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【R-15】鈴音編 第2章
第298話 幸村さんへ相談 その1
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翌週……
俺と鈴音さんは今、稀子の家にお邪魔している。
今日は稀子に用事が有る訳で無く、稀子の父親で有る幸村さんに用事が有った。
俺に農地を貸してくれて、又、厳しい農業指導もしてくれる幸村さん。
俺が相談する内容は、鈴音さんにも相談済みで有り、鈴音さんからも快い返事を貰っている。
『もし、それが成功しましたら、それの専門農家で行きましょう♪』と笑顔で言ってくれた。
この作物なら、夏の暑い時期での収穫・調製・出荷作業が無くなるからだ。
稀子は仕事で家に居ない為、今日は幸村さんと稀子の母親で有る、楓さんとでの話に成る。稀子の祖母は私用で、出掛けているそうだ。
突然のお邪魔では無く、事前に伺う事は連絡して置いた。
俺達はリビングに通されて、楓さんがお茶を出してくれて、初めの内は軽い世間話をしていた。
「話が変わるが……いよいよ、2年目の農業が始めるね。比叡君!!」
世間話から本題に、幸村さんがシフトし始めた。
「……はい」
「去年の体験を生かし、今年は更に良い物が、出来るように頑張ります!」
「……比叡君。そんな堅苦しい事は言わなくても良いよ!」
「農地は俺(幸村)の土地だが、貸しているとは言え、今は比叡君の農地だ!」
「良い物を作るのは当然だが、失敗する事も必要だ」
「はい!」
俺は幸村さんの言葉に元気よく返事をする。
会社組織で言う、上司と部下の関係だ。
鈴音さんも楓さんも話の輪には入っては来なくて、鈴音さんは静かに俺を見守り、楓さんは“素知らぬ顔”でお茶を飲んでいた。
幸村さんは“亭主関白”と、以前稀子が言っていた。
この人も山本さんと同じで、自分達の会話を邪魔されるのは嫌いな方だ。
「……それで、今日、態々来たのはどうした?」
「俺とお母さんとの世間話の為に、来た訳では無いのだろう……」
幸村さんは『本題を切り出せ!』と要求してきた。
俺も言葉のウォーミングアップが大体出来て居たので、ここら辺で本題を言う事にした。
「実は幸村さんに、今年の作物栽培の事で相談がしたくて……」
「?」
「……今年度の作付け!」
「今から、作付け変更をするのか!?」
幸村さんは驚くと言うより、怒りを含ませながら言ってきた!
もう4月手前の時期に、作付け変更をする人はほぼ居ない。
秋冬野菜ならまだしも、特に夏秋野菜の場合、苗や肥料、農業資材の発注を済ませている所も多いからだ。
「ゆっ、幸村さん…。作付けの変更は行いません!」
「去年と同じ面積で水稲、夏秋野菜はナス・キュウリの栽培を行います」
俺は慌てながら幸村さんに言う。
言葉の切り出しが不味かった……
「?」
「じゃあ比叡君…。秋冬野菜で、新たな作物に挑戦するのか?」
そう捉えるのが普通だろう。
俺は説明をするように幸村さんに話す。
「いえ、秋冬野菜では無く、夏秋野菜の方です」
「夏秋野菜の作付け計画だと、全ての圃場に作付けが出来ないので、その余った部分に新たな作物を栽培したいなと……」
「なんだ、そういう事か!」
「それなら、そうと言えば良いのに!!」
幸村さんは、此処でやっと納得してくれた。
鈴音さんは緊張した表情で、この場を見守っていた。
楓さんの表情は普段通りだが、静かに俺と幸村さんのやり取りを見ていた。
「けどな、比叡君!」
「焦る気持ちも分かるが、余り焦っても大失敗するだけだぞ!!」
「何を作付けするかはまだ聞いてないが、夏秋野菜は基本、手間が掛かるのばかりだぞ…」
幸村さんの性格上、俺の意見に賛成するかと思ったら、反対寄りの事を言ってきた!
俺1人ならこんな事は言わないだろうが、鈴音さんの事を幸村さんは意識しているのだろう……
「はい。幸村さん!」
「夏秋野菜は全体的に、大変な事は理解しています」
「けど、その中でも比較的、手間が掛からない作物を見つけたので、その相談をしたくて……」
「そうか!」
「比叡君の中で有る程度は調べが付いていて、出来ると思ったから俺の所に来た訳か!!」
「夏秋野菜で何を挑戦するのだ。比叡君?」
「幸村さん。それは里芋です!」
「里芋なら、圃場の有効活用が出来ますし、調べた限りでは手間もさほど掛かりそうでも無いし、貯蔵が出来る作物ですので出荷調整が出来て、収入の増加に繋がります」
「俺にとっては、将来性の有る作物だと感じたのですが……どうでしょうか?」
俺は一通りの説明を終えた後、幸村さんの顔を伺ったが、余り良い表情はしていなかった!
