偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編 第2章

第299話 幸村さんへ相談 その2

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「……比叡君も知っているだろ?」
「何故、里芋と呼ばれている理由を…」

「里で栽培されるからですよね…。山芋は山間部に対して、里芋は集落で栽培されていると…」

「その通りだよ。比叡君!」
「里芋は温暖な地域な好み、平野部での栽培に適している」
「降雪が無い地域なら……山間部でも栽培に適しているが、此処は降雪が無いかね?」

「それに里芋は霜に非常に弱い…。霜が葉に当たると直ぐに枯れ出す」
「異常気象で、早霜が来たら収穫直前に全てが吹っ飛ぶぞ…」
「それに貯蔵と言ったが、穴を掘るのも結構大変だぞ…。重機を使えば別だが!」

 幸村さんの言葉は忠告と言うより、警告に近かった。
 早霜は確かに警戒しなければならないが、これは天の運命なのでどうしようもない。
 貯蔵に関しては、まだ方法を決めてないが、俺は重機を扱える特別教育を修了済みなので、その方法も有ったか!

「幸村さん…」
「この地域は降雪は有りますが、根雪に成るのは一時的ですし、晩生おくての品種で栽培すれば多少の寒さには耐えられますし、収量も平野程と行きませんが有る程度は得られると思っています」

「比叡君。晩生の品種で栽培すると、白菜の収穫時期に重なるぞ」
「霜を意識したら、中生種なかせしゅで栽培するべきだ!!」

「確かに幸村さんの仰る通りですが、貯蔵性を考えると俺の中では、晩生の品種が有利だと感じまして…」

「……思ったより、君も意地が有るね!」
「では無ければ、この地に来ないか!!」
「この地域でも、里芋の栽培は出来ると比叡君は踏んだ訳か!!」

「まぁ、出来る事は出来るが……厳しい結果に成るのが目に見えているから、俺は反対なんだがな…」
「……お母さんはどう思う?」

 幸村さんは楓さんに話を振る。
 幸村さんが、楓さんに話を振るのは珍しかった?

「私の意見ですか……。そうですね、さっきお父さんが仰っていたように、失敗も経験だと私は感じます」

「里芋自体の栽培はそう難しい作物では有りませんが、この地域はどうしても降雪が有りますからね…」
「地球温暖化の影響で、大雪も年々少なくは成っていますが、異常気象も起きやすくなっています」

「農業自体……全て神任せですからね♪」
「挑戦されるなら、是非成功させてくださいね!」

 初めの内の口調は、問いに答える口調で有った楓さんが、最後の方は稀子の口調と表情に成っていた。
 稀子は正真正銘、楓さんの子どもだ!!

「お母さんは比叡君に賛成か……」
「失敗も経験だが、面積の狭い自家消費栽培ならまだし、いきなり圃場ではリスクが大きいのだよな」
「う~ん。これは困ったな!」

 楓さんが認めても、幸村さんは渋っていた。

「幸村さん…。俺の中で、今年の里芋栽培は、あくまで実験です!」
「試しに栽培してみて、駄目でしたら次の作物を模索するか、改善していくつもりです!!」

 このままでは、幸村さんが里芋栽培を容認する気配が無さそうなので、俺は強く出てみる事にした。

「……分かった、比叡君。覚悟を決めて挑戦してみなさい!」
「俺もさっき言ったが、お母さんの言う通り、失敗も農業の中では絶対必要だ!」
「失敗が有るからこそ、工夫や対策が出来る」

「後、どれ位の規模で行くのだ?」
「場所が余って居るからと言って、全てに作付けはしないよね?」

「はい。今年は実験ですので一部に留めます!」
「今回は、種芋から準備しないと行けませんので、200~300本位で挑戦しようかと」

「ナスやキュウリの隙間時間に、里芋栽培をするならそれ位かな?」
「まぁ、分かった!」

「ただ、里芋に関して本格的な栽培は、俺とお母さんも経験が無いからその辺は勘弁な!」
「俺の知り合いでも、里芋をメインで栽培している人は居なかった筈だし」

「はい。栽培に関しては俺と鈴音で調べて、試行錯誤してみます」
「Web上のサイトを参考にしたり、農協や県のサイトを活用して頑張ります」
「決して、幸村さん達にはご迷惑は掛けません!!」

「あはは、そこまで言わなくて良いよ!」
「少し、この地域での里芋栽培は不向きかなと感じただけだから!!」

「それに、比叡君がこの地域で里芋栽培を成功させれば、新たな地域ブランド作物が誕生するのだから、それはそれで喜ばしい事だ!」
「もし、成功したら、一気に地区の役職が貰えるぞ!」
「頑張れよ~~、比叡君!」

 幸村さんは冗談だと思うが、笑顔でそんな事を言う。
 俺みたいな新参者が役職を貰ったら、絶対に嫌がらせを受けるに決まっている!
 幸村さんは俺に笑顔で話し終えた後、真面目な表情に戻って鈴音さんに目を向ける。

「……最後に比叡君では無く、鈴音さんに聞くが、鈴音さんも比叡君の意見に賛成なんだよね…?」

 幸村さんは鈴音さんに確認を取ってきた。
 事前に鈴音さんから了解は貰っているから、多分大丈夫だと思うが、鈴音さんはどう答えるのだろうか?
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