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【R-15】鈴音編 第2章
第296話 鈴音さん考える家族プラン
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今晩も、家族や将来が描けず、有耶無耶で終わるかなと感じた時、鈴音さんが話し掛ける。
「比叡さん!」
「比叡さんの気持ちも分かりますし、私も最近は子どもを意識する事が有ります」
「近所の人達は、直接には言ってきては居ませんが、遠回しに子どもの話題を口出す事が多く成ってきました……」
(近所の人達に『早く家族作れ!』と、遠回しに言われているのか…)
「あの世代に成ってくると……他人の子どもでも、興味を持つからな」
「近所の人達は、俺達の生活状況なんて知る訳無いから、平気で言うからな!」
近所の人達から見る俺達は、幸村さんが俺達をこの地に呼んだと思って居る筈だ。
現に一から十までまで、幸村さんが手を出しているで、そう見るのが普通だ。
けど、実際は幸村さんが呼んだのでは無く、俺達が自ら飛び込んだのだが、そんな目では見られてなかった。
「けど、お互い……最低でも3年間は我慢しましょう」
「近所の人達には『農業を優先させていますので///』で、押し切っています!」
「人を雇う余力も有りませんし、比叡さんも私を当てにしていますよね…」
「うん…」
「鈴音さんが嬉しい出来事で抜けても、今の状況では俺1人で農業は出来ない」
「比叡さん。最低3年間は、2人で頑張って農業を営んでいきましょう!」
「3年間の間に実績を積んで、出来れば新たな圃場を借りて、私達の圃場を増やしましょう!」
「収入が増えれば農業機械を買う事も出来ますし、人手の応募も考える事が出来ます」
「でも、出来れば人は雇わず……2人でやって行きたいです」
「人を雇うと、行政絡みの問題も出て来ますし、理想通りの人が来るとは限りません」
「現実、軒先貸して母屋を取られる恐れも有ります!」
「鈴音さんの言う通りだね…」
「2人だったら、作業時間も休暇も2人の相談で決められるが、人を雇うとそうは行かなくなる」
「それに、相手の都合が出て来るから、利害が一致しない時も有るからね」
「はい。そうするべきだと感じます!」
「本当の理想は……比叡さん1人で出来る様に成れば、私も喜んで家族を作る事が出来ますが…」
「……俺も、1人農業は考えているのだけどまだ『これだの作物!』が無いのだよね」
「理想は水稲や麦、大豆だけど、それは現段階では実現不可だし……」
「1人出来る、果菜類が有れば良いのですけど、私も調べている限りは有りませんよね…」
「規模が小さければ、どんな作物でも1人出来るが、それでは生活が出来ないからな」
「ですね…。大きい農家さんが羨ましいですね。比叡さん…」
「……」
俺がこの後、特に発言をしなかったので、鈴音さんは再び本を読み始めた。
俺は日本酒を飲みながら、今後の事を“ぼんやり”と考えていた。
今年の営農計画はほぼ決めて有り、今年も夏秋野菜の時期は水稲・ナス・キュウリの栽培を行う。これは鈴音さんからも了解を得ている。
作付面積も去年と同じだが、このやり方だと夏秋野菜の時期は、全圃場に作付けが出来ないので、同時にそれの有効活用を考えていた。
ちなみに秋冬野菜の時期は、白菜と大根を田んぼ以外の圃場に全作付けした。
単純にナス・キュウリの栽培面積を増やせば良いのだが、ナス・キュウリは手間が掛かるし、面積を増やすより、俺の中では他の作物の栽培を考えていた。
林檎や柿等の果樹栽培も考えたが、それをやると後が引けなくなるし、そもそも他の仲間達(部会)が居ないので、直売所しか販路が無い。
施設栽培はお金が無いから論外だし、仮に施設栽培を始めると成ると、行政に提出した就農計画との辻褄が合わなく成るから、修正の手続きが必要に成って来るし、それが認められるとは限らない……
(けど、俺の中で、1つ気に成る作物が有るのだよな……)
鈴音さんにはまだ相談はしていないが、俺は有る作物に興味を持っていた。
その作物は本来、この地域に適した作物とは言いにくいが、話を聞くと1人でも可能らしい。
その話は、職業訓練時代の同期生から聞いた話だが、あの話通りなら、その人はその作物で生計を立てている筈だ。
(只、この作物は連作障害が有るからな……)
(でも、ナス科やアブラナ科も連作障害が有るから、それは変わらないか)
連作障害の対応は、圃場を上手にローテーションすれば良いだけだ。
同じ場所で作付けするから、連作障害が発生する。
(その前に、新規の作物栽培は幸村さんの意見を伺う必要が有るか……)
(基本、勝手に自由にやってくれと幸村さんは言っていたが、あまり勝手な事はどうしても出来ないからな)
俺達が住んでいる地域は、横の繋がりが非常に強いし、当然出る杭は打たれる。
『新参者の青柳が、変な物を栽培している』と、陰口を言われる可能性も有る!?