「……里芋か!」
「着眼点は悪くは無いよ。比叡君……」
「里芋は1反当たりの収益も良いし、収穫時期も秋冬野菜が本格化する前の時期だから、理想の営農計画だと俺は思う」
「収益が増えれば、比叡君達の生活も豊かに成るし、それが実績に繋がるからな!」
「だが……思うだけなんだよ」
幸村さんは最後そう言った。
幸村さんも知っているのだろう、この地域での里芋栽培短所を……
俺と鈴音さんは今、稀子の家にお邪魔している。
今日は稀子に用事が有る訳で無く、稀子の父親で有る幸村さんに用事が有った。
俺に農地を貸してくれて、又、厳しい農業指導もしてくれる幸村さん。
俺が相談する内容は、鈴音さんにも相談済みで有り、鈴音さんからも快い返事を貰っている。
『もし、それが成功しましたら、それの専門農家で行きましょう♪』と笑顔で言ってくれた。
この作物なら、夏の暑い時期での収穫・調製・出荷作業が無くなるからだ。
稀子は仕事で家に居ない為、今日は幸村さんと稀子の母親で有る、楓さんとでの話に成る。稀子の祖母は私用で、出掛けているそうだ。
突然のお邪魔では無く、事前に伺う事は連絡して置いた。
俺達はリビングに通されて、楓さんがお茶を出してくれて、初めの内は軽い世間話をしていた。
「話が変わるが……いよいよ、2年目の農業が始めるね。比叡君!!」
世間話から本題に、幸村さんがシフトし始めた。
「……はい」
「去年の体験を生かし、今年は更に良い物が、出来るように頑張ります!」
「……比叡君。そんな堅苦しい事は言わなくても良いよ!」
「農地は俺(幸村)の土地だが、貸しているとは言え、今は比叡君の農地だ!」
「良い物を作るのは当然だが、失敗する事も必要だ」
「はい!」
俺は幸村さんの言葉に元気よく返事をする。
会社組織で言う、上司と部下の関係だ。
鈴音さんも楓さんも話の輪には入っては来なくて、鈴音さんは静かに俺を見守り、楓さんは“素知らぬ顔”でお茶を飲んでいた。
幸村さんは“亭主関白”と、以前稀子が言っていた。
この人も山本さんと同じで、自分達の会話を邪魔されるのは嫌いな方だ。
「……それで、今日、態々来たのはどうした?」
「俺とお母さんとの世間話の為に、来た訳では無いのだろう……」
幸村さんは『本題を切り出せ!』と要求してきた。
俺も言葉のウォーミングアップが大体出来て居たので、ここら辺で本題を言う事にした。
「実は幸村さんに、今年の作物栽培の事で相談がしたくて……」
「?」
「……今年度の作付け!」
「今から、作付け変更をするのか!?」
幸村さんは驚くと言うより、怒りを含ませながら言ってきた!
もう4月手前の時期に、作付け変更をする人はほぼ居ない。
秋冬野菜ならまだしも、特に夏秋野菜の場合、苗や肥料、農業資材の発注を済ませている所も多いからだ。
「ゆっ、幸村さん…。作付けの変更は行いません!」
「去年と同じ面積で水稲、夏秋野菜はナス・キュウリの栽培を行います」
俺は慌てながら幸村さんに言う。
言葉の切り出しが不味かった……
「?」
「じゃあ比叡君…。秋冬野菜で、新たな作物に挑戦するのか?」
そう捉えるのが普通だろう。
俺は説明をするように幸村さんに話す。
「いえ、秋冬野菜では無く、夏秋野菜の方です」
「夏秋野菜の作付け計画だと、全ての圃場に作付けが出来ないので、その余った部分に新たな作物を栽培したいなと……」
「なんだ、そういう事か!」
「それなら、そうと言えば良いのに!!」
幸村さんは、此処でやっと納得してくれた。
鈴音さんは緊張した表情で、この場を見守っていた。
楓さんの表情は普段通りだが、静かに俺と幸村さんのやり取りを見ていた。
「けどな、比叡君!」
「焦る気持ちも分かるが、余り焦っても大失敗するだけだぞ!!」
「何を作付けするかはまだ聞いてないが、夏秋野菜は基本、手間が掛かるのばかりだぞ…」
幸村さんの性格上、俺の意見に賛成するかと思ったら、反対寄りの事を言ってきた!
俺1人ならこんな事は言わないだろうが、鈴音さんの事を幸村さんは意識しているのだろう……
「はい。幸村さん!」
「夏秋野菜は全体的に、大変な事は理解しています」
「けど、その中でも比較的、手間が掛からない作物を見つけたので、その相談をしたくて……」
「そうか!」
「比叡君の中で有る程度は調べが付いていて、出来ると思ったから俺の所に来た訳か!!」
「夏秋野菜で何を挑戦するのだ。比叡君?」
「幸村さん。それは里芋です!」
「里芋なら、圃場の有効活用が出来ますし、調べた限りでは手間もさほど掛かりそうでも無いし、貯蔵が出来る作物ですので出荷調整が出来て、収入の増加に繋がります」
「俺にとっては、将来性の有る作物だと感じたのですが……どうでしょうか?」
俺は一通りの説明を終えた後、幸村さんの顔を伺ったが、余り良い表情はしていなかった!
「……里芋か!」
「着眼点は悪くは無いよ。比叡君……」
「里芋は1反当たりの収益も良いし、収穫時期も秋冬野菜が本格化する前の時期だから、理想の営農計画だと俺は思う」
「収益が増えれば、比叡君達の生活も豊かに成るし、それが実績に繋がるからな!」
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