偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編 第2章

第278話 親友同士で行くキャンプ その8

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「あらら、りんちゃん…。結構、怒っているね…!」

 言葉ではそう言う稀子だが、声は弾んでいた!?

「……比叡さんは、まだ、稀子さんを意識しているのですか!」

 鈴音さんは、俺を睨み付けながら聞いて来た!?
 普段なら、絶対こんな事は言わないのに!!
 酒の力の御陰で、今晩の鈴音さんは勢いが有る!!

 鈴音さんはお酒は飲めるが、稀子程は飲まない。
 普段でも、晩ご飯時に俺は飲酒をするが、鈴音さんは積極的には飲まない。
 鈴音さん曰く『お酒は心を陽気にさせますが、同時に恥じらいも無く成ります』と以前言っていた。

 俺達は夫婦に成ったとは言えども、鈴音さんの本心を、俺にはまだ見せたくは無いのだろう……
 けど、今晩の鈴音さんは稀子に勧められた影響も有るが、普段の鈴音さんらしく無い発言だった。

(これは、どう答えれば良いのだろうか……)
(普段の鈴音さんなら、正直言えば納得してくれそうだが、果たしてどうするべきだろうか……)

「……直ぐに言えないと言う事は、まだ未練が有るそうですね!!」

 鈴音さんは語気を強めながら言ってきた!
 その言葉の後、直ぐに缶酎ハイを飲む鈴音さん。
 これ以上飲ませるは、流石に不味いか!!

「ほら、比叡君♪」
「ここで『鈴ちゃんが大好きだ~~❤』と言わないと、離婚されちゃうぞ♪」

 鈴音さんを不機嫌にさせた要因の、稀子がそう言ってくる。
 俺も悪い部分は有るが、稀子が気軽に話し掛けてくるのも、問題では無いか!?

「けぷ……」

 鈴音さんは、可愛らしいゲップをするが……

「あ~~、やっぱり。比叡さんと結婚するのは辞めようかな……」
「農業も大変だし、生活も厳しいし、今の農地面積では将来性も無いし!!」

 鈴音さんは酒の勢いか、愚痴を言い始めた!

(これは、本格的に酔い始めたな……)

「鈴ちゃんに……少し、飲ませすぎたな」
「後は……ジュースを飲ませた方が良いな!!」

 稀子はそう言うと席を立ち上がり、バンガローの方に戻りジュースを取りに行った。
 今の場所には、お酒類しか置いてないからだ。
 逆に言うと、二人の時間の間に、鈴音さんと仲直りをしなければ成らない。

「比叡さん!」
「別れましょう!!」
「私は、美作の娘に戻ります!!」

 酒の勢いで、離婚を提案してくる鈴音さん!?

「ちょ、ちょっと、落ち着いてくださいよ。鈴音さん!」
「俺達は既に、役所に婚姻届を出しているのですよ!!」
「それに、鈴音さんと別れると成ると、色々と問題が起きまくります!」

「そんなの知りません!」
「私が好きだと言うに、稀子さんに手を出す比叡さんが悪いのです!!」

「鈴音さん!」
「稀子には手を出してはいませんよ!!」

「嘘です!」
「今日、ずっと見ていました」
「私と話したより、稀子さんと話した方が多かったです!!」

(鈴音さんに酒を飲ませすぎると、言うタイプに成るのか!?)
(普段が大人しめの性格だから、酒の力で豹変するのだな!!)

「鈴音さん。落ち着いてください!!」

「俺は鈴音さんが一番好きですし、稀子も親友として好きです!」
「本当にこの世で一番愛しているのは、鈴音さんだけです!!」

「……本当ですか?///」

 鈴音さんの表情は“むっ”としているが、言葉の勢いは収まった。

「本当です。鈴音さん!」
「信じてください!!」

「……なら、誠意を見せてください!」
「私を愛している誠意を!!」

(誠意!?)
(誠意って何だ??)

 普段聞き慣れない言葉なので、俺は瞬時に理解が出来ない。

「……早くしてください」

「鈴音さん…。早くと言われても、誠意の意味が俺の中では少し……」

「ふぅ……」

「意味が理解出来ないのでしたら、キスで良いです……」
「それで、今日の事は水に流して上げます……」

 鈴音さんは、キスで許してくれるそうだ。
 稀子も丁度居ないし、俺は素早く鈴音さんの頬にキスをする。
 元々、ベンチの隣は鈴音さんが座っていて、鈴音さんの向かいに稀子が座っていた。

「……//////」

「約束通り許します…///」

 鈴音さんはそう言うと、静かに缶酎ハイを飲んで、ニジマスの塩焼きを食べる。

「シンプルですが美味しいですね……比叡さん」

「あっ、あぁ!」
「美味しいね。ニジマス!!」

 俺も、鈴音さんの真似をしてニジマスを食べる。
 大分時間が経ったので、すっかり冷めてしまったニジマスだが十分美味しい。
 そのタイミングで、稀子が丁度戻って来た。

「鈴ちゃん!」
「ジュース持ってたよ!!」
「後は、ジュースを飲んで!!」

 鈴音さんの元に、缶ジュースを置く稀子。

「ありがとうございます。稀子さん!」
「ここから先は、ジュースを頂きます!!」

 普段の表情に戻った鈴音さんは、缶のプルタブを開けてジュースを飲み始める。
 その後は愚痴や文句を言う訳でも無く、普通にカレーライスを食べ始めた。

「……比叡君。鈴ちゃんと仲直り出来たの!?」

 その光景を見ていた稀子は、不思議そうな表情で聞いた来た。

「……一応、出来たと思う」

「そう……。なら、良いか!!」

 一時、険悪に成った鈴音さんだが、無事に仲直り出来て良かった!
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