。栽培に関しては俺と鈴音で調べて、試行錯誤してみます」
「Web上のサイトを参考にしたり、農協や県のサイトを活用して頑張ります」
「決して、幸村さん達にはご迷惑は掛けません!!」
「あはは、そこまで言わなくて良いよ!」
「少し、この地域での里芋栽培は不向きかなと感じただけだから!!」
「それに、比叡君がこの地域で里芋栽培を成功させれば、新たな地域作物が誕生するのだから、それはそれで喜ばしい事だ!」
「もし、成功したら、一気に地区の役職が貰えるぞ!」
「頑張れよ~~、比叡君!」
幸村さんは冗談だと思うが、笑顔でそんな事を言う。
俺みたいな新参者が役職を貰ったら、絶対に嫌がらせを受けるに決まっている!
幸村さんは俺に笑顔で話し終えた後、真面目な表情に戻って鈴音さんに目を向ける。
「……最後に比叡君では無く、鈴音さんに聞くが、鈴音さんも比叡君の意見に賛成なんだよね…?」
幸村さんは鈴音さんに確認を取ってきた。
事前に鈴音さんから了解は貰っているから、多分大丈夫だと思うが、鈴音さんはどう答えるのだろうか?
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説


私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした
さこの
恋愛
幼い頃に誘拐されたマリアベル。保護してくれた男の人をお母さんと呼び、父でもあり兄でもあり家族として暮らしていた。
誘拐される以前の記憶は全くないが、ネックレスにマリアベルと名前が記されていた。
数年後にマリアベルの元に侯爵家の遣いがやってきて、自分は貴族の娘だと知る事になる。
お母さんと呼ぶ男の人と離れるのは嫌だが家に戻り家族と会う事になった。
片田舎で暮らしていたマリアベルは貴族の子女として学ぶ事になるが、不思議と読み書きは出来るし食事のマナーも悪くない。
お母さんと呼ばれていた男は何者だったのだろうか……? マリアベルは貴族社会に馴染めるのか……
っと言った感じのストーリーです。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです
新条 カイ
恋愛
ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。
それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?
将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!?
婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。
■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…)
■■

まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編3が完結しました!(2024.8.29)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる