偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編 第2章

第263話 式場選び その4

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「……」

 鈴音さんも妙案が出ないので、黙ってしまった。
 稀子の家なのに、夫婦喧嘩をしてしまう。その時……

「……だったら、持ち寄れば良いだろう…」

「えっ!?」

「一昔、この地区での冠婚葬祭は、全て持ち寄りだった!」
「特にこの地区は長年、交通の便が悪かった。町に出るの一苦労だ……」
「今の様に、気軽に町に降りられる様に成ったのは、トンネルが出来てからだ」

「それまでは、ほぼ自給自足の生活に近かった。とりはまだ食えるが、牛肉等年に一度口にするかだ…」
「それでも、めでたい時は、みんな持っている物で祝った!!」
「食料の少ない冬の時期なんかは、ワラビやゼンマイの煮たのでも、みんなそれを食べて祝ったり悔やんだもんだ!!」

 稀子の祖母が、そう口を挟むと……

「そうね……。私がこの家に嫁いだ時も、ある物で持て成してくれたわね…」

 楓さんは、しみじみとした表情で呟く。
 すると……稀子が言い出す。

りんちゃん! 比叡君!!」
「結婚式のお料理は、みんなに持ち寄って貰おうよ!!」

「そうすれば、料理の大量発注だってしなくても良いし、一気に地区の結婚式らしく成る!!」

「そうね。稀子の言う通りだね!」
「どうせこの地区で式を挙げるなら、少しでも似つかせた方が良いかもね!」

 稀子の案に、楓さんも賛成する。
 俺も悪くは無いと思うが……問題は鈴音さんだ。

「……良い案ですね」
「さっき比叡さんが言った様に、○○産興から調理器具等も借りられる筈です」
「そうすれば、持ち寄った食材でお料理も出来ます!」

「あっ、鈴ちゃん!?」
「多目的広場内は、火気厳禁!!」

 稀子は焦りながら、会話に割り込む。
 確かに多目的広場をホームパーティに使うのは良いが、BBQ会場にされるのは困るだろう。

「大丈夫ですよ。稀子さん!」
「借りる時は、IHのコンロを借りますから!!」

「IH…。広場内の料理は良かったっけ??」

 稀子は首を傾げているが、特例でねじ込んで貰おう!?

「鈴音さん!」
「料理はそれで行きますか!!」

「持ち寄りなら、この地区で結婚式を挙げていると言う、パフォーマンスにも成ります」
「招待客さん達も、ありきたりな料理では無く、喜んでくれるでしょう!!」

 鈴音さんは笑顔で言う。
 料理の持ち寄りは良いが、さっき稀子祖母が言っていた様に、ゼンマイを煮たのも持って来られても対応に困るが……

 料理の持ち寄りに関しては、結婚式招待状を送付する時に、持ち寄りの書面を同封する。
 只、持ち寄りや持参が難しい人も居るし、みんな何を持って来るのが分からないのは困るで、招待状返信時に持ち寄りが出来るか、持ち寄る予定の料理や、持参か宅配かの件も聞いておく。

 そのため、宅配された一時食材の保管や、お酒やドリンク類の保存のために、冷蔵庫もレンタルする予定で有る。
 持ち寄り料理の状況に依って、こちらは必要な料理器具の準備や、お寿司やピザ、オードブル、サンドイッチ等で料理バランスを調整する。

 後は、この纏まった案を、涼子さんが容認するかで有るのと、どの招待客を呼ぶかのまだ細かい作業が待ち受けている……

「じゃあ、早速、多目的広場の予約を取らないと行けないね♪」

 稀子は笑顔で言う。
 まずは本当にそこからだ。施設が使えなければ始まらないからな。

「彼処を結婚式会場にすると成ると、人手も居るな……」

 幸村さんは呟く。

「まぁ……数人居れば良いか!」
「比叡君。設営に関しても、今後詰めていこう!!」

「あっ、有り難う御座います!」
「気を回してしまって……」

「会場設営を比叡君だけで出来る訳無いし、外から人を雇ったら、節約結婚式の意味が無いからな!!」
「あはは!!」

 幸村さんは笑いながら言う。
 本当に俺達は、稀子一家に頼りぱっなしで有った。

(この恩は何処かで、必ず返さないと行けないな…)
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