(この話は一旦終わりにしよう……)
(今直ぐ、例の作物を鈴音さんに相談はしたいが、幸村さんの意見を聞かないとな…)
俺はそう思いながら、日本酒の入ったコップに、静かに口を付けた。
鈴音さんも特に話し掛けてくる事無く、本を熟読していた。
こうして、夜の団らんの時間は静かに流れていった……
「比叡さん!」
「比叡さんの気持ちも分かりますし、私も最近は子どもを意識する事が有ります」
「近所の人達は、直接には言ってきては居ませんが、遠回しに子どもの話題を口出す事が多く成ってきました……」
(近所の人達に『早く家族作れ!』と、遠回しに言われているのか…)
「あの世代に成ってくると……他人の子どもでも、興味を持つからな」
「近所の人達は、俺達の生活状況なんて知る訳無いから、平気で言うからな!」
近所の人達から見る俺達は、幸村さんが俺達をこの地に呼んだと思って居る筈だ。
現に一から十までまで、幸村さんが手を出しているで、そう見るのが普通だ。
けど、実際は幸村さんが呼んだのでは無く、俺達が自ら飛び込んだのだが、そんな目では見られてなかった。
「けど、お互い……最低でも3年間は我慢しましょう」
「近所の人達には『農業を優先させていますので///』で、押し切っています!」
「人を雇う余力も有りませんし、比叡さんも私を当てにしていますよね…」
「うん…」
「鈴音さんが嬉しい出来事で抜けても、今の状況では俺1人で農業は出来ない」
「比叡さん。最低3年間は、2人で頑張って農業を営んでいきましょう!」
「3年間の間に実績を積んで、出来れば新たな圃場を借りて、私達の圃場を増やしましょう!」
「収入が増えれば農業機械を買う事も出来ますし、人手の応募も考える事が出来ます」
「でも、出来れば人は雇わず……2人でやって行きたいです」
「人を雇うと、行政絡みの問題も出て来ますし、理想通りの人が来るとは限りません」
「現実、軒先貸して母屋を取られる恐れも有ります!」
「鈴音さんの言う通りだね…」
「2人だったら、作業時間も休暇も2人の相談で決められるが、人を雇うとそうは行かなくなる」
「それに、相手の都合が出て来るから、利害が一致しない時も有るからね」
「はい。そうするべきだと感じます!」
「本当の理想は……比叡さん1人で出来る様に成れば、私も喜んで家族を作る事が出来ますが…」
「……俺も、1人農業は考えているのだけどまだ『これだの作物!』が無いのだよね」
「理想は水稲や麦、大豆だけど、それは現段階では実現不可だし……」
「1人出来る、果菜類が有れば良いのですけど、私も調べている限りは有りませんよね…」
「規模が小さければ、どんな作物でも1人出来るが、それでは生活が出来ないからな」
「ですね…。大きい農家さんが羨ましいですね。比叡さん…」
「……」
俺がこの後、特に発言をしなかったので、鈴音さんは再び本を読み始めた。
俺は日本酒を飲みながら、今後の事を“ぼんやり”と考えていた。
今年の営農計画はほぼ決めて有り、今年も夏秋野菜の時期は水稲・ナス・キュウリの栽培を行う。これは鈴音さんからも了解を得ている。
作付面積も去年と同じだが、このやり方だと夏秋野菜の時期は、全圃場に作付けが出来ないので、同時にそれの有効活用を考えていた。
ちなみに秋冬野菜の時期は、白菜と大根を田んぼ以外の圃場に全作付けした。
単純にナス・キュウリの栽培面積を増やせば良いのだが、ナス・キュウリは手間が掛かるし、面積を増やすより、俺の中では他の作物の栽培を考えていた。
林檎や柿等の果樹栽培も考えたが、それをやると後が引けなくなるし、そもそも他の仲間達(部会)が居ないので、直売所しか販路が無い。
施設栽培はお金が無いから論外だし、仮に施設栽培を始めると成ると、行政に提出した就農計画との辻褄が合わなく成るから、修正の手続きが必要に成って来るし、それが認められるとは限らない……
(けど、俺の中で、1つ気に成る作物が有るのだよな……)
鈴音さんにはまだ相談はしていないが、俺は有る作物に興味を持っていた。
その作物は本来、この地域に適した作物とは言いにくいが、話を聞くと1人でも可能らしい。
その話は、職業訓練時代の同期生から聞いた話だが、あの話通りなら、その人はその作物で生計を立てている筈だ。
(只、この作物は連作障害が有るからな……)
(でも、ナス科やアブラナ科も連作障害が有るから、それは変わらないか)
連作障害の対応は、圃場を上手にローテーションすれば良いだけだ。
同じ場所で作付けするから、連作障害が発生する。
(その前に、新規の作物栽培は幸村さんの意見を伺う必要が有るか……)
(基本、勝手に自由にやってくれと幸村さんは言っていたが、あまり勝手な事はどうしても出来ないからな)
俺達が住んでいる地域は、横の繋がりが非常に強いし、当然出る杭は打たれる。
『新参者の青柳が、変な物を栽培している』と、陰口を言われる可能性も有る!?
(この話は一旦終わりにしよう……)
(今直ぐ、例の作物を鈴音さんに相談はしたいが、幸村さんの意見を聞かないとな…)
俺はそう思いながら、日本酒の入ったコップに、静かに口を付けた。
鈴音さんも特に話し掛けてくる事無く、本を熟読していた。
こうして、夜の団らんの時間は静かに流れていった……
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