偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
267 / 434
【R-15】鈴音編 第2章

第265話 結婚式への準備 その2

しおりを挟む
 ……

 俺は両親との和解が済んで、次にやるべき事は招待客名簿作りで有る。
 招待文はテンプレートが有るからそれを流用するが、料理持ち寄りの文章は、鈴音さんが作ってくれる。

「比叡さんの所は……ご両親だけですか!?」

 招待客名簿を作り始めた直後、鈴音さんに聞かれた。

「そうなるね!」
「俺の家は元々、親戚付き合いが殆ど無いし、それに両親の祖父母も他界しているからね」

「親友と言える人も唯一稀子だけだし、稀子はどちらかと言うと、鈴音さんの親友だからね!」

「これが社会人なら、会社の上司・先輩・後輩等が出てくるけど、俺の所は鈴音さん以外に居ないからね!」

「……でも、比叡さん。凄くバランスが悪い所か、悪すぎますよ!」
「新郎側一組なんて、聞いた事無いと思います……」

 鈴音さんは困った表情で言う。

「まぁ、仕方ないよ!」
「全てが、都合が良すぎる偶然だと、俺は思っているから…」

「それは、どう言った意味です?」

 鈴音さんは不思議な表情をする。

「まぁ……俺が稀子に声を掛けて無かったら、今頃はホームレスに成っているか、何処かのブラック企業で生きるための生活をしているかの、碌でも無い人生を歩んで居ると思う……」

「俺があの時、稀子に声を掛けたから今の人生が有るのだけど…、本来だったら稀子と結婚をしている筈なんだよね」

「……比叡さん」
「それは、稀子さんに未練が有るのですか!」

 鈴音さんの表情が険しくなるが……

「無いと言えば嘘に成るけど…。俺はそれでも鈴音さんが好きなんだ!」
「あの時……山本さんの人生を台無しにしてしまったが、それだけ鈴音さんを求めて居た!」

「……あっ、……孝明さんはどうします?」

「へっ……」

 俺は鈴音さんに、凄く格好いい言葉を言ったつもりなのに、鈴音さんは良く分からない事を言った!

「えっと……山本さんをどうするのですか??」

「比叡さん! 結婚式の招待ですよ!!」
「孝明さんも……知り合いの1人ですから…」

 鈴音さんはとんでもない事を言う!
 鈴音さんも、山本さんに未練を持っていたか!?

「いっ、いや!」
「山本さんを結婚式に招待したら、結婚式当日。俺と鈴音さんは惨殺されるよ!!」
「呼ばなくても良いよ! 鈴音さん!!」
「自ら死を選ぶ選択は、しなくても良いよ!!」

 俺は山本さんの招待を拒絶するが……

「けど……最近の孝明さんは、もう普通の人に戻って、南取島みなみとりしまをお嫁さんと盛り上げているそうですよ!」

 そこで、和やかに言う鈴音さん!?
 鈴音さんも、山本さんに敵対視されているのに、何故そんな事が言える!?

 俺と鈴音さんの生活と生命を守るため、母で有る真理江さんが身銭を切って、山本さんを南取島に軟禁と言う、島流しを行った。
 当初の山本さんは荒れて居たらしいが、現地スタッフと関係を深めて、2回目と成る更生をして、今は南取島での生活を満喫しているらしい。
 今、その情報は、真理江さん経由で教えて貰っている。

(だけど……俺に対する憎しみは、完全に無く成って居ない筈だ)
(あの人は機会を窺っている。2回目の復讐をする機会を……)

 山本さんを軟禁させている本家も、更生した山本さんを島外に出さないと言う事は、報復を恐れて居るのかも知れない。
 山本さんは俺、軟禁を実行した本家の人間、真理江さんを許して無いはずだ!
 それを、結婚式と言う公の理由で、彼を島外に出させては成らない!

「……招待状を山本さんに出しても、本家が届けないと思うよ」
「本家が、真理江さんとの約束をきちんと守っていれば、生涯軟禁だから」

「……それも、そうですね」

 鈴音さんは、招待状名簿作りを再開させた。

 ……

 青柳家、美作家の招待客名簿が完成したが、新郎で有る青柳家からは、俺の両親だけ。
 新婦に成る美作家からは、鈴音さん両親・祖父母。本家の人間及び美作家親戚。

 只、これに関して、鈴音さんは既に美作家を離れているので、美作家の親戚がどれだけ出席するかは未知数だそうだ。一応、形式に沿って招待状は出すらしい。
 これも美作家側だが、真理江さん、真理江さん妹夫婦。稀子祖母を含む、稀子一家。後は鈴音さんの親友で有る。

 割り振りの関係上、区長・町内会長は新郎側に成るが、ホームパーティだから問題ないだろう……
 少しずつだが、鈴音さんとの結婚式の日が近づいて来ていた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?

イコ
恋愛
貞操逆転世界に憧れる主人公が転生を果たしたが、自分の理想と現実の違いに思っていたのと違うと感じる話。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2024.8.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。

112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。  ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。  ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。 ※完結しました。ありがとうございました。

処理中です